テラーノベル
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侑視点
あれから治は俺に構ってくれなくなった。
控えめに言ってめっちゃくちゃ寂しい。
学校では昼食は彼女ととるし、家に帰っても彼女、彼女って。
話しかけてもほとんど無視。
本人曰く忙しいんやと。
「はぁ、ちょっとくらい俺に構ってくれてもええやん….さむのアホ、泣」
ぽろぽろと大粒の涙が信じられないほど溢れてくる。
胸がズキズキ痛い。
なんでこんな気持ちになるのか分からない。
嫉妬して泣くとか、まるで好きな人に向ける感情みたい…
あ、そうか。この胸がズキズキして張り裂けそうな感覚、俺は治が好きなんだ。
そう気づいた途端、気持ちが少しスッキリしたが、すぐに絶望感に襲われた。
治には今溺愛中の彼女がいるのだ。
ましてや兄弟で男の俺には勝ち目は無い。
だって治はきっと女の子が恋愛対象だから。
こんな気持ちに気づかなければ良かった。
最悪、
せっかく気づけたのに気持ちも伝えられないなんて。
「、泣」
俺のもんになって。俺だけ見とって。
そう心の中で叫んでも届くはずがない。
俺はこの気持ちも全部包み隠すように布団の中に潜った。
「はぁ、」
いつもより少し早い朝の学校はいつもより静かに感じる。
単に人が少ないのもあるがそれだけではない。
好意に気づく前は気にせずしていた治との会話も気づいた途端、出来なくなってしまった。
気まずくて避けようととった行動も変に怪しまれていないか不安になる。
この気持ちがバレた瞬間、きっと侮辱され軽蔑されて、嫌われるだろう。
だからきっと俺は伝えられない。
伝える勇気がない。
俺の全てが壊れてしまいそうで怖いから。
でも一人で全てを抱え込むのはさすがに辛いから相談は受けてもらうことにした。
相談相手は決まってあの2人。
あの2人はいつも真剣に聞いてくれるしバカにすることも無い。
1番最初に相談した時の1言目が「やっとか」なのは今でも謎だけど。
昼休み、今日も相談に乗ってもらおうと屋上へと向かった。
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コメント
6件
初コメ&フォロー失礼します! 前から読んでましたがストーリー神すぎます!!✨続き楽しみに待ってます!
最高です。弟子になりたいくらい…T^T