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ちなみにこれは別に珍しいことではない。例えば政治家などの政治家と呼ばれる職業に就いている人間の半数以上は自分の信念に基づいて行動しており、彼らの言動には強い説得力がある。
つまり彼らは常に自己判断で物事を決めており、他者の意見に左右されたりしないということだ。
それは政治家に限らずスポーツ選手なども同じようなもので、一流の選手というのは皆それぞれの考えを持って試合に臨んでいるものである。
ただ中にはそういった能力が低い選手もいるけどね。
まあ何にせよ、こういった人たちに共通する点はある。
それは確固たる自信を持っているという点だ。
自分が正しいと信じているからこそ迷いが無く、その結果として周囲に多大な影響力を及ぼすことができるのだと思う。
逆に言えば周囲の人間がいくら騒いだところで彼らを変えることはできないし、それどころか逆効果になってしまうこともあるかもしれない。
そういう意味では今回の件も同じことが言えるのかもしれなかった。
***
「よく逃げずに来てくれたわね」
放課後になり指定された場所へとやってきたのだが、そこで待っていたのはやはり沙耶架であった。
彼女は既に制服を脱ぎ捨ててジャージ姿でおり、まるでこれから運動を始めるかのような格好をしている。
しかもただ着替えただけじゃなく化粧や髪型までも変えていて、いつもとは違う雰囲気を纏っていた。
こうして見ると本当に別人のようにしか見えないんだけど……まさか双子とかじゃないよね? もしそうだとしたら僕たちはとんでもない勘違いをしていたことになる。
でも仮に双子の兄妹だとしたらなんで今さら名乗り出てきたんだろうか? いやまてよ……。ひょっとするとこの人には何か事情があって偽名を使っていただけかもしれないぞ。
だって今の彼女は見た目も性格もまったく違うんだもん! それによく考えたら最初に出会った時も妙に態度がおかしかった気がする。
きっとあの時は変装してたんだよ。うん、絶対そうだ。
じゃなければわざわざこの手紙を読んでいる意味なんて無いでしょう? ***
「それで今日は何の話ですか?」
「いやね、君にちょっと聞きたいことがあってさ」
「聞きたい事……ですか?」
放課後になり、言われた通りに体育館の裏へとやって来たのだがそこには誰もいなかった。
代わりに待っていたのはクラスメイトである水瀬一樹さんだった。
彼はクラスの中でも人気者で女子からも人気があるし、男子からは慕われているタイプの人だ。
そんな人が一体自分にどんな用事があると言うのだろうか。
全く心当たりが無かったが、とりあえず話だけでも聞いてみることにした。
「実は最近、クラスで妙なものが流行してるみたいなんだけど何か知らないかな?」
「流行っているようなものは何も知りませんけど、それがどうかしましたか?」
「うん、実はそのせいで困ったことが起きているんだよ」
「えっと……どういうことでしょう?」
「君は本当に何も知らないみたいだね。それじゃあ仕方ないか」
そう言うと彼はポケットの中から一枚の写真を取り出した。
そこに写っていたのは明らかに盗撮だと分かるものだった。
しかもただ写真を撮っただけではなく、明らかにスカートの中が見えそうなアングルで撮影されている。
そしてその写真には見覚えがあった。
先日、クラスの友達に見せてもらったエロ本に掲載されていた女性と同じ服装をしていたからだ。
ということはまさかとは思うが、自分が狙われているというのか。
「これってやっぱり盗撮だよねぇ」
「そ、そうですね……」
「こういうことをするのは良くないと思うよ。それにもしこれを学校側に知られたりしたら大変なことになるんじゃないかなぁ」
確かに誰かの意見を聞くというのは大事だし、それを否定するつもりはないけどね。
ちなみにこの前見た夢では何故か僕はライオンになっていて、しかもハーレムの主になっていたんだけど……何故あんなことになったのだろうか?
「ふぅ~、やっと終わったよ」
授業が終わると同時に帰り支度を始める。
今日は特に予定も無いので真っ直ぐ家に帰ろうと思う。
たまには寄り道しても良いかもしれないけれど、特に興味を引くようなものは何も無いんだよねぇ。
それに今はちょっと困った状況に陥っていて……。
「えっと、つまりどういうこと?」
今の状況を整理しようと努めるものの上手くいかない。
何故ならこの教室には何故か知らない女の子がいるからだ。
いやまあ本当に訳が分からなくて混乱してるんだけどね! ちなみにその子はクラスメイトじゃないどころか、知り合いですらありませんでしたよ。
うん、この時点で既におかしいよね。
だって僕と彼女は今日初めて会ったはずなのに、まるで昔から知っているかのような口調で話しかけてきたんだよ? そりゃあ戸惑うさ。
しかもその子は制服を着てないし、一体どこから来たんですかね? なんてことを考えている間にも謎の少女は言葉を続けていく。
「私は貴方のことを知っているけれど、貴女は私のことを何も覚えていない。そういうことでしょう?」
「う、うん」
確かに彼女の言うとおり、僕は目の前にいる子のことが全く記憶に無い。
というより初対面だと思う。
それなのに向こうは明らかにこちらのことを知っており、僕に対して何かしら特別な想いを抱いているようだ。
果たしてどんな人物なのか興味はあるけれど……。