テラーノベル
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えんか!
タイトルの記載であれですがCPでは無いです。ほんの僅かではありますが史実が含まれます。
トーストの上のバターみたいに、太陽が水平線に沈んでいく。
橙色に照らされたおおきな窓に体を預けて、わたしはただぼんやりしていた。
カリブ海の船着場に面したこの家では、ほんの少し潮の匂いがして、さざなみの揺れる音が聞こえる。
ベランダの植木鉢にはあなたと育てたチューリップが球根になって眠っていた。
西陽の心地よい暖かさが眠気を誘って、瞼が重くなりかける。
暇だしいっそ寝るのもいいかな、でも夜寝れなくなっちゃうかもしれない。
そんなことをぐだぐだ考えていたけれど、やっぱり眠気には抗えなかったのか、わたしはいつの間にか眠りに落ちていた。
たった一つ、気がかりがあったけれど—————
目を覚ました時、窓の外はすでに青黒く染まっていた。
日の暖かさはもう残っていなかった。ずっと同じ姿勢で窓にもたれかけていたからか、体が少し痛む。
でもわたしはすぐに起き上がって玄関ドアへ向かった。木造の床が裸足に冷たかった。
「…かえってる?」
寝起きの、掠れた声。返事はなかった。
家の中はしんと静まり返っていた。人がいる家には体温が滲み出ている…気がするけど、部屋はやけに冷たかった。
なんで帰ってこれないの、とわたしが無神経にも質問した時、あなたは少し困った笑みを浮かべてたっけ。
わたしを静かに抱きしめて、ごめん、って。もう僕帰る場所無くなっちゃったからさあ、でも行かなきゃ。って。声が震えていた。
表情は見えなかったけど、あなたは本当は泣いていたんだと思う。
5月17日から今。あなたはまだ帰ってこない。
ここまでのご拝読誠にありがとうございました。
最後に表紙をどうぞ…
コメント
6件
初コメ失礼します!🇳🇱君で釣られて来てしまいました…!!💖✨✨ わぁぁ!最初から最後まで切なくて本当に美しいお話でした…!!!!!!!😭😭✨✨✨ 🇦🇼君視点!?!?カリブ海の綺麗な情景から🇳🇱君を健気に待つ、🇳🇱君を構成する4つの国の一つの🇦🇼君の姿、そして史実を交えた結末への流れが完璧で胸が締め付けられました!!!!!!!!😭😭💕💕💕
1行目から比喩?が上手いんですよ もう本書けますね!!切ない感じ大好きです ほんとになんで伸びないんでしょうか
わあ、まだ第1話だというのに、もう胸がぎゅっとなりました……。特に「なんで帰ってこれないの」と聞いたときの、あなたの困った笑顔と震える声の描写がリアルで、その場に立ち会っているような切なさがありました。チューリップが球根で眠っている季節の対比も美しくて、窓子さんの筆致に早くも引き込まれています。続きが気になる……!