すみません!!新作です!!「ソクジナ姫の恋物語。」は、また今度投稿します!キリの悪いタイミングですみません!!
こちらの作品は少しシリアスです。一応🐹受けですが、all攻めになるかマンネライン攻めになるかはまだ決めておりません。学パロです。🐹→高校三年生、🐱→高校二年生、🐴🐨→高校一年生、🐥🐯→中学三年生、🐰🐔→中学二年生、設定です。重要キャラ以外は絵文字はつけません。
今回は過去のお話です。ジミン王子目線です。
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「……えっ、あの子達、何?……汚な…」
「流石にないわ~」
みんな哀れな目で僕らの前を通りすぎていく。だったら産むなよな。こんな理不尽な世界に産まれたいなんか願っちゃいない。誰も僕を求めちゃいない。僕達を。毎日浴びさせる言葉。視線。
「どうして生まれて来ちゃったの?」
そんなの此方が聞きたいよ。
「この子にしようかな。」
今日も誰かがいなくなる。僕には目も向けずに。上等を持っていく。失敗作「僕」は置いていく。別に良い。こんな奴等に連れて行かれるぐらいなら、地獄のようなこの生活もへっちゃらだ。僕は悲しくない。悔しくも、ない。
『あのっ、』
今日、里子に出されるであろう男の子が僕の目の前にやって来た。背は高くて僕よりも年上だと思う。彼は整った顔を少し不安げに歪めて僕を見つめた。
(なんだ………僕になんのようだ…)
🐥「…なに」
『あっ、えっと、とっ友達になりたいと思って、そのぉ、』
🐥「…僕は…なりたくない。」
『そっか…ごめんね…』
僕は少し悲しげな彼の背中を見つめた。次の子へ、次の子へと彼は孤児院の子供たちに同じ要求を迫っていた。「友達になりたい」、そんな言葉誰が受け止めてくれるものか。と言っても僕にも友達はいた。同い年の奴と一つ下の男。
僕がもっと小さい頃、喋りかけられて信頼している人。初めて感じた、友情。温もり。二人といるときは凄く暖かい気持ちになった。でも、それっきり友達を作ろうだなんて思ったこともない。二人がいるならそれで良い。もう要らない。逆に二人が居なかったらだなんて考えるだけで頭が痛くなる。目の前が真っ白になる。これはいわゆる「独占欲」というモノなのだろうか。
他の子達はどうなのだろう。捨てられた僕達は。顔も知らない生みの親を恨んで用意されたどろどろの残飯を食べ、毎日悪夢にうなされる。お風呂なんて入ったこともない。そんな僕達に「友達」など要るのだろうか。いや、僕は人の事言えないけど。
彼は質問を繰り返していた。みんな俯いて首を横に振る。それが正解だと思う。
(今更なんだよ……急に友達が欲しいってかぁ?……いや、急にじゃないな…確かこの人、毎日聞いてきたような気がする…何で友達なんか……)
彼は僕の方へ戻ってきた。もしかして全員に聞き終わった?彼の悲しげな顔を見る限り全員に断られたんだろう。いや、普通断るだろ。てか、何で戻ってきたんだ?僕になんのよう……
『友達になってください!!!』
🐥「…えっ?、」
『あっ、えっと、お願いします!』
🐥「…僕さっき嫌って言いましたよね……」
『…ごっ、ごめんなさい…』
そこからが地獄だった。何回も何回も同じことの繰り返し。永遠に聞きに来る。みんなに聞いて僕のところに戻ってくる。こいつ、嫌って言葉の意味、分かんないのか?それとも僕らに迷惑かけたくてわざとやってる?
『友達になってください……』
「無理。」
「…嫌…」
「…なりたくない…」
永遠に断られている彼を見ると少し胸がキュゥと苦しくなった。
(なにこれ……)
今まで辛いことだって沢山あった。今だって辛いしもう死にたいぐらい。きっと僕の方が辛かった。今日、里子に出されるくせに。外の世界に出て幸せに暮らすくせに。僕より生を認められてるくせに。何でそんな悲しそうな顔をする。友達ができなかったからなんだってんだ。そんなこと気にならないぐらい、君は今から幸せを贈るというのに。
どうして?どうして?
嫌いだ。彼がとてつもなく。意味がわからない。凄く自分が醜く見える。僕の目に映る彼の顔に罰印が浮かぶ。彼の優しさが儚さが理想が僕とは真逆で真っ直ぐで。悪い気持ちが溢れてきた。黒い気持ちがドロドロした不思議なものが僕の心から溢れ出してきた。
あぁ、死んで。しんで。シンデ。
『あのっ、』
🐥「いい加減にしろよ!!」
僕は勢い余って叫んでしまった。みんな、びっくりして僕らを見つめている。彼は固まったまま僕の顔を見つめていた。止めなきゃ、問題を起こしてはダメだ。
追い出される_____
そう頭ではわかっていても僕の口が止まることはなかった。
🐥「なんなんだよ!友達?ふざけてんじゃねーよ!僕が里子に出されないから、可哀想だなとか思ってんだろ!?言ってみろよ!」
『…あっ、あのっ、』
「やめろ、十五番。追い出すぞ。」
僕の孤児院ナンバーを呼ぶ管理員の声が聞こえる。
十五番?ふざけるな。僕はそんな名前じゃない。僕は物じゃない。
僕は、僕は、
🐥「僕はっ_______」
なんだろう___________
名前はない。親はいない。幸せは、ない。
僕に生まれてくる意味はあったんだろうか。
『君の名前を考えてあげるよ。』
『居場所をつくってあげる。』
『友達、だよね?』
あぁ、またこの夢だ。
あるわけのない架空の夢の世界。
顔も名前も分からない声の主。でもどこか聞いたことがあるような。
一瞬でわかった。
彼が好きだと。
でもそんな夢を見たって叶わないのはわかってる。届かない人だってことは。
だから僕は、無意味な悪足掻きをする。あぁ、そうだ。本当はこうやって、足掻きたかったんだ。我慢せずに囚われずに生きていたかった。誰にも止められない。
🐥「ほら、言ってみろよ!その綺麗な口から可哀想って!思ったこと口にしてみろよ!!!僕の方が凄いって、上だって!!良い子ぶってんじゃねーよ!!」
『そんなことっ、思ってな』
🐥「思ってるよ!!綺麗事ばっか言ってんじゃねーよ!!!」
ドンッと僕が彼を突き倒す。彼は痛そうに腰を抱えながら僕の方を見て優しく眉を下げながら笑った。
なんだよ、その顔。初めて見た、優しい顔。見たことなかった。まるで「ごめんね」と微笑んでいるようだった。彼の瞳に映る自分が凄く醜く思えてきた。優しくて美しくて。こんな彼の瞳に本当に僕が映ってしまって良いのだろうか。
「ちょっと!!私の子に何してるのよ!!」
今日、彼を里子として連れていくつもりの不細工なババァはそう言った。
捨てたくせに。金としか思ってないくせに。
🐥「私の子?ふざけるな!!!子供だなんて思ってなかったくせに!!命はそんなに安くない!!たった一つの契約だけで繋がれるような軽いものじゃねーんだ!!」
「私はこの子を愛しているのよ!!!!!」
血走った目で叫ぶこいつはまるで獲物を見つけた怪物かのような顔をしていて一瞬だけ、アイツと重なって見えた。
僕を捨てたアイツと_________________
🐥「ムカつくんだよ!!その顔がぁ!!その見下したような顔がよぉ!!!!」
僕は女の顔をくしゃくしゃに掴むと女は苦しそうに呼吸をしながら僕を睨み付けた。
せっかく良い調子だったのに________
金になりそうだったのに__________
そんな言葉が女の表情から読み取れた。きっと彼のことをお金としか思ってなかったんだろう。こんな女に彼が連れていかれなくて良かったぁと安心してしまう自分がいた。僕は恥ずかしくなって下を向いてしまう。ここで問題を起こしては駄目なのに。もういい。僕はどうせ追放だ。それならもういっそ、
僕は無我夢中で走った。
息が続かなくなって近くにある公園の木下に座り込んだ。
昔、母さんとよく来た場所。
思い出したくもない記憶がいつも僕を襲ってくる。これが悪夢だ。
生まれてきた意味。
そんな問題の答えを探して僕は生きていくんだろう。一人で。ずっと。
『教えてあげる。僕の事。』
『僕の事、忘れないで。』
『愛してあげるからさ。』
『何で生きてるんだろうねぇ。』
あぁ、またこの夢だ。もう何度目だろう。繊細で美しくてやけにリアルな夢。
手を伸ばせば届きそうな。届かなそうな。不思議な彼。
僕はそこで眠りについた。
これが僕の過去の『一部』
第0話 過去 終わり
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