テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#青春恋愛
める
48
夏希(なつき)
166
奇蹟あい
1,760
月曜日。
朝。
玲は教室に入った。
「おはよう、玲くん!」
「……おはよう」
星羅が笑う。
いつもと同じ。
なのに。
玲は少しだけ目を逸らした。
「……?」
「どうしたの?」
「いや」
昨日から。
ずっと考えていた。
水族館。
繋いだ手。
星羅の笑顔。
そして。
――「玲くんといると幸せ」
あの言葉。
胸の奥が妙に熱くなる。
「玲くん?」
「……何でもない」
「ふふっ」
星羅は玲の顔を覗き込む。
「もしかして、照れてる?」
「照れてない」
「ほんと?」
「ああ」
「じゃあ、こっち見て」
「……」
玲が星羅を見る。
「……やっぱり赤い」
「うるさい」
「あはは♪」
星羅は嬉しそうに笑った。
昼休み。
二人で屋上へ向かう。
いつもの場所。
風が少し強い。
「ねえ、玲くん」
「ん?」
「昨日のデート、どうだった?」
「楽しかった」
「……それだけ?」
「?」
「もっとないの?」
玲は少し考える。
「星羅が楽しそうだった」
「……!」
星羅の顔が赤くなる。
「それ、ずるい」
「何が?」
「私が聞きたいのは、玲くんがどうだったか」
「……」
玲は空を見る。
「俺も……楽しかった」
「本当?」
「ああ」
「じゃあ……」
星羅が少しだけ近づく。
「また行きたい?」
「……行きたい」
「……!」
星羅は嬉しそうに笑う。
「約束ね」
「ああ」
午後。
授業中。
玲は黒板を見ながら考えていた。
最近。
星羅のことばかり考えている。
朝起きると、星羅が何をしているか考える。
学校に来れば、自然と星羅を探す。
帰るときは、もっと一緒にいたいと思う。
そして。
他の男子と話していると。
なぜか気になる。
「……」
これって。
もしかして。
放課後。
星羅と二人で帰る。
「玲くん」
「ん?」
「今日、静かだね」
「……考え事」
「また?」
「ああ」
「何考えてるの?」
玲は星羅を見る。
「……星羅のこと」
「えっ」
星羅の顔が真っ赤になる。
「わ、私!?」
「ああ」
「な、何を!?」
「……」
玲は言葉に詰まる。
「最近、よく考える」
「……」
「星羅のこと」
星羅は立ち止まった。
「玲くん」
「ん?」
「それ……」
少し震えた声。
「期待してもいい?」
「……」
玲も立ち止まる。
夕暮れの道。
しばらく沈黙。
「……分からない」
玲が答える。
「でも」
「……」
「星羅が他の誰かと楽しそうにしてると、少し嫌だ」
星羅の目が大きくなる。
「……それって」
「俺にも、まだ分からない」
星羅は嬉しそうに笑った。
「……十分だよ」
「え?」
「それだけで十分」
星羅は玲の手を取る。
「ゆっくりでいい」
「……」
「私、待つから」
そして。
「玲くんが私を好きになるまで」
玲は何も言えなかった。
その夜。
星羅は配信をしていた。
『今日はね、すごく嬉しいことがあったの』
コメント欄が流れる。
『また恋バナ!?』
『最近多くない?』
『彼氏できた?』
星羅は笑う。
『まだだよ♪』
そして。
『でもね』
少しだけ照れながら。
『私の大切な人が……』
言葉を選ぶ。
『少しだけ、私のことを特別に思ってくれてるみたい』
コメントが爆発する。
『きたあああ!』
『青春!』
『お幸せに!』
星羅は顔を赤くする。
『ありがとう』
その笑顔は。
全国のファンに向けたもの。
だけど。
その心の中にいるのは。
ただ一人。
玲だけ。
配信終了。
星羅は椅子に座ったまま、スマホを見る。
玲からメッセージ。
『今日はありがとう』
星羅はすぐに返信する。
『こちらこそ♪』
そして。
少し迷ってから。
『大好きだよ』
送信。
「……」
数秒後。
既読。
しかし返信は来ない。
「……ふふ」
星羅はスマホを胸に抱く。
「まだ言葉では返してくれなくてもいい」
そして。
静かに笑う。
「いつか絶対、玲くんの口から聞かせてね」
――好き。
その一言を。
誰よりも。
自分だけに。
一方。
玲はベッドの上でスマホを見つめていた。
星羅からのメッセージ。
**『大好きだよ』**
「……」
玲はしばらく画面を見つめる。
そして。
小さく笑った。
「……俺も」
まだ送信はしない。
けれど。
その気持ちは。
もう誤魔化せなくなり始めていた。
コメント
3件
うわああああ!第20話、めっちゃ良かった……! 「好き、なのかもしれない」ってタイトルまんまだけど、玲くんが自分の気持ちに気づき始める過程が丁寧で、胸がぎゅっとなったよ。 特に「他の男子と楽しそうにしてると嫌だ」ってところ、自分で自覚してない嫉妬心がリアルすぎる……!星羅ちゃんの「待つから」も、彼女の強さと優しさが滲んでて好きだなあ。 ラストの配信と玲くんのベッドでの「俺も」、まだ送信しないところも含めて青春の甘酸っぱさが詰まってた。次が待ち遠しいよ!