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ー夫や妻以外との情事
ー互いに無理のない時間での逢瀬
ー家庭を壊す気もなければ日常を壊す気もない
ーでも平凡過ぎるそれらの打破となり刺激となる数時間は、自分の自信や最低限の優越意識を取り戻す時間となった
ーまだ知らない自分に出会えた
などなど…熱を含んだ言葉を書き込んでいる人たちが、私と同じ主婦だということが信じられない。
もちろん男性も書き込んではいるのだけれど、やはり自分と同じ女性の意見が気になった。
アルバイトなんて言っていたけれど、直美さんも参加しているのよね…?
ブロ…ゥン…バタンッ…
宅配便トラックの音でハッと時計を見ると、もう14時。
荷物は中西家と反対隣へのもので、うちではないようだ。
急いで冷凍庫からラップに包んだご飯を出して、レンジで解凍する。
そして納豆とふりかけで、とりあえずの昼食を済ませると、家中の窓を閉める。
洗濯物も取り入れようかと思ったけれど、千愛の下校時間までには買い物から帰っていなくちゃいけない。
私は急いでスーパーへ向かった。
いつものスーパーなのに、頭がふわふわしてメニューを思いつかない。
長時間スマホを見ていたせいかしら……と…
「失礼…」
ぼーっとした私が邪魔をしていたのだろう。
私の後ろから一言声を掛けた高身長の男性が、私に触れないように、でもギリギリで腕を伸ばして、私の目の前のブロッコリーを取った。
「ぁ……すみま…」
サッとスーパーの奥へと立ち去った男性の残した香り…残り香を感じて、私は
“夫とは違う男の匂いに、自分の女が蘇るのを感じるのです”
という書き込みを思い出した。
直美さんもそんな風に感じるのだろうか?
それが今わからない私が、女として枯れているの?
“外での刺激があってこそ、家で夫とさらに熱情に包まれた”
これは女性側からも男性側からも、同じような書き込みがあった。
だから、中西夫妻はラブラブでも、夫は私に魅力を感じないのか。
それなら夫は直美さんには色気を感じたりするのだろうか。
さっきの男性が手にしたのと同じように、ブロッコリーをカゴに入れてから急いでメニューを決める。
千愛のおやつは…ヨーグルトは朝に食べたから、何がいいかしら…
なんとか思考を日常へと戻して、買い物を済ませると家へと急いだ。