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#何でも許せる方向け
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空愛@ぼっちな腐女子
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荒廃した世界に、人はいない。
野良犬すらも朽ち果てるこの地に足を踏み入れてしまえば、いつ死ぬのかなんてわかりっこない。
「げほっ、ごほ」
喉に入り込む砂の群れに思わずむせてしまう。
暑い
熱い
日陰なんて存在せず、物は延々と光に照らされ続ける。
夜なんて、いつからなくなったのだろう。
これまで割と、沢山の人と出会った気がする。けどその人にまた会おうと思い道を引き返す度、彼等は土になっていた。
土から物を剥ぎ取る度何も無いはずの胃から嘔吐する。
涙と吐瀉物でぐしゃぐしゃになった顔を汚れた布で拭い、また進む。
僕の背中には死神が泳いでいる。止まれば、すぐそこにいる死神追いつかれ、僕すらも砂にされるだろう。
「……鐘?」
まだ壊れていないようだ。綺麗なウエディングベル。花びらまで飾られている。
この音、誰かに届くかな。
ふとそう思えば、後は早かった。一直線にベルへ駆けつけ、分厚い手袋を取る。そして、黒ずんでちぎれそうな縄を手に取り、ゆっくりと揺らしてみた。
リーン……
ゴーン………
その音は荒野の世界に響き渡る。ぼやけながらも音は進み続けている。汚れのないその音に、思わず涙が出そうになった。
嗚呼、なんていい音色なんだろう。
どうかこの音が誰かに______
「りーん、ごーん」
「…!」
どこからか音………、声が聞こえた。人間らしくないガビガビした声だった。辺りを見渡すがどこにも誰もいなかった。
「どこを見てる。こっちだよ」
「どこ?」
「君の後ろ」
一瞬背筋がゾクッとした気がした。声の言う通り、恐る恐る後ろを振り向くと
「わっ」
「驚きましたか?」
少女だった。橙色の髪が風に揺れている。髪色と同じで底知れない恐怖感がある瞳の奥には自分が写っている。こんな世界に、かなり薄着だが大丈夫なのだろうか?
「私は大丈夫です。人間ではないので」
「どうして!」
「人の心くらい、機械にわからないわけないでしょう。舐めないでください」
「舐めたつもりはないけど……」
表情は変わらないが、思ったより感情豊かだった。確かに、よくよく観察してみれば関節が着せ替えドールのような球体関節になっていたり、ちらりと見えた首には機械であることを確信させるようなヒビがはいっていた。
彼女は後に自身を『No.000001』と名乗った。
わかりにくかったから、僕は彼女を『レイ』ということにした。0が多いからだ。
「君は、レイ。いいかい?」
「かしこまりました」
『データを更新中。メモリーを変更中』
「完了しました。私はレイ。貴方は? 」
「よろしくね、レイ。僕は」
「僕は、ミライだ」