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西城さん、今日もお休み。
名前だけ知っていて、顔もなにもかも知らない生徒。この子は不登校なのだろうか。他の先生に聞いてみた。
「9組の西城さんって、どんな生徒ですか?」
「あぁ、西城さん、以前から出席率良くありませんよね。でも成績はとても良いので特に心配はしていませんが、なにかありましたか?」
「そうだったんですね。いえ、特に。まあ、色々ありますよね。」
学校なんてつまらないものなのだろうか。自分が高校生の頃は、学校に魅力を感じでいたのだが、今の高校生たちには、学校以外にたくさんの魅力的なものがあるから。
考え方を、改めなくては。昔と今は違うんだ。
休み時間、昼食を買いに外へ出た。
一台の車が目に入る。ドアを開けて出てきたのは1人の生徒だった。
「おはようございます」
そう言って生徒の返事を待ちながら、じっと顔を見る。顔色が悪いな。体調が悪いのだろうか。
「…おはようございます」
声も小さい。
無理をしないでほしいけど。
すると奥から1人他の先生がきた。
「あー!西城さん、おはよう!体調大丈夫?」
え、この子が西城さん!?
いやでも、苗字が同じなだけかもしれないし。
「…おはようございます。すみません、大丈夫です。」
「そっかそっか!無理しないでね。
…あ、如月先生!この子が西城さんですよ。」
「え!?あ、あぁ…西城さん。」
声をかけられるなんて思ってもなかったので、情けない声が出る。
やっぱりこの子が…
「え?」
「あごめんね、如月先生の授業の日、毎回休んじゃってるから、西城さんのこと気にしてたの。」
ああ、誤解のうむ言い方だな。
まあ気にしてたことは本当だけど。
「今日は来てくれて良かったです。よろしくね、西城さん」
「あ…はい。よろしくお願いします」
白い肌がやけに目立つ。ふらふらしながら西城さんは職員室へと向かっていった。あれだけ細ければ体力はつかないだろう。食生活を見直すべきか、それとも、適度な運動が足りないのか。そんなお節介な独り言を心の中で呟きながら、昼食を買った。
それから、西城さんは週に2回ほど僕の授業に出席してくれるようになった。
席の近い友人と楽しそうに喋っている。しかし非常に繊細な笑顔に、ほんの少しだけ違和感を感じる。教師として、やはり西城さんを気にしてしまう。生徒側に視線を戻すたび、ちらりと西城さんの席のあたりを確認してしまう。ああ、今日は休みだった。なんてことはよくある。少しお節介が過ぎるな、と自分で気持ちがる程だった。