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「私も邪見には出来なくて」
「まぁ、春美から声かけたって言う罪悪感もあるんだろうけど。でも、悪く思ってないからこそ付き合ったんだよ、やっぱり」
仁香は、前より好意的に受け取ってくれた。
「うん。わかってる。だから、私にも現実受け止める意味でも必要な期間なのかなって思ってる」
「なるほどね。もっと自分が若かったらって思うけど、まだ手離すには後ろ髪引かれる。諦めきれない現実ってあるよね。私も某俳優がさ、告って来たら年齢とか現実考えて断らなきゃならないけどちょっとくらい夢見たっていいじゃんって、思うもんね」
「何の話してるのよ、アンタは」
「だってこんなイケメンと付き合えるって時にあと10歳若かったらなぁってわかってるけど、潔く諦められないじゃん」
「そこに恋愛感情もないじゃん。イケメンだし、ワンチャンってそれ浅いって」
二人が言い合っているのを聞いて吹き出す。
「はははは、でも近いものはあるかもしれないね」
二人が重く受け止めないでくれてホッとした。
私が笑うと、やいやい言い合ってた二人も吹き出した。ふと、仁香が真顔になる。
「この前さ、春美がその年下くんの話してくれた時。私、あとから言い過ぎたなって反省した」
「んーん、言ってくれて良かったよ。現実見られたし。まあ、まだちゃんと縁を切れては無いんだけど」
「違うの、その年齢差とか大学生はナイわぁ、って思いながらもどこかで春美の状況を妬んで、否定することで精神保ったっていうかさ、なんだかんだナイとは思うけど春美が先に結婚しちゃったらどうしようとか、結婚してもどうせすぐ別れるし大丈夫って思った瞬間ハッとしたの。大丈夫って何? って。いつの間に、結婚を勝ち負けで考えて、上に立とうとしてたんだろうって。しかも、大事な春美だよ。心配じゃなくて、妬んでたんだーって。私のせいで春美がちゃんとした選択出来てなかったとしたら、本当にごめん」
仁香は神妙な面持ちで顔の前で手を合わせた。
「仁香……。うん、大丈夫。私、ちゃんと二人で結論出したからさ」
「ほんとに、ほんと? 」
「うん。気にしてくれてありがと」
「春美ぃ。私たちは結婚してもしなくても仲良くしようねぇ」
涙ぐむ仁香に、昌代が吹き出した。
「婚活って、怖いわ。婚活が悪い! 」
「そうだ、そうだ」
私も同意する。
「でも、年齢以外はすごい羨ましいくらいの子だよね。だからこそ、もっと早く出会いたいとか、もっと……って思っちゃうね」
「そうだね」
「私の知り合い15歳差のご夫婦いるけど、もういい年だからかどっちがどちかわからなくなってるよ。おじいさんの方からの熱心なアプローチだったとかで、仲良くやってるよ」
「あー、うちの周りも年の差上手くいってる。あ。だめだったところもあるな」
「そりゃそうでしょうよ。カップルごとに色々あるわよ。年齢差があるからって別れの原因が全部年の差ではないでしょうに」
「それはそうね。ね、だから春美は後悔しないように決めなね」
二人にそう言われ、私は素直に頷いた。
「あー……それにしても、相手探しってなっかなかだわ」
仁香が話をループさせる。専らの悩みらしい。
「昔ならいざい知らず、単独見合いみたいなもんなんだから、会ったばかりの人を判断するのは難しいでしょ。 私たちの年ともなればそれなりに恋愛経験もあって、いろいろな男性を見てきてるから、わかる部分もあるじゃん。あ、この人は無理だなっていう直感とか」
「掲示された情報以外の部分ね。生理的に無理とか。肌感覚っていうのかな」
「そうそう。逆に結婚相手の条件をちょっとくらい緩めてもいいかと思わせる何かを感じたり」
「ね、どんなに頭でこの人はお勧めって情報を得ても感情が優先されちゃう」
「理性を曇らせる気持ち」
「ねー」
やっぱり、恋人と結婚したかったな。そう思う気持ちが拭えない。
「正直、良い人ってだいたい残ってない。たまーに掘り出し物みたいなオトコいるけど一気に激戦だよ」
「まぁまぁ、まだ婚活じゃなくて恋愛スタートの普通の出会いもあるかもしれないじゃん。それならすぐに結婚しても新婚生活楽しいだろうね」
「理想と現実の格差に落ち込むからやめてぇ」
そこから、昌代の恋人の話を聞いて、話題は再び私に移った。
「ね、期間限定っていっても付き合うってどんな感じ? 」
昌代が興味津々で聞いてくる。
私は、今の状態を話して聞かせた。広睦くんの大学の女の子たちに色々言われたことや、それに広睦くんが怒ったことなど。それから……――
「以前はお泊りーって強引な所があって、結局未遂に終わったんだけど……。でもこの前は私が『家来る? 』って言ったら向こうは流したんだよ。でも諦めてないとも言われたし、こういうのどういうことなんだろうね」
それまでうんうん聞いてた二人だったが、私がそう尋ねるとしかめっ面をした。
「知らないわよ」仁香が呆れるように言い放った。
「そうそう、本人に聞け」昌代もぶっきらぼうに言う。
「ええ、わからないから聞いてるのに。本人聞くのは気まずいし」
「だからってねえ、会ったことのない青二才の感情をあんたから一方的に聞いた先入観と主観と都合のいい解釈が入った情報をこんな感じかなぁって予測してアドバイスしないといけないのよっ!」
途中から昌代はこらえきれないとばかりに笑いながらそう言った。仁香も呆れたように笑っていた。
「どういうことよ、わかんない」
私はちょっと拗ねて口を尖らせた。
「春美、あんたも悪い様には思ってないってこと」
仁香がくすくす笑う。昌代は、ふーっと息を吐いて
「少なくとも、恋心という関してはその子の方がずっと純粋だよ。何も悪くない」
そう言いきった。
#年の差
西原衣都
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コメント
1件
うーん、このエピソード、仁香の嫉妬と自己反省のシーンがすごく刺さったな…🤍 友達同士のリアルな空気感とか、年齢差恋愛への複雑な気持ちとか、すごく丁寧に描かれてて、読んでて自分のことみたいに感じた。 広睦くんの感情を二人が「本人に聞け」ってバッサリいくのも、逆に信頼されてる感じがしてほっこりしたよ🥀 春美の迷いとか、もっと読みたいなって思った〜🌙