テラーノベル
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❤️🤍と💙 ようやく
「あの、さ」
「うん?」
澄み渡った青空が広がる日の午後、オフが重なった俺たちの元へ、朝からの仕事を終えた翔太が訪ねてきた
目の前に座る翔太は、もじもじと恥ずかしがって口籠もっているけど、その顔は嬉しさが隠しきれてなくって、もう何を言われるのかなんて想像に容易い
それでも、ようやく聞ける幸せな報告は、ちゃんと本人の口から聞きたくて、気長にそれに続く言葉を待つ
待ちきれずに何か言いたげなラウールを目線で制し、テーブルの下で脚を軽く叩いて宥める
仕方ないなぁという顔をして、ラウールも大人しく翔太の言葉を待つ
頬杖をしながら翔太を見る顔は、目の前の恥ずかしがりよりも、よっぽど大人っぽく見える
「あの、あのね、、、つ、つ、付き合えることになった!」
そこまで言うと、はぁーと大きなため息をつく
別に俺らに告白するわけでもないのに、ずいぶんと気合が入った報告だった
「そう、よかったね。おめでとう」
「しょっぴー!おめでとう!やったじゃん!」
ぎゅっと翔太の手を握って喜ぶラウールに、ようやく肩の力を抜いた翔太は、今度こそ満面の笑みを浮かべた
「えへへ、ほんとありがとう。2人がいっぱい相談乗ってくれたおかげだ」
本当にようやくだ
あの3人には、告白もできないままに〜、とか言ったけど、それは翔太だって同じだ
毎度、想いを伝えてもないのに、さめざめと泣きながら諦めると言う翔太に、何度、伝えてみたら?と言っても聞く耳を持たなかった
けど、今回のアクションに踏み切る勇気に繋がったなら、翔太にとってはあの失恋たちは必要な経験だったのかもしれない……3人は不憫だけど
まぁ3人とも吹っ切れてるみたいだから、たぶん素直に祝福してくれるだろう
「メンバーには報告するの?」
「ん、する。恥ずかしいけど、やっぱ、ちゃんとした方がいいかなって話して」
「そっか」
じゃあ、あの2人を慰める準備もいるなぁ、と頭の片隅で考えるけど、それは後で考えればいいし、今はただ目の前の翔太を祝福しよう
「しょっぴー、あの作戦は本当に実行したの?」
「……うん。もう、緊張しすぎて心臓止まるかと思ったけど。………でも、それで好きって言ってもらえたから」
「うん」
「…だから、頑張ってみてよかった」
「しょっぴーにしては思い切ったもんね〜!頑張ったね〜〜!」
わしゃわしゃと頭を撫でられて少し鬱陶しそうにするものの、流石に相談に乗ってもらっていた手前か、翔太はされるがままだ
「めちゃくちゃ恥ずかしかった……もう、あんなことできないかも…」
「いやいや!始まったところだから!これからも、誕生日とかさ!色々と頑張らなきゃだよ!笑」
「えぇ〜!できるかな……」
「大丈夫だって!向こうもしょっぴーのこと好きなんだから、嬉しいに決まってるでしょ!」
「ん〜、そっかぁ〜…それならできるかなぁ…」
「できるかじゃなくて、や・る・の!」
「……また相談乗ってくれる?」
自信なさげに上目遣いでラウールを見つめる翔太
「んもぅ〜!しょうがないなぁ〜!可愛いんだからぁ〜!」
「……ありがと」
この2人は年齢通りに翔太がお兄ちゃんをしてることが多いけど、時たま、その立場が逆転す
そのどっちが上だか分からないような関係を見て、微笑ましく思っていると、翔太の携帯が通知を知らせる
「あ!仕事終わったみたい」
「約束してるの?」
「うん!」
途端に声を弾ませて、頬を緩ませる様子に、思わずこちらも笑みが溢れる
「じゃあ、そろそろ帰らなきゃね」
「うん。お邪魔しました」
「翔太。今度こそ、実ってよかったね」
「ん、長いことありがとうな。涼太」
「これからも仲良くね」
「うん。またな」
「また恋バナしようね〜!しょっぴー!」
「ラウも、ありがと。またな」
手を振って玄関を後にする翔太の顔は、その後ろに見える晴天に負けないくらいに晴れやかだった
終わり
コメント
2件
終わりました〜✨ それこそ、ようやく!笑 続きも書きたいような気もするけど、まだ思いついてないし、これ以上はしっちゃかめっちゃかになるので、あっても別軸で🤭 一旦はこれで終わりです🌼 楽しみに読んでくださって、いいねやコメント下さった方々、ありがとうございます💞