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同じ頃、あるネット配信動画が瞬く間に拡散されていた。
ボイスレコーダーに記録された韓洋の声は、呂律が回らず聴き取りにくかった。しかし、世間に衝撃を与えたのは事実で、酩酊会見としてネット上に溢れ出し、瞬く間に世界中に拡散していった。
インタビュアーの声の主はマ・オだった。
記録された会話は、催眠術で嘘がつけない状態にされた韓洋の心の声そのものだった。
その内容はネット民を刺激した。
底なし沼のように、光を求めて這いずりまわる人々をも盲目にさせていった。
「東京からたくさんの人達が居なくなって、韓さんはどうお感じになりました?」
「正直なとこ、ざまあみろって思っちゃ…ね… 同じのはもっともといる。君らが知らんだけ」
「韓さん、日本が嫌いなのに帰化したの?」
「キライだよこんな見せかけの国。なっくなったままでさ、新しく私達の国が再建してやんなきゃ…無能な政治家とマスコミしかいないろくでもない国なんだから!」
「新しく作ってくれる国って何処なの?」
マ・オの問いに、韓洋が笑った、
子供の無邪気な笑い声にも聞こえる。
マ・オの柔和な声がする。
「なにがおかしいの?」
「バカばっかしだな。世界の中心で華を咲かすんだ!決まってる私のふるさと!私の心!日本は故郷じゃない。見せかけの国ハリネズミの国」
「ハリネズミ?」
「ハリボテの国!揚げ足ばっかり取るの悪い癖だ!」
「そんなに怒らないで…どうやって新しくしてくれるの?「
「もう始めてる…あれ…東京ジェノサイドでみな消したし…あれ?あれ、そう!私達が消した」
「私達って、他にもいるの?」
「桂木達はみんな仲間だ。あれ…同士!「
「桂木総理大臣のこと?」
「そう!みーんながしってるよ、みーんなともだちだよ。みんなで消した」
「みんなで?」
韓洋の嗚咽が漏れ始めた。
その声がしばらく続いた後で音声は切れた。