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ナゴミヤ旅館オーナーの和水路郎は、最近恋人同士になった五泉莉來と一緒に羽渡志土の部屋に料理を持って行った。
路郎「羽渡様、お食事で御座います」
路郎はおぼんの底を左手の平で持ってそう言い、右手でコンコンと部屋の扉をノックした。すると、扉は開き、そこには不機嫌そうな志土がいた。
志土「何しに来やがったテメェ!!」
志土は路郎に対して怒鳴り、彼の胸倉を掴みにかかっていた。その時、路郎の左手に持っていたおぼんがバランスを崩して床に落ちてしまい、盛大な音を立てて零れてしまった。
莉來「おい路郎さんに何してんだテメェ!?」
莉來が低い声で口悪く怒り、路郎の胸倉を掴んでいる元恋人の志土の胸倉を掴む。そんな莉來を見て志土は驚いた顔をしたが、直ぐに莉來を睨む。
志土「放せクソアマ!!」
莉來「それじゃぁ路郎さんから放せよテメェ!!」
風太「どないした!?」
志土が路郎、莉來が志土の胸倉を掴んでいる時に、食器が落ちる音を聞いた風太が、慌てて走って来ていた。
志土「チッ!置いとけ!!」
風太がやって来たので志土は路郎から胸倉を放し、自分の胸倉を掴んでいる莉來の手首を軽く捻った。
莉來「いたッ!クソ野郎!!」
志土「テメェに言われたかねェよ!!」
志土は莉來に怒鳴ると、自室に入った。
風太「(デートしに来たら、彼女が堂々と他の男に移ったからなー。羽渡の怒りはまぁ理解は出来る)」
莉來とこの旅館にデートに来た筈が、路郎の端正な顔立ちに落ちた彼女からのまさかの「別れる宣言」。
莉來から別れを切り出されてから、すっかり志土は莉來から冷たくされている。
風太「(せやのに羽渡は帰らん言うとるけど、なんでやろ?)」
風太だったらキャンセル料も払わずに、とっとと出て行くところだが、志土はここに残っている。
風太「(飯中に入れたるついでに聞こ)。オーナーさん。俺が中持ってっとくから下降りてええで」
路郎「本当ですか?ありがとうございます」
莉來「それじゃぁお願いねぇ♡」
風太「テメェはもうちょい気にしたれよ!」
莉來「だから元恋人だしもうフッたから!」
風太「あんでお前そんな切り替え早いねん!?」
莉來「モテる女だからよ」
風太「なんぼモテてもその性格やったらババアになった時一気にモテんくなるでお前」
莉來「うっせぇブス!!」
風太「性格クソドブス!!」
莉來「なっ!?路郎さぁん…グスッ…!」
風太「泣き落としかいやお前」
風太の言い返しに傷ついた莉來は、涙を流して路郎に泣きついた。路郎は冷や汗をかいて困った顔をして莉來の頭を撫でていた。
路郎「すみません轟雷様」
莉來「莉來悪くないもん!」
路郎は莉來を宥めながら、下へ降りて行った。莉來もそんな今彼に着いていく。
風太「フゥ…。おい羽渡」
志土『置いとけっつってんだ失せろ!!』
莉來と軽い言い合いをした風太は、ひと息ついてから閉まっている扉に向かって話しかけた。だが志土の返事は扉の向こうからで、まるで突き放すような強い物言いだった。
風太「聞きたい事あんねんけど」
志土『俺ァねェよ失せろ!!』
風太はガチャガチャと扉に着いているドアノブを回すが、全く開かなかった。
風太「開けてくれ」
志土『失せろっつってんだよ!!』
ガインッ!!
ガチャッ!!
開かない扉のドアノブを何度も何度も回していると、何かが力ずくで外れた音がした。直後、扉が開閉する音が聞こえた。
志土「へ?」
風太「おお!!開けてくれたん!?いやぁごっつ嬉しいわありがと!!」
志土「はァ!?なんで壊してんだよ!?」
風太「何言うとんの?壊してへんで?ちゃぁんとドアは開けたで」
志土「惚けんな!!その手にあるドアノブなんだよ!?」
志土は、風太の右手の中にあるこの部屋の扉のドアノブを指差した。風太はキリッとした表情をしながら、手に持っているドアノブを扉に戻していた。
風太「え?なんの事?」
志土「惚けんなッ!!あと舌ペロすんな腹立つ!!」
ドアノブを壊した事を惚けているのか、風太はキラッとした目をしつつ舌をペロッと出していた。
風太「おら飯!」
志土「クソッ!置いとけってのに…!!」
風太「俺お前に聞きたいことあんねん」
志土「あんだよ?」
風太は志土の部屋に、路郎と莉來が持ってきてくれた夜食が乗ったおぼんを置いた。
風太「お前なんで帰らへんのん?」
志土「良いだろうが別に!!」
風太「デートしに来た彼女がアッサリ自分フッてアッサリ他の男と付き合うてるやん。俺と快晴やったら帰っとるで?」
風太の質問を聞いて、志土は眉間に皺を寄せた。そして、そのままお箸を持ち、路郎と莉來が持って来た夜食を食べ始めた。
志土「この旅館…」
風太「あ?」
志土「女が行方不明になるって噂があんだろ?」
風太「ん?ああ」
志土「莉來をここに連れて来ちまったんだ。アイツと一緒に帰るまで、俺ァアイツと恋人関係解消しねェ」
志土の言葉を聞いて風太は目を見開いた。予想外すぎる言葉だったからだ。
風太「お前、その噂から莉來を護ろうとしとんのか?」
志土「悪ィかよ?俺がここまで連れて来といて、怒ってっからって莉來放って帰った時に、莉來が行方不明になってたら、流石に目覚め悪ィしな」
風太「……は?誰お前?」
志土「なんでだよ!?」
風太「受け付けで店員に迷惑かけとっ奴と同じ人や思えへん」
志土「るっせェな!!悪ぶってんだよ!!」
風太「悪ぶっとんの!?ダッサ!!www」
風太は志土に対して好感度が少しあがった。
このあと快晴に伝えると、快晴も志土に対して好感度があがった。
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加藤あいさ
21
哀 川 せ せ ら .
14,946
ねむ
222