僕達の手元に、ピンと張った、質の良い紙が渡された。
【本丸解体後の異動先に就いての希望調査】
上部には、この度の事を大変残念に思います、やら心より哀悼の意をだのと、形式だけのお言葉がずらずらと。
括弧が4つ並んでいる。その中に丸を書いてしまえば僕の続きが決まってしまう。
それが酷く恐ろしいような、でももうどうにかなってしまいたい。
彼女なき今、僕がこの世界に存在する意味が、わからない。
代わりの効く僕らをなにかの代わりとして扱う、そんな選択肢をぼんやりと眺める。
1つ目、他本丸への異動。
2つ目、政府本部への異動。
3つ目のその他は、彼女の母君の本丸への異動を指す。
そして最後が刀解。
懐刀殿はきっと母君の本丸へ戻るだろう。
彼女を、主をいつまでも「姫様」と呼び、己が持ち主としなかった彼。
その忠誠心は本物だろう。僕達とは違う、忠誠心だが。