テラーノベル
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放課後、公園に一人の青年が木箱を持って現れた。高校三年生のネスメラだ。ネスメラを見た子どもや高齢者は、その近くに集まった。ネスメラは木箱から大切そうにけん玉やヨーヨー、あやとりなどを取り出し、いくつものすご技を披露した。子どもたちや高齢者はこの青年の常連で、玩具を使ったすご技を見ては称賛の笑顔を見せていた。
ずっと前からいじめられてきたネスメラは、唯一できた玩具でのすご技披露が心の支えとなっていた。
ある土曜日の朝、散歩しようと準備したとき、ふと何かが一瞬光を反射したような感じがした。目をやると、亡き父母の遺影があった。生物学者だった父と占星術師だった母は、ネスメラが十歳のとき何者かに殺害された。いじめが始まったのもこの頃からだ。
「親父……お袋……。」
そうつぶやきながら外へ出た。
散歩から三十分が経過したある時、信号を待っていると脇から小さい少年がネスメラの着けていた形見の指輪を奪い、信号を無視して逃げた。
「あっおい待て!」
幸いすぐに青信号になり、真っ先に少年を追いかけた。
「あいつ速すぎだろ! 」
気づいたら道路から外れ、茂みや森の中を通っていた。そして、ある石版の前で少年は止まった。ネスメラはその少年めがけて飛び跳ね、覆いかぶさるように捕まえた……はずだった。気づいたら少年は消えていた。指輪も元の指にはまっていた。指輪の宝石は光っていた。不思議に思いながらもと来た道を引き返そうとすると、光はどんどん弱くなってきた。石版に向かうと今度はどんどん強くなってきた。
「どういうことだ?」
ネスメラが石版を観察すると、裏側に文章と手形、そして、
「親父とお袋の名前……。」
亡き父母の名前が書かれていた。上の文章を読んでみようとするが、見たことない字で書かれていて読むことができなかった。不思議に思いながら手形に合わせて右手を当てると、
ガサガサ!ガサガサ!
ポチャン!ポチャン!
ヒューー!ヒューー!
ゴォーォーーォーー!
森や水、風などの音が一斉に鳴り響いた。石版も徐々に光りだした。周りを囲う小さい石塔には火が灯り、地面も揺れだした。そして、七つの石塔から七つの光球が現れ、ネスメラめがけて猛スピードで向かった。視界が白くなり、ネスメラは気を失った。
目が覚めると、病院のベッドの上だった。わけが分からずにいると、医師が入ってきた。
「おぉ目覚めましたか。いやよかったよかった。」
話を聞くと、森の近くに住んでいた人が森の奥で音を聞いたらしく、向かったところネスメラが倒れていたということだった。後から通報してくれた男も来て、お礼を言った。後で森の中にあった石版や石塔について聞いてみたが、
「そんなものなかったぞ。」
と言ったそうだ。
退院できることになり、家に帰り昼ごはんの準備をしていると、スーパーで買った魚が突然宙に待った。びっくりしたネスメラは床に尻もちをついた。水道も勝手に流れ出し、コンロにも火がついた。ネスメラは、驚きのあまりその場で固まっていた。そして、例の七つの光球も現れた。
「よっ!」
光球は目の前で人型になり、一斉に声をかけてきた。ネスメラは驚きのあまり気を失った。(本日二回目)
気がつくと日曜日になっていた。
「俺丸一日寝てたんだ。あれは夢だったんだ。」
そう言いながら周りに目をやると、
「おはようございます!ネスメラ様!」
昨日見た七体があいさつをしてきた。驚いたネスメラは、ベッドから落ちた。
「夢じゃなかった。あんたたち何者なんだ?」
そう聞くと、一番左のやつが説明し始めた。
「驚かせてごめんなさい。私たちは自然を操る精霊です。」
ネスメラは驚きつつも、
「なぜ俺のもとに?」
と聞いた。
「昨日あの石版の手形に手を当てましたよね。あそこは精霊を永久封印する場所で私たちは何者かによって閉じ込められていたんです。しかし、普通の人には見つけることすらできないとき、ネスメラ様は私たちを見つけ、助けてくださったのです。そのお礼として、助けになろうと思いました。」
話を聞きいて少し納得をしたネスメラは、昨日の少年についても聞いてみた。すると、一番右の精霊が説明し始めた。
「あれは私の分身です。封印されている中唯一分身を外に出せることが分かったので、分身を使い石版の見える人を探してたのです。」
ようやく理解したネスメラは、精霊たちの名前を聞いた。すると、左から順に自己紹介が始まった。
「私は火属精霊のメレムです。」
「私は水属精霊のファネです。」
「俺は風属精霊のウォルンです。 」
「俺は地属精霊のネドバーです。 」
「私は光属精霊のペーレです。」
「俺は闇属精霊のヴェイハです。」
「私は命属精霊のピーサです。」
「よろしくお願いします!」
そう言うと、精霊たちはあの時の光球になり、近くの棚の上に置いてあったネスメラの指輪へ入った。指輪は綺麗な七色になった。ネスメラは指輪を指にはめ、朝食の準備をし始めた。
(続く)
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