テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第十二話「ライバル」
防衛軍本部。
訓練場。
ユーマは一人、木刀を握ったまま立ち尽くしていた。
古流斬は捕らわれた。
傲慢も封印された。
その現実が頭から離れない。
「父さん……。」
「何もできなかった。」
拳が震える。
その時だった。
後ろから足音が聞こえる。
神城怜だった。
「ユーマ。」
ユーマは振り返らない。
「……何だ。」
神城怜はゆっくり近づく。
「そんな顔するな。」
ユーマは苦笑する。
「無理だよ。」
「俺はゼノに負けた。」
「父さんも助けられなかった。」
「何もできなかった。」
神城怜は真っ直ぐユーマを見る。
「違う。」
ユーマは顔を上げる。
「お前が負けてる姿。」
「俺は見たくねぇ。」
「お前は俺のライバルだ。」
「だから勝ち続けろ。」
神城怜は拳を握る。
「そして最後は。」
「俺に負けろ。」
少し沈黙。
ユーマは笑った。
「何だよそれ。」
神城怜も笑う。
「ライバルだからな。」
「ゼノなんかに負けるな。」
「俺に負けろ。」
ユーマはゆっくり立ち上がる。
「……そうだな。」
「ゼノなんかに負けるくらいなら。」
「神城、お前に負けた方が何倍もマシだ。」
神城怜は笑う。
「その意気だ。」
ユーマは剣を握り直した。
「それに。」
「俺は古流斬に鍛えられた。」
「父さんの弟子が。」
「こんな所で折れてたまるか。」
二人は拳を合わせた。
「絶対助けよう。」
「ああ。」
⸻
その瞬間――
ビーッ!!
防衛軍本部に警報が鳴り響く。
「緊急警報!」
「敵襲!」
「アークを確認!」
ケイトが司令室へ駆け込む。
「状況!」
隊員が叫ぶ。
「各地に敵部隊出現!」
「幹部を確認しました!」
モニターには戦場が映る。
第二幹部・ヴァルド。
第四幹部・クロム。
街へ侵攻を開始していた。
ケイトは即座に命令する。
「ネイト!」
「ジョト!」
「ダッド!」
「迎撃しろ!」
「了解!」
三人はそれぞれ戦場へ飛び出した。
続いてケイトは神城怜を見る。
「神城。」
「バッドと共に第三幹部を止めろ。」
「はい!」
神城怜は力強く返事をした。
一方――
アーク本部。
ゼノは壁にもたれながら目を閉じていた。
クロノが静かに言う。
「ゼノ。」
「お前は待機だ。」
「危険人物が現れた時だけ動け。」
ゼノは笑う。
「了解。」
「古流斬も傲慢もいない。」
「だが。」
「まだ油断はしない。」
戦いの幕が上がる。
⸻
第十二話 完
651
99
comi
8,677
谷崎爽奈
81
コメント
1件
うわ、第十二話、一気に空気が変わったな……! ユーマが落ち込んでるシーン、すごく胸にきた。でも神城怜の「俺に負けろ」って言葉、めちゃくちゃ熱い。ただの励ましじゃなくて、ライバルだからこそ言える距離感がいい。それで立ち直ったユーマが「父さんの弟子が折れてたまるか」って言うところ、グッと来た。そして最後の敵襲…幹部が一気に動き出した。ゼノがまだ温存されてるのが不気味すぎる。伏線がどう回収されるか楽しみすぎる!