化け物?化け物ってどういうことだ?俺はすごいスピードで走る蓮さんについていく。ま、俺もけっこう速いと思うけどな。夜の冷たい風が体に当たる。カイロがあったら良かったなぁ。って、そんな事考えてる場合じゃない。状況が分からない今、俺は蓮さんの背中を追うことしかできない。何か俺に出来ることはないか、そんな事を考えている合間に、蓮さんの足がピタリと止まった。上を見上げている。俺は蓮さんが見ている方向に目を向けた。すると、巨大なネチョネチョした物体が、いや、怪物がいた。なんだ、あれは。「こわい」そんな思いが込み上げる前に、蓮さんは光の速さで地面を蹴った。舞い上がる蓮さんは、怪物の頭を切り裂いていた。え………?俺はその場に立ち尽くした。でも、そんな事をしている暇はなかった。切り裂かれた怪物がもがきながら俺たちを襲ってきたのだ。その時、蓮さんは声を張り上げて俺に言った
「修!そいつを5回ほど切り裂け!そうすると動かなくなる!」
俺は突然なことに驚いた。頭が追いつかなかったが、体が勝手にうごいた。ドサッグサッザクッ
不吉な音が流れ、怪物は叫びながらコンクリートに溶けていった。一難去った。な、何が起こった?
「修、大丈夫か?ケガはないか?」
蓮さんの心優しい声に少し心が落ち着いた。俺はフルフルと頭を振った。怖すぎて、声が出ない。何故だ?不意に、喉の奥がむずむずした。
「ガハッ。ゲホッ。グエッ。」
「修!大丈夫か?激しい体力の消耗が原因で半狼病が悪化してる。呼吸を整えろ。ゆっくり息を吸って吐け。よくなるはずだから。」
俺は蓮さんの言う通り、大きく息を吸い、吐いた。血がダラダラと喉の奥に垂れ込んでくる。ウエッ。血ぃ、吐いたの初めてだ。蓮さんが背中をさすりながら、スマホを持ち、誰かに連絡している。
「こちら、蓮です。A T Iを共に除去に参った、修、はい、冴島修です。修が半狼病が原因で血を吐き始めました。救助、よろしくお願いいたします。はい。え?あぁ、薬ですか?いえ、飲ませてませんが………はい、本部に連絡して取り入れておきます。ありがとうございます」
薬?もしかして半狼病の薬のことか?