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🍅side(🐱の親友)
最初に違和感を覚えたのは声だった。
勇馬が教室で誰かに呼ばれたときの返事。
少し遅れて確認するみたいに視線を走らせる。
—あ、今誰かの許可を待ったな。
そう思った。
隣にいるのはケビン先輩。
誰にでも優しくて評判のいい人。
ケ )勇馬、行こ
そう言われた瞬間勇馬はほっとした顔で立ち上がる。
……恋人同士、だよな。
そういう距離感には見えなかった。
殴り合いとか怒鳴り声とか分かりやすいものは一切なかった。
でも。
勇馬はいつも先輩の一歩後ろを歩く。
スマホを見る前にちらっと先輩を見る。
笑う前に反応を確かめる。
疲れてるのに「大丈夫」と言う。
痛そうなのに「転んだ」と言う。
(……おかしくない、?)
そう思っても口に出せなかった。
だってケビン先輩は本当にやさしい人だから。
ある日の放課後、校舎裏で見た。
勇馬が壁に背中をつけて立っている。
目は伏せて肩が少し震えてる。
勇 )……ごめんなさい
その声。
恋人に向ける声じゃなかった。
ケビン先輩はすぐに周囲を見てから勇馬を抱き寄せた。
ケ )ほら泣かないで
僕が悪かった
頭を撫でる手つきは誰が見ても優しい。
勇馬はその腕にしがみつく。
(……あれ?)
逆じゃないか。
謝るべきなのはどっちなんだ。
決定的だったのはスマホだった。
ケビン先輩が席を外したとき画面が光った。
通知のサムネイル。
そこに映っていたのは勇馬の顔。
目が潤んで逃げ場を失った表情。
偶然見てしまっただけ。
でもはっきり分かった。
(……あ、これ)
守られてるんじゃない。
管理されてる。
笑ってても目が笑ってない。
優しくされてるほど首輪がきつく見える。
それでも。
勇馬は離れない。
勇 )先輩、すごく優しいんだよ
そう言うときの声が昔の入学したてのままだった。
—最初に見た人に まだ縋ってる。
外から見ている分には簡単だ。
逃げればいい。
別れればいい。
でも中にいる本人には “最初のやさしさ”が全部を覆い隠す。
だから誰も確信を持って踏み込めない。
ケビン先輩は今日も変わらずやさしい。
そして勇馬は今日もその隣で静かに笑っている。
——壊れていることに誰よりも気づかないまま。
コメント
2件
このケビゆまめっちゃすきです( ; ; )( ; ; )( ; ; )( ; ; )