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第三章:ナースティカの回想シーン
ここから回想シーンが長くなりますのでご了承下さい。
舞台は1950年代バーラトにあるグジャラート州にあるジャングル。湿気が漂い、滑り気(ぬめり)が強かった。
そこでバーラトライオンのメスが木の下で一頭のホワイトライオンのカブを出産したが、色が白いせいで狩りに支障をきたすと思ったのかすぐに見捨ててしまった。
※カブとはライオンやトラの赤ちゃんの英語表現です。
その手のヒラ程小さいホワイトライオンはただ母親の体温の熱と、濃い湿気を含んだ土の匂い、そしてミルクを探す本能的な口の動きでひたすらか細い、しかし鋭いピーピーという高音の鳴き声を上げるしかなかった。
その時一人のサングラスをしている富裕層の青年が一頭の白いカブライオンを拾い上げて、家まで運んだ。
富裕層の青年が運転する時。
青年「マールジャーラ、この子は今日から君の弟だ…嬉しいだろ?その子はナースティカと名付けよう…」と大喜びをした。
子猫(先住猫)であるマールジャーラはナースティカを弟のように可愛がり、舌で顔を舐めていた。
マールジャーラ「僕はイエネコのマールジャーラ…よろしくね、ナースティカ…」
それから数ヶ月が経った。場所は富裕層青年の邸宅の部屋にて
子猫サイズ程になったナースティカは先住猫のマールジャーラより少し大きくなっていた。
マールジャーラ「君はもしかしてネコじゃなくて、ライオンなの?」
その言葉を聞いたナースティカは戸惑いを隠せなかった。
ナースティカの心の声「俺ってイエネコじゃないの?マールジャーラ兄さんより少し大きくなったせいで違和感を覚えたな…」
マールジャーラ「この爪研ぎタワーで爪引っ掻いてみ?」と気さくに声をかけた。
ナースティカは了承してそのタワーに近づいた。
ナースティカは前足の爪をゆっくり出してタワーにギギギギと研ぐのだった。
マールジャーラ「やっぱイエネコの研ぎ方と違う…やっぱり君はライオンだよっ!!将来デカくなるじゃんっ!!」
ナースティカ「えっ俺はまさかイエネコじゃないの?」
マールジャーラ「何て言うか、少しタテガミみたいな毛が背中から生えて来てるみたいだし、オスライオンっぽいんだよね、君は?まあでも僕はライオンやトラに憧れてる部分もあるんだけどね。」
ナースティカ「イエネコって優雅で気まぐれなイメージしかないって思ったし、俺はまさにそれに憧れてたんだ…まさか俺はライオンだなんて信じられない…」
マールジャーラ「僕が優雅で気まぐれ?アハハハハハ!!!!面白いね、君は!!まあこれは僕のれっきとした本能だよ!!まあ確かにヒューミーからはそう見えるけど、実際は狩猟本能と縄張り意識をアピールするためだよ!!まあ僕は壁に頭を擦り付けてるのは縄張りをアピールするためのフェロモンを出してるんだよ!!そうしないと僕たちネコ科は生きられないって訳!!」
そうして翌日、2匹は富裕層青年に抱っこされて、ジャングルまで連れて行くのだった。
そんな時に1匹のイエネコと白いホワイトライオンを抱えた富裕層青年のヒューミーたちがライオンの群れを通り過ぎた。
ラージャ「パパ、何なのヒューミーが抱えてる生き物は?白いライオンの子どももいるんだけど?」
ヴィクラン「我々と同じネコ科の動物、イエネコさ…我々大型ネコ科と違ってヒューミーに飼われてる生き物さ…」
ガウリ「我々はライオンだからヒョウ属になるが、イエネコはれっきとしたネコ属だからねぇ…」
青年に抱き抱えられたマールジャーラは「君と同じバーラトライオンだね?さっきの子もオスみたい…君と同い年くらいのライオンだったねぇ」
ナースティカ「そうだね…俺も母親に捨てられなかったらこんなことにはならなかったはずだ…イエネコとライオン、トラの違いを話するわ」
マールジャーラ「何だい?」
ナースティカ「俺とトラ、ヒョウ、ユキヒョウ、ジャガーはヒョウ属になること。食肉目ネコ科ヒョウ属の一種。兄さんはイエネコだから食肉目ネコ科ネコ属だな。兄さんみたいなイエネコだけじゃなくて、イエネコの祖先リビアヤマネコもその一種。一万年以上前、当時のヒューミーたちが最初にネコを飼い慣らして家畜化させたのがリビアヤマネコだと言われていてな….ネズミを駆除する目的も相まって、それが後のイエネコを生み出すきっかけにもなった。」
マールジャーラ「ありがとう!そんなにネコに詳しいなんて!!まあ紀元前エジプトのサイス朝時代にはネコ信仰が流行していたけど、アケメネス朝イラン帝国の軍団の策略でネコを盾に描いて縛ったりネコを投げつけられて、エジプトは負けてしまった時代もあったからねっ!」
ナースティカの心の声「ペルシウムの戦いにおけるネコ戦術だったって訳か…ここで俺たちライオンについて話をしたい…ヨーロッパだと俺たちライオンは勇敢の証…日本、中国だと獅子舞だったり狛犬のモデルにもされてる…しかも獅子信仰のルーツはここ、バーラトだと言われてるからな…よく大型ネコ科の俺らを神聖視する文化があるなと思える気がする…」
それから数年後、思春期を迎えたナースティカはあるテレビニュースを見るのだった。
身体つきはカブ時代の面影をなくし、マールジャーラより何倍もの逞しい大きさに成長した。
それはサーカスで起きたホワイトタイガーによる職員殺害事件だった。
ここでナースティカの転機が訪れるのだった。
ナースティカの心の声「このホワイトタイガーは推定年齢35歳位…まさか本能で人を殺したって言うのか…そうなれば俺もいずれヒューミーを殺してしまうかもしれない」と悟るようになった。
ナースティカ「兄さん、俺はもうここにはいられない…この本能で誰かを傷つける訳にはいかないっ!!だから行かせてくれっ!!!!」と涙を堪えるしかなかった。
マールジャーラ「まあ僕は気には留めないよ…それが君の生き方ならそれでいいよ…それじゃあね、我が弟ナースティカ」と。
ナースティカ「すまない、兄さんっ!!俺はライオンとして生まれてしまったんだっ!!こんな身体でイエネコ生活なんて無理だったんだっ!!俺は野良猫でいいんだっ!!!!じゃあな、兄さんっ!!」と牙を食い縛り、辛そうになりながらも兄を必死に思い、全力で疾走し、脱走をした。
ここで回想シーンを終わります。続きの第四章をお楽しみ下さい。
コメント
9件
ああ、読了しました。第三章、じっくり沁みましたね……。 まず、1950年代インドという舞台設定からして好みです。湿気と土の匂いで始まる出産の場面、あの「捨てられる白いライオン」という導入がもう、読んでいて胸がぎゅっとなりました。 そこを拾った富裕層の青年、そして何より**マールジャーラの兄貴感**。イエネコとしての誇りを語りつつ、弟の可能性をちゃんと認めて送り出す――あの爪研ぎのシーンは名場面です。「君はライオンだよっ!!」の温度、良かった。 そして後半、分類学の話になる流れ。ヒョウ属とネコ属の違い、ペルシウムの戦い、獅子信仰のルーツ……**世界の成り立ちを猫科の視点で捉え直す**という発想がとても面白かったです。普通は人間側から見る歴史を、動物側の語彙で再構築する――これができるのは、この作品の大きな強みだと思います。 最後、白いタイガーの事件をきっかけにナースティカが家を出る決断をする流れも、不意に泣かされました。「野良猫でいいんだ」という言葉に、アイデンティティと運命の重みがぎゅっと詰まっていて。 第四章、続きが本当に気になります。