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琥珀
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てぃらの。
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#jojo
コメント
1件
うわぁ、このエピソード、胸にぐっときました……。承太郎さんが花京院の墓前に立つ姿、あの孤高で哀愁を帯びた背中が目に浮かんで、読みながら唇を噛みしめてしまいました。お盆の蝉時雨と静寂の対比が美しくて、特に「黄金の精神は次の世代にも受け継がれている」って内心で語りかけるシーン、もう、じんわり涙腺にきました。仗助が軽口を叩きかけてやめるあたりの空気の読み方、彼の成長を感じられて素敵です。二人の「仲間」の想いが風に乗るラスト、とても温かい読後感でした。たんめんさん、素敵な作品をありがとうございます。
盛夏の陽射しが、杜王町の霊園に容赦なく照りつけ、蝉の合唱が背景音として空気を震わせていた。お盆のこの時期、墓地は故人を偲ぶ家族連れでどこか賑やかさを帯びている。
だが、その一角にだけ、まるで異次元から切り取られたかのような濃密な静寂が漂っていた。
白い帽子に同色のロングコートを羽織った巨躯の男——空条承太郎。 彼は墓石の前にただ佇み、見下ろしていた。刻まれているのは『花京院家之墓』の文字。
手向けられた花は、どこかあいつの幽波紋……法皇の緑(ハイエロファントグリーン)を思わせる、鮮やかな緑を添えた落ち着いた色合いだった。ポケットに両手を突っ込んだまま、承太郎は静かに目を閉じる。
(——エジプトでのあの旅から、もう十年か)
頭の裏側にリフレインするのは、砂漠の熱風の匂いと、最後に見たあいつのやり切ったような眼差し。高校生にしては冷静で、プライドが高く、けれど誰よりも思いやりのあった男。
「お前が命をかけて遺したメッセージのおかげで、俺たちは生き残った。……そして今、俺はこの街で、ジジイの血を引く新しい『家族』と出会っている」
低く呟いた声は、夏の風に溶けて消えた。承太郎は帽子を目深にかぶり直し、線香の煙が真っ直ぐ空へ上っていくのをじっと見つめていた。
一方、少し離れた敷石の通路を、バケツと柄杓を手にした親子が歩いていた。
「ちょっと仗助! フラフラ歩いてないで早くおじいちゃんのお墓綺麗にするわよ! ほら、お供えのお饅頭も持って!」
「わかってるってば、おふくろ。……っつーか、猛暑日に墓参りはマジ勘弁してほしいぜ。髪型が崩れちまう」
文句を言いながらリーゼントの形を気にする東方仗助の隣で、母の朋子は威勢よくハキハキと歩を進める。亡き祖父・良平の墓へ向かう途中、仗助の視線がふと、木陰に立つ見覚えのある背中に留まった。
「……ん? あれ、承太郎さんじゃあねーか……?」
「え? 承太郎さんって、あの大きいハーフみたいな男の人?」
朋子も足を止め、仗助の視線を追う。
木漏れ日の中に立つ承太郎の背中は、普段仗助たちに見せる「頼れる年上の従兄(実際は甥だが)」としての顔とは、まるで違っていた。孤高で、どこか深い孤独と哀愁を纏ったような、触れてはならない空気。
「あの人、誰のお参りだろ……。あの白いコート、絶対熱いと思うんだけどな」
仗助が軽口を叩こうとしたとき、承太郎が静かに墓石へと手を触れるのが見えた。
その一瞬の仕草に込められた重みを察したのか、仗助はそれ以上言葉を続けるのをやめた。幽波紋使いとして多くの修羅場を潜り抜けてきた承太郎の過去——自分たちの知らない、血と砂に塗れた「かつての戦い」の匂いを、その背中から感じ取ったからだ。
「……仗助? 行かないの?」
「あ、いや……なんでもねーよ」
仗助は首を振ると、いつもの爽やかな笑みを浮かべた。
「せっかくのお盆だしな。俺たちもおじいちゃんに、杜王町は今日も平和だって報告に行こうぜ」
「そうね! さ、ちゃっちゃと洗うわよ!」
二人の足音が遠ざかっていく。 承太郎は一瞬だけ振り返り、仗助たちの去っていく背中を帽子の庇の下から見つめた。その唇の端が、ほんの少しだけ緩む。
「……やれやれだぜ」
承太郎はもう一度墓石に向き直ると、静かに心の中で語りかけた。
(見ての通りだ、花京院。黄金の精神は、次の世代にもちゃんと受け継がれているぜ)
蝉時雨が一段と高く鳴き響く中、夏の風が二人の『仲間』の想いを乗せて、杜王町の空へと吹き抜けていった。