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州と州を行き来するには、通行証がいる。 子どもの手のひら程の大きさの板状で、金属でできている。端に穴を開けて革紐を通し、首からぶら下げるのだ。通行証は身分証明書みたいなものだ。

リオは、昔に母さんが作ってくれたものを、ずっと使用している。


大きな袋を背中に負い、紐を肩からかけた小さな鞄にアンを入れて、通行証を手に州境に向かっている時だった。後方から二頭の騎馬が現れて、通行証を確認していた役人の前で止まり何かを伝えている。

州境を越えるために順番を待っていた人々が、何事かと騒ぎ出した。大きな荷車を引く商売人達は「どうしたんだ!早くしてくれっ」と叫んでいる。

リオも並んでいた列から顔を出して、前方を見た。騎馬から降りた騎士と数人の役人が顔を寄せて難しい顔をしている。

リオはなぜか胸騒ぎがしてきた。何も問題ある行動はしていない。大丈夫だ。だけど不安で胸が苦しくなってくる。

しばらくして役人達が、州境を行き来する門の前に立ちはだかった。騒いでいる人々に向かって、騎士が大声で言う。


「人を捜している!金髪に赤い瞳の少年だ。急いでいるところを申しわけないが、門を通る前に人相を改めさせてもらう!」

「その少年は、何したんですっ?」


前方にいた人の中から声があがる。

再び騎士が、よく通る声を出した。


「詳しくはわからない。ただ必ず見つけるよう、上から通達があった。心当たりのある者は申し出よ!」


静かに聞いていた人々が、周りを見渡しヒソヒソと話し始める。

リオは被っていたフードを更に深く被り、目を隠すよう引っ張った。

え?ちょっと待って?金髪に赤い瞳って、まんま俺じゃん!え?なんで俺、お尋ね者になってんの?なんかした?なんもしてないよ?

このまま並んでいたら、顔を確認されて捕まってしまう。もしくは周りの人にバレて、役人の前に突き出されてしまう。

リオはそっと列から抜けて州境の門から離れた。そして騒ぎ出した人々に紛れて、後方の街の中へ逃げ込んだ。

ずいぶんと歩いて、州境の門から離れたから大丈夫だろうと息を吐いたが、そうでもなかった。街のあちらこちらで、人々がリオの話をしている。


「金髪で赤い瞳の少年だって。そんな子いたっけ?」

「さあな。俺は見てないが」

「その子、何したんだろうねぇ。盗みかしら?」

「え?うそだろ?人を殺したって?」


リオは危うく声を出しそうになった。慌てて口を手で塞いで路地に隠れ、アンを抱きしめて座り込んだ。

おいおい、俺…とんでもない犯罪者になってないか?盗みなんてしてねーよ。逆に俺が盗まれたっていうのに。しかも人殺しまでしたことになってる。嘘だろ…。これ、捕まったら死罪じゃないの?

たぶん、この街にいたらダメだ。というか、この州にいたらダメだ。早く隣の州に行かなきゃ。でも役人に門を塞がれて越えられない。しかも俺は見つかったら捕まるらしい。


「どうしよう…アン」


情けない声を出したリオの鼻を、アンが温かい舌でペロリと舐めた。

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