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フライギ
地雷の方はさようなら
「ねえイギリス、僕のワインを飲んでみない?」
フランスはワイングラスを手に、にこやかに私を見つめていた。
ここはフランスの屋敷。私はなぜか彼の食事に招かれ、テーブルを挟んで座っている。
「断ります。私は紅茶しか飲みませんので」
「またそんなことを言って……せっかくだから、少しくらい試してみてもいいんじゃない?」
フランスはグラスを差し出しながら、私の手を軽く取る。
「ちょっ、何をするのですか……!」
「僕の手から飲ませてあげようと思って」
「誰がそんなことを頼みましたか!」
私は慌てて手を振り払うが、フランスはまったく気にした様子もなく、優雅に微笑んでいた。
「イギリスは本当に可愛いね」
「可愛くありません!」
「僕はそう思うけど?」
「……知りません!」
私はそっぽを向いて、自分のカップに口をつける。紅茶の香りが落ち着く。
「ふふ、じゃあ、そっちはどうかな?」
フランスが指差したのは、私が持参したスコーンだった。私は少しだけ誇らしげに頷く。
「これは私の自信作です。あなたの料理とどちらが美味しいか、比べてみますか?」
「ふふ、面白いね。じゃあ、一つもらおうかな」
フランスはスコーンを手に取ると、一口食べる。
「……うん、まあ、悪くないね」
「当然でしょう」
「でも、やっぱり僕のキスの方が甘いかな」
「聞いてません!!」
突然の言葉に、私は紅茶を吹きかけそうになった。フランスは楽しそうに笑いながら、私の手を取る。
「イギリス、君の作ったものは全部好きだけど、君自身が一番好きなんだよ」
「……調子のいいことを言いますね」
「本気だけど?」
フランスは真剣な瞳で私を見つめる。
その視線に、私は思わず目をそらしてしまった。
「……ワイン、少しだけなら飲んでやってもいいですよ」
「ふふ、可愛いなあ、」
フランスは満足げに笑いながら、そっと私のグラスにワインを注いだ。