テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
月城 蓮桜音
2,703
1,563
水羽
1,040
「番号札1002番さま、応接間へどうぞ。」フルタ女史が呼びに来た。
1002番はイヌを連れて来ており、玄関の外にバッグに入れて置いてあるが、出せと言わんばかりに吠えていた。
「こんにちわ。」「どうなさいました?」山富士は女の派手な身成りに少し呆気に取られた。四十代ぐらいだろうか…お水のママの普段着と言う感じで、お金がかかっているのが判るが、何処となく場末の感じがしなくも無い。
「タバコ吸えないかしら?」と女は言った。「み仏の前では禁煙でございます。」「そう。」女はどう話せばいいかわからない様な様子だった。
「ちょっとさあ参ってんのよ。店をやってるんだけど、パパと店の若い子がデキちゃって、乗っ取られそうなのよ。」店と言うのは、バーとか、スナックとかそういう類いだろう。
「何とかなんない?」「奥様のご主人さまですか?」「違うに決まってんじゃ無い。」だとしたら厄介だろう。追い出されるのは1002さんである。
「どういう解決がご希望ですか?」「追い出されたら資金が無いから、私が困んのよ。あんなジジイどうだって良いから、店と客はあたしのものにしたいのよ。」側で聞いていたフルタは(はあ~ん)と思った。彼女は売れないキャバ嬢で、店を辞めたのは、ママの客と知らずに接客した為だ。
「昔の門跡さんは特別祈祷っていうのを受け付けてたけど、今でもあるの?」風向きが良くなってきた、と山富士は思った。
コメント
1件
第28話、読みました。1002番の女性、いかにも「場末のママ」って感じが滲み出てて、すごく生々しいキャラでしたね。「あんなジジイどうだって良い」って割り切り方が潔くて、むしろ清々しい(笑)。フルタ女史の「はあ~ん」も絶妙なタイミングで入って、地味に効いてる。最後の「風向きが良くなってきた」で次が俄然気になりました。