テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
芙月みひろ
214
600
#大正時代
井川奎
269
世羅 鈴🎨🎤
197,606
「応接室と小会議室、準備出来ました」
午後の来客と会議の予定に合わせて、応接室と小会議室のチェックをしたあと暖房を入れてから、私は席へ戻る。
「ありがとう」「お疲れ様です」
数人からの返事を聞きながら椅子に座ると、パソコンの横に置いたマグボトルを手にした。
住宅設備機器メーカー関連会社
総務部 総務課
株式・契約担当
石川 樋代(26)
―― まあまあかな
長時間マグボトルに入れても美味しいお茶を求めて、また茶葉を変えてみたけれど、正直、よく分からない。もっと高価な茶葉なら変わるのかもしれないけれど。
「こんにちは。お疲れ様です!」
という声と共に立ち上がった新入社員の女の子を見て
―― 昨年まで私があの席へ座っていたな
と思い出してから、途中になっていた書類作成を再開した。
本体メーカー社より規模の小さな中規模会社。ここでは、総務部はいろんなことを兼任しなければならない。
例えば、『受付』というポジションはなく、入口付近のデスクに新入社員が座る。私も3年間、そうだった。でも休憩時間や、他の業務で席を外せば、総務内の誰かが受付と案内をする。私が『株式・契約担当』となっているのも、大企業なら『法務部』があるがうちにはないので、総務部内で担当しているということ。
「ぁ……そうだった」
私はキーボード操作音よりも小さな声を唇で挟んだ。
―― いま来た人……先月、徹さんと交代したんだった
コメント
3件
新作ありがとうございます🤩会社員の経験がないので総務課や事務のお仕事に興味津々です!小さなつぶやきは今後どんな意味を持つのかなぁ?楽しみです!!
第1話、読ませていただきました! 総務課の細かい仕事の描写がリアルで、すごく引き込まれました。特に「昨年まで私があの席へ座っていたな」という回想の一文が、彼女の静かな時間の積み重ねを感じさせてぐっときました…。キーボードの音より小さな声で「徹さんと交代したんだった」ってつぶやくシーン、何か影を感じて続きが気になります。日常の合間に見える人間関係の機微、好きです🌙