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#BL
kaede🍁
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おその★
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目黒の家で暮らし始めて、数日が過ぎた。
阿部は最初、「一緒に住む」という言葉に少しだけ緊張していた。
恋人同士なのだから、もっと甘い時間が増えるのかもしれない。
そんなことを少しだけ想像していた。
けれど現実は、少し違っていた。
「行ってくる。」
まだ外が薄暗い朝。
目黒は慌ただしく支度を終え、玄関で靴を履く。
「いってらっしゃい。」
阿部が見送ると、目黒は「なるべく早く帰るね」と笑って家を出ていく。
帰宅するのは、日付が変わる少し前。
「ただいま。」
疲れを隠すように笑う目黒の目の下には、薄く隈ができていた。
「おかえり。」
「今日も遅かったね。」
「ごめん。」
「平気だよ。」
夜食を一緒に食べて、少し話したら、おやすみを言って眠る。
そんな毎日だった。
(思ってた同棲と違うな。)
昼間、一人になると阿部は苦笑する。
少し寂しい。
でも、忙しいのは分かっている。
だから阿部は、自分なりに時間を使うことにした。
朝食を終えると机に向かい、参考書を開く。
集中が切れたら、ずっと見たかったドラマをまとめて見る。
「これ、話題になってたやつだ。」
静かな時間にも、少しずつ慣れてきた。
もちろん、毎日一人きりという訳ではない。
昼頃、スマートフォンが鳴る。
『あべちゃん、元気ー?』
佐久間からのビデオ通話だった。
「元気だよ。」
『今日の夜、ゲームできる?』
「いいよ。」
『やったー!』
その夜は、佐久間と深澤と何時間もオンラインゲームで盛り上がった。
負けるたびに聞こえる叫び声は、画面越しでも変わらない。
別の日。
インターホンが鳴る。
玄関を開けると、ラウールと康二が大きな紙袋を抱えて立っていた。
「遊びに来たー!」
「差し入れもあるで!」
「ありがとう。」
部屋に入るなり、ラウールが紙袋から服を取り出す。
「阿部ちゃん、これ全部あげるから今日はモデルさんね。」
「え?」
「絶対似合うと思ってポチった!」
「ちょっと待って。」
その日は、半ば強制的に何着も着替えさせられた。
「これもかわいい!」
「次これ!」
「ラウール、まだあるん!?」
康二が笑う。
阿部は鏡の前で肩をすくめた。
「俺、完全に着せ替え人形じゃん……。」
「うん!」
ラウールは満面の笑みで頷いた。
「最高!」
部屋中が笑いに包まれる。
さらに別の日には、ゆり組が紙袋を抱えてやって来た。
「これ全部あげるから今日はメイク講座。」
渡辺が宣言する。
「えぇ……。」
「逃げない。」
宮舘が穏やかに微笑みながら、テーブルへ化粧品を並べていく。
「まずはスキンケアから。」
「下地はこれ。」
「こっちの方が合いそう。」
「アイラインは引きすぎない。」
「チークはもう少し上かな。」
鏡の前で二人に囲まれ、阿部は何度も首を動かされる。
「ちょ、待って!」
「動かない。」
「はい。」
「目、閉じて。」
「は、はい……。」
気付けば二時間。
「できた。」
翔太が満足そうに頷く。
鏡を見ると、そこには自然で優しい雰囲気の自分が映っていた。
「……すごい。」
「素材がいいから。」
渡辺が言うと、宮舘も静かに頷いた。
「少し練習すれば、自分でもできるようになるよ。」
この日は岩本が訪ねてきた。
「今日は身体づくり。」
「え?」
「身体が変わったなら、ストレッチも変えないと。」
無理のない柔軟や体幹トレーニングを、一つひとつ教えてくれる。
「ここは痛くない?」
「うん。」
「じゃあ呼吸して。」
「そうそう。」
まるで専属トレーナーだった。
夜になると、佐久間からゲームの招待が届く。
気付けば毎日、誰かが連絡をくれる。
「暇してない?」
「ご飯食べた?」
「困ってることない?」
その言葉が、どれだけ心強かったか。
目黒とは少しすれ違いの日々が続いている。
少しだけ寂しい気持ちもある。
それでも、その寂しさを埋めるように、七人の仲間たちは代わる代わる会いに来てくれた。
居候のはずなのに。
いつの間にか目黒の家は、もう一つの”居場所”になり始めていた。
コメント
2件

めめとのすれ違いが寂しそう 忙しすぎてめめが倒れないで欲しい。 メイク講座にファッションショーは楽しそうだけど。
ああ、読み終えました。第18話、じんわり沁みるお話でしたね。目黒さんとのすれ違いで少し寂しい時間を過ごす阿部さんだけど、それを埋めるように現れる仲間たちの存在が本当に温かい。ラウールと康二の着せ替え大会、ゆり組のメイク講座、岩本さんの体幹トレーニング…どのシーンもキャラの個性がしっかり出ていてにっこりしました。最後の「もう一つの居場所」という言葉が、すべてを優しく包むようで良かったです。