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さて、ホーディと家に帰る際どうしようかと悩ませていると。


〈ノア様!帰るのはちょっと待ってほしいわ!〉〈魚が食べたいのよ!取ってきてほしいのよ!〉


レイブランとヤタールがここまで降りてきて私に川から魚を捕ってきて欲しいと要求してきた。そういえば、2話とも魚を食べたそうにしていたな。

川に視線を移せば、結構な数の魚が遊泳している。いい機会だ。久しぶりに魚を食べるのも悪くない。生と焼き、両方用意しよう。鰭剣《きけん》を魚に向けて構える。

私が魚を捕ろうとしている間に、ホーディ達は互いの自己紹介を終えているようだ。


「これから魚を捕るけどホーディ、君も食べる?」

〈いただこう。と、言いたいところだが、自分の分は自分で捕るとも。主は、そっちの二羽の分を捕ってやるといい〉

〈お願いするわね!意外とすばしっこいわ!〉〈魚って食べたこと無いのよ!どんな味なのか楽しみなのよ!〉


ホーディは自分の分を捕るため、川へと入っていく。ホーディもレイブランとヤタールも、私なら問題なく魚を捕れると信頼しているのだろう。

では、さっくりと捕っていこうか。魚の群れに向かって、鰭剣を連続で突いていく。

連なるように鰭剣に魚が刺さっていき、5匹捕ったところで一旦河原へと尻尾を戻し、魚を鰭剣から外す。別の群れに向けてもう一度、鰭剣を向ける。

早速、レイブランとヤタールが魚へと寄って来た。君達、食べたいのは分かるけど、もう少しだけ待ちなさい。


「もう一回、5匹捕ってくるから、それまで待ちなさい。魚は、生で食べても美味いけど、加熱しても美味いんだ。ホーディ!君の分も良ければ加熱するよ!必要な分持っておいで!」

〈有り難い。是非、頼む〉

〈加熱ってどういうことかしら!?熱くするってこと!?〉〈熱いもの食べるの初めてなのよ!早く食べたいのよ!〉


少し離れた場所にいるホーディが短く答えると、腕を救い上げると同時にまとめて4,5匹、魚を私がいる場所まで放り投げてきた。

上手いな。感心していると、更に魚が降ってくる。少し急ぐか。

あっ、コラ!それはホーディの分だろう。君達は大人しく待ってなさい。


「レイブラン、ヤタール。君達、以前にもフレミーの食事に手を出してこっぴどく叱られたんじゃなかったの?」

〈魚が美味しそうなのが悪いわ!?とっても美味しそうだわ!〉〈キラキラしているのよ!柔らかそうなのよ!〉


早急に魚を捕ってくると、以前やったように、大小それぞれの石板をいくつか用意する。加熱用。私のテーブル用。レイブランとヤタールのテーブル用。ホーディのテーブル用の4つだ。

さて、あまり彼女達を待たせるのも可哀そうだ。私は骨ごとでも問題無いが、レイブラン達はそうはいかないだろう。魚を正面から見て右、左、背骨と切り分けていく。彼女達はどれくらい食べるだろうか?後で果実も分けるつもりなので、あまり食べさせるわけにもいかないだろう。

切り分けたそばから、魚の切り身を啄ばみ始めた彼女達に一応声を掛けておく。


「レイブラン、ヤタール。この後で果実も出すから、食べ過ぎたらいけないよ?」

〈美味しいわ!魚ってこんな味なのね!ノア様!?今のホント!?〉〈柔らかいのよ!美味しいのよ!”死者の実”も食べていいの!?最高なのよ!〉


これから加熱した魚も出すというのに、そんなペースで食べて大丈夫なのだろうか?まぁ、今は考えないようにしておこう。そして、私もいただくとしよう。

うん。柔らかな身に脂の味が舌を楽しませてくれる。噛み潰すと旨味が溢れる魚の骨も合わさって、実に美味い。

さて、そろそろ焼いた魚を味わおう。加熱した石板に切り分けた魚の身を置いていく。加熱しすぎると食感が悪くなると思われるので、あの時、実に美味かった時のことを思い出しながら焼き具合を臭いで判断する。

良く焼けたと判断した物から、切り身をそれぞれのテーブルへ置いていく。

さぁ、お食べ。っていう前から食べてるね。君達。


〈何とも食欲をそそる匂いだな。我が主よ〉

「ホーディの分はそっちの大きな石の板に置いといたよ」

〈感謝する〉

〈美味しいわ!熱いってこういうことなのね!〉〈魚の身からジュワッと来るのよ!美味しいのよ!〉

〈これは良い!今まで味わったことのない味だ!魚のことは分かり切ったつもりでいたが、加熱するとこうも味が変わるとはな!〉


焼いた魚はなかなかに好評なようだ。どれ、私もいただくとしようか。

こちらもいい味だ。我ながら、良い焼き加減を見極めたといえる。ふわっとした食感に溢れ出る脂の味が素晴らしい。自然と頬がほころび、味を堪能する。っと、いけない。魚はまだある。みんなの分を焼いて行かないと。



存分に生魚も、焼き魚も堪能したところで、とっておきを出すとしよう。せっかく、平らなテーブルを用意したのだ。ホーディやレイブラン達のために、果実の外果皮を綺麗に剥いておこう。皮をむき、種子をくり抜き、切り分けた果実をテーブルへ置いていく。


「魚を十分堪能したところで、これもいただこう。硬いものは取り除いたから、齧りついて大丈夫だよ」

〈今までよりも食べやすいわ!魚の後に食べると、一層美味しいわ!〉〈テーブルって便利なのよ!ノア様!家にもテーブルを用意してほしいのよ!〉

〈素晴らしい。このように贅沢に”死者の実”を口にすることが出来るとは!主には感謝しかないな!〉


切り分けた果実はかなり好評のようだな。やった甲斐があるというものだ。そして、家にもテーブルか。いいんじゃないか?家に帰ったら検討してみよう。

そうだ。家で待機してくれている子達にも魚を食べさせてあげたいし、加熱する用の設備も用意したいな。

うん、いいぞ。やりたいことが沸いてきた。この調子で、快適な生活環境を作っていこう。


「ホーディ、済まないけど、魚をいくつか捕ってきてもらえるかな?家で待っている子達に魚を持って行ってあげたいんだ。私がやると、傷付けてしまうからね」

〈お安い御用だとも。しかし、川から出た魚は直ぐに味が悪くなるぞ。良いのか?〉


至極尤もな質問だ。しかし、心配不要だ。


「問題ないよ。凍らせてしまえばいい。私にはそれができる」


鰭剣に『冷やす』意思を乗せたエネルギーを集中させると、鰭剣の周囲に冷気が漂い、外気を冷やしていく。


〈主は実に多彩だな。素直に敬服する〉

〈ノア様ってホントに規格外だわ!〉〈意志の力だけで複数の事象を発生させすぎなのよ!〉


少し、気になることをヤタールが口にした。こういった現象は意思を乗せたエネルギーによって発生させるものでは無いのだろうか?まぁ、今は良い。そんなことよりも魚の冷却だ。

手ごろな岩があったので器の形状に形作る。そこに水を汲んで、ホーディが捕ってきた魚を入れていく。十分魚が入ったら、鰭剣を水につけて、一気に冷却しよう。

器に入れられた水ごと魚が凍り付く。これで保存はバッチリだ。器ごと持って帰ろう。


「さて、お土産もできたことだし、そろそろ家に帰ろうか。ホーディ、君を抱えても良いかな」

〈主ならば我を抱えることなど造作も無いのだろうし、その方が速いのだろうが、提案がある〉


提案とは、どういったものだろう。


〈我の背に乗って帰るのはどうだろうか?誰かの背に乗って移動したことは無いのだろう?〉

「良いの?是非ともお願いしようか」

〈土産の魚は、我に任せておくといい。主は存分に寛いでくれ。レイブラン、ヤタール。主の住まいまで、案内を頼む〉

〈任せて頂戴!〉〈ノア様の家まで案内するのよ!〉


とてもありがたい申し出に、早速魚の入った器を持ち上げたホーディの背にしがみつく。

とってもフカフカだ。ラビックやウルミラと比べれば毛の質感は少し硬く感じるが、全く気にならない。頭からつま先まで、全身をホーディの毛皮に包まれる。

暖かい。実に至福だ。堪らずに意識がまどろむ。


抵抗などする気も起きず、私は意識を手放した。

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