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第1夜(2)「黒の子犬」
三日月の浮かぶ絢爛豪華な屋敷。
月に照らされて輝いているのに、どこか寂しい雰囲気がある。
「この大きな屋敷の2階にターゲットの少年の部屋がある」
そう依頼書には書いてあった…
俺は軽く2階の窓まで飛び、着地と同時に窓を蹴る。
窓が開き、強い風で純白のカーテンがなびく。
カーテンのなびく音が静けさをかき消した。
俺の顔を隠していたフードも風に奪われる。
クリアになった視界にベットに眠る少年が入ってくる。
息が止まるかと思った。
そこにいる少年は、この世のものとは思えないほどに綺麗だった。
周りの空間を呑み込む漆黒の艶やかな髪、純白のカーテンよりも真っ白できめ細やかな肌。
「美しい…」
…どのくらい見つめていただろうか。
10秒だったかもしれない。5分だったかもしれない。その少年を見ていると、時間というものがどうでもよくなってしまう。
パチッッ
いつのまにか少年が目を覚まして体を起こしていた。
全てを見透かしてしまいそうな漆黒の瞳。
少年は澄んだ瞳で俺を見つめて言う。
「お兄さんは僕を殺しに来たの?」