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私
には、よくわからないのだけれどね。
この世界はどうしてこんなにも美しいのかしら? 私はずっと不思議だったわ。
だって、私にとってこの世はあまりにも残酷だったもの。
私が生きてきた世界では、誰もが自分のことしか考えていなかった。
みんな自分が一番かわいいと思っているくせに、平気で誰かを傷つけたり傷つけられたりする。
だから、私は世界を憎んだ。
私と同じように世界を嫌ってくれれば、少しはこの世界に優しくなれるかと思ったんだけど……残念なことに私以外のすべての生き物は、世界を愛するようにできていたみたい。
それはとても悲しいことだと思っていた。
それなのに、いつの間にか私はそれが当たり前のことだと思うようになっていたのよ。
おかしいでしょう? 私は世界の美しさなんてちっとも理解していなかったのに、世界を愛しているフリをしていたの。
世界が愛しいんじゃなくて、ただ自分に優しいだけの世界に憧れていただけだったの。
きっと私はあの時、世界そのものになっていたかったのね。
そして、世界は美しくなんかなかった。
どこまで行っても醜くて汚いものだった。
それでも、世界を愛したかったの。
ねえ、あなたたちはどうかしら? あなたたちにとっての世界は何色をしているの? 世界が美しいと信じることができるほど、幸せな人たちばかりなのかしら? 世界が綺麗に見える人たちは、本当に幸せになれたのかしら? あなたたちの瞳の中に映る世界は、どんな風に輝いているのかな? 教えてくれるかしら?
「……私はまだ死にたくない!」
それは唐突だった。
『……もうおしまいだよ』
まるで死刑宣告のように聞こえた。
この声の主が何者なのかはわからない。しかし、その声音からは確かな諦念を感じ取ることができた。
死へのカウントダウンが始まった瞬間だ。
私は今まで何をしていたんだろう? 私はどうしてこんなところにいるのだろう? 私は一体なんのために生きているんだろうか? なぜ私が殺されなければならないのか? 答えのない疑問が次々と湧き上がってくる。
「嫌だ! まだ何もしてないのに!!」
必死になって叫んだところで無駄だということはわかっている。それでも叫ばずにはいられない。
「お願いだからもうやめてよ! これ以上みんなを傷つけないで!」
「あーあーうるせえなぁ。お前の声なんて聞こえねえんだよ。黙っとけ」
耳障りだと言わんばかりに手を振った途端、まるで糸が切れた操り人形のように彼女は崩れ落ちた。地面に叩きつけられる寸前でなんとか抱き留めると、ぐったりとしている。呼吸をしている様子がない。まさかと思いつつ首筋に手を当ててみると脈がなかった。
どうしてこんなことになったのかわからないけれど、このままではまずいということだけはわかる。僕は急いで彼女を横向きに寝かせると心臓マッサージを始めた。こういうときに人工呼吸とかそういうのがあったような気がするけどやり方が思い出せなかったのでとりあえず胸に手を当てることしかできない。
「頼むから生き返ってくれ!」
叫び声にも似た僕の願いが届いたのかは定かではないが、彼女が目を覚ましたときにはちょうど息を吹き返したところだった。
「良かった……生きててくれてありがとう」
安堵して思わず笑みを浮かべてしまった僕とは対照的に、彼女は状況がよくわかっていないようで不思議そうな顔をしている。
「あの、助けてくれたんですね。本当にありがとう」