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けどキャバクラは、全然働きやすいところなんかじゃなかった。
女どうしのイジメも、凄まじかったし。
新入りのくせに、高価そうなアクセサリーをつけてるからとか、ドレスの色がかぶってるからとか、ヘアースタイルが似てるからとか、
そんなつまんない理由で、ネガキャンをされ続けた。
あたしは、その度にかつてのイジメをトラウマのように思い出して、何度も吐きそうになった。
オンナなんて、いくつになっても変わらないよね。
相手をなんとか蹴落として、自分が一番に輝いていたくて。
それは高校生の頃から、なんにも変わってない。
女の人ってさ、きっと一生そうなんだろうね。
いくつになっても、誰よりもキレイで、イイ女でいたくて。
それこそおばあさんになっても、「美人ですね」って、やっぱり言われたいんだよね。
──キャバ嬢になって、よかったことなんて言ったら、そんな女のサガとかを知ったことくらいかも。
それ以外は、酔っ払ったオヤジに触られたときの、やり過ごし方を覚えたぐらい。
オトコなんてさ、隙あらば触ってこようとするんだから。
それをいかにうまくかわせるかが、テクっていうか。
露骨にイヤな顔とかしないで、笑ってかわせたら上出来みたいな。
あたしが東京来て、初めての仕事で身につけたのは、そんなことだけ。
ああでも、営業用の愛想笑いは、だいぶうまくなったから。
それは、はっきり言って、その後の仕事にも役立ってるのかもね。