★途中作品です。
※∑🕶で奇病もの
※タヒネタなので(ハッピーでは)ないです。
※彼、彼女表現あるよ。
※おーけー?
薔薇の誓いは地獄まで
『頭が痛い。』
私のその一言から全部、全部壊れてしまった。
私の名前はバチキン。昔々、闇のチカラに呑まれて世界を自分の手の中に収めようとシグキンや他の皆を巻き込んだ大騒動を起こしたことがある。でもその計画はJack達によって無事、阻止された。今思えば馬鹿なことをしたと思うけど、あの時の私は何処かおかしかったのだ。強い仲間たちが羨ましくて、憎たらしくて。全部、全部、私のものにしたかった。我ながらかなり独占欲が強い言葉だとは思う。でもそれくらい私は壊れていたんだろう。
そんな私は今、長年の相棒でもあるシグキンに密かに思いを寄せている。ずっとずっと一緒に居たからだろうか。気がついた時には相棒としての友愛から、一人の沼としての恋心へと変わっていた。今ではシグキンと触れ合うだけで心臓が高鳴ってしまう。自分のことではあるが、女々しい ったらありゃしない。大体私は・・・
「バチキン?」
「!!!な、なんバチか!?シグキン!?」
いきなりシグキンに声をかけられ、肩が跳ねる。さっき私が来た時には居なかったはずなのに、いつ来たんだろう。
「いや、さっき上を飛んでたらたまたまお前が居るのが見えてさ。なんか考えこんでるみてェだったから、何思い悩んでるのか気になってな。」
「い、いやいやいや!!なんでもないバチよ!!!」
まさかシグキンのことを考えてただなんて、口が裂けても言えない。シグキンは私のことをただの相棒として接しているはずだから。
「そうか?ならいいんだが。あ、そうだ。今日の飯はハンバーグだからな。早く帰ってこいよ。」
「え!?ハンバーグ!?やったー!!バチ!!私もう待ちきれないバチよ!!早く帰るバチ!シグキン!!」
「はいはい。」
ぐいぐいとシグキンの手を引いて、森を抜け出す。あぁ、心が痛い。
「ん”〜・・・・・・ 」
「バチキン?どうした?」
日付けは変わり次の日の朝。私は珍しく頭痛に悩まされて目が覚めた。
「いや、ちょっと頭が痛くてバチな・・・」
「マジか?オツキンから薬貰ってきてやろうか?」
「いや、少し待ってれば落ち着くだろうバチから、大丈夫バチよ!」
頭を抑えながら笑いかければ、シグキンは不安そうな顔をしながら朝食の準備をする為にキッチンへ向かった。
「・・・優しいバチね、シグキンは・・・」
それからさらに一週間後。私の原因不明の頭痛は激しさを増していた。
「ん”、ぅ”ぅ〜・・・」
「今日もか・・・やっぱりオツキンのとこに行こうぜ?」
「でも・・・」
「迷惑じゃねぇさ。あいつは仲間のこと邪険に扱うような奴じゃねぇよ。知ってるだろ?」
「・・・うん」
私はシグキンの言葉に渋々従うようにゆっくり頷く。シグキンはそれでいい、と笑って私の体を気遣いながらトンコツ山の氷虎の工房まで私をエスコートしてくれた。最近オツキンは氷虎の工房にずっと入り浸っているからシグキンもそれを読んでこっちに来たのだろう。ドアを開けるなり、オツキンが私たちを迎え入れてくれた。
「おー!お前たちか!どうしたんだ?」
「いや、最近バチキンが原因不明の頭痛に悩むようになってな・・・」
「つまり、診察と薬が目当てだな?」
「あァ、すまん。」
通された工房内では氷虎が何やら書類整理をしていたが、先程までの私たちの会話を聞いていたのだろう。私を見るなりと私とオツキンの分の椅子をささっと用意してくれた。
「どうぞ。」
「ありがとうバチ・・・」
「じゃ、バチキン。ちょっと失礼するぞ。」
そう言ったオツキンは私の診察とカウンセリングを始めた。頭痛が始まったのは何時からか、とか何処が痛いのか、とかまあ色々聞いてきた。私の回答をきっちりカルテに纏めたオツキンは、氷虎と一緒に頭を捻っている。
「んー・・・偏頭痛か・・・?」
「コイツは偏頭痛持ちじゃなかったはずなンだが・・・」
「だよなぁ・・・」
「眼精疲労でもないだろう?」
シグキンも交えてあーだこーだと話し合っている間にも、頭痛は激しさをますばかりで、なんならなんだか胸も苦しくなってきた。おかしい。
「・・・・・・ッぐ、ぅ”・・・」
「・・・?バチキン?」
真っ先に私の異変に気がついたシグキンが私の方に近付いてきて、私の顔を覗き込んだ。だめ、シグキン。
「ッか”、はッ”!!」
「バチキン!?」
咄嗟にそっぽを向いて、口に手を当てる。しかし、そんな抵抗は虚しく、私の口からは血に混じった薔薇の花弁がはらはらとこぼれ落ちてきた。異物感の正体はこれなのだ、と私は直ぐに理解することが出来た。
「ば、薔薇!?氷虎!!洗面器とタオルを持ってきてくれ!!」
「わ、分かった! 」
「ゲホッ!・・・ケホっ!!」
「バチ、バチキン……」
氷虎が洗面器とタオルを持ってきている間に、オツキンは厚い実験用の手袋をつけて、透明な袋に私が吐いた花弁を慎重に詰め始めた。その間も咳と吐血は収まらず、氷虎が持ってきた洗面器を抱えて、何回も何回も咳き込んだ。丸まって小さくなった私の背中をシグキンが撫でてくれたのは本当に嬉しかった。
「・・・ケホッ」
「バチキン、どうだ・・・?少しは収まったか?」
「う”、うん・・・すまんバチ・・・お前ら・・・」
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