テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
5件
マイナーだ!マイナーcpだ!!!!! 美味しい…美味しい…
ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙尊いねええええええええええええええええ
※原型です。
※ジャン高×フクです
※大捏造アリ
ー拝啓ー カタクリのような君へ
死神と和解なんてマザインゴは何を考えているんだ。長年マザインゴに付き添ってきたが僕はそれだけが永遠に理解できなかった。死神は僕たちの故郷を滅ぼしたんだぞ?両親もアイツに殺されて、復讐を誓い合ったじゃないか。なのになんでマザインゴは死神を許したんだ?
ぐるぐると思考を巡らせる昼下がり。僕は死神達の本拠地である総本山の丘の上の木の枝に座って考え込んでいた。今の季節は夏。とてもじゃないが日向でぼんやりと景色を眺めれる天候ではないし、僕も暑い場所が特別好きな訳でもない。ジィジィとセミの声が聞こえて心地よいそよ風が脇を通り過ぎていく。
確かにここは自然が豊かで空気が美味しい。でも少し発展してきた街に降りるのはなんだか死神達に屈服したような気がして癪だ。マザインゴや森風は早くも総本山に適応し始めてきていると言うが僕は違う。
「お前を許した訳じゃないからな⋯死神⋯⋯!」
思わず声が漏れる。当たり前だ。何度も言うが僕は死神を許した覚えはない。顔を思い出すだけではらわたが煮えくり返りそうだ。
でもここに来てよかったと思えることが一つ。たった一つだけある。それは⋯⋯
「ジャングル高橋さん!」
ほら来た。唯一僕に興味を持って接してくれる沼。その沼の名前は『フク郎』という。
「僕に何の用だ。来ても面白くないぞ。」
「いえ高橋さんのシャードバンや呪術のことを知りたくて来たんです。これでも魔法使いの端くれなので。」
不思議な沼だ。僕が使うのは呪術に近いものであって、フク郎が使うのは魔法。それに呪術は人を強く恨む気持ちがないと使えないものだ。それをフク郎が使おうだなんて⋯お門違いにも程がある。
「無理だと思うよ、お前には呪術は使えない。それにシャードバンは僕の能力があるからこそできるものだし⋯⋯」
「でもやってみないと分からないじゃないですか。私は色々な魔法を使えるんです、だから教えてくれませんか?」
「諦めの悪いやつだ⋯」
しつこくしつこく何度も頼み込んでくる姿に僕のほうが先に折れて渋々木から降りてくる。フク郎は魔導書らしい本を抱えて真剣な顔で僕を見つめている。まあ瞳が見えないから本当に僕を見つめてるかなんて分からないけども。
「いいか?僕が使ってるのは呪術であって、誰かを強く恨む気持ちがないとできないんだぞ?お前には恨むような相手なんていないだろ?」
「いやいやいますよ!ポメを狩る人達とか⋯」
ポメラニアン一匹で怒るとか、こいつはどんだけポメラニアンが好きなんだ。変なやつだと思いつつ話を続ける。
「はぁ⋯分かったよそこまで言うなら明日からやり方を教えてやる。」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
フク郎は嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる。なんだ、可愛いじゃないか。
ん?可愛い?
一瞬自分がフク郎に抱いた感情が理解できなかった。可愛い?僕はコイツのことを可愛いって思ったのか?考えれば考えるほどよく分からなくなってぐるぐると思考が巡る。
「⋯⋯⋯さん」
しかし一向に考えがまとまらない。考えれば考えるほどなんだか動悸がして、心拍数が上がる。
「⋯⋯橋さん」
なんで、僕はフク郎のことを⋯⋯
「高橋さん!」
フク郎の声にはっと顔を上げる。するとすぐそこに心配そうなフク郎の顔があった。
「大丈夫ですか?さっきからぼーっとして⋯」
「⋯⋯!!」
思わず顔を逸らす。近い。近すぎる。おかしい。この胸の高鳴りは一体なんなんだ?フク郎の顔を見るだけでドキドキして、顔が熱くなって、頭がぐらぐらする。
「⋯も、もう話は終わりだ!また明日来い!!」
「え?あ、はい⋯じゃあまた明日来ますね⋯?」
フク郎は頭にハテナマークを浮かべたまま立ち去っていった。その後ろ姿が見えなくなるやいなや僕は木の幹に背中を預けてずるずると座り込む。
「なんなんだよ一体⋯」
あの人が好きだとか、愛してるだとか、馬鹿馬鹿しいと思って生きてきた。両親を殺されたあの日からそんなもの無くなってしまったと思っていた。ち、違うからな!?決して僕はフク郎のことなんて⋯!
ぱっと脳内にフク郎の顔が浮かぶ。僕に向かって笑いかけてくれるあの顔。優しくて、どこか柔らかい笑顔。
一瞬で顔が燃えるように熱くなった。明日から顔を合わせることはできるだろうか。
拝啓 カタクリのような君へ
敬具