⚠ドラマ、トリリオンゲームのハル(目黒)×阿部パラレルです
⚠時系列も設定も何もかも超絶無視してます
⚠ただ雰囲気を楽しむためだけの妄想です
⚠何でも許せる方のみ先へ進んでください
「嬉しかった」
「ハルさん…」
「トリリオンゲーム社を盛り上げるために、言ってくれたんだろ?」
「え…」
曇りのない真っ直ぐな瞳。
流れだったとはいえ、うら若き乙女の告白を、彼は、こうやって、拒絶、するのだ。
わかっていたはずなのに、私は、淡い夢を抱いてしまっていた自分に気が付いて、恥ずかしくて、消えてなくなりたかった。
ハルさんは、おおよそ人というものを超越した存在だった。
彼が恋に落ちるのは、一体どんな相手なんだろう。
黒龍キリカ? そのくらいじゃなきゃ、きっとお互いに釣り合いが取れない。
二人が並んだ姿は、まさしく美男美女でお似合いだった。お互いに負けず嫌いがたたって、決して素直に思いを通わせ合うことはなかったけれど、二人は惹かれ合っていたと思う。
少なくとも、阿部さんが、現れるまでは。
「あかりさん、おはようございます」
「あ、阿部さん、おはようございます!」
トリリオンTVでお天気を担当する気象予報士の阿部さん。彼は、3ヶ月ほど前に入社したニューフェイスで、ニュース内のお天気コーナーを担当した途端、瞬く間に人気になり、お天気専門チャンネルまで開設されるほどだった。
アイドルグループのセンター顔、と言われる甘いマスクに、すらりとした細身の長身。清潔感に溢れていて、まさしく好青年、かと思えばそのリアクションは視聴者や共演者からあざといと言われる可愛らしさを持っていて、おまけに少しばかり抜けたところもある。
社内外問わず、誰もが阿部さんに夢中だった。
ハルさんも、例に漏れずに。
阿部さんがうちに来てから、ハルさんは忙しい合間を縫ってよくスタジオに顔を出すようになった。
「あっ、ハル、おはよう」
「おはよ、亮平」
阿部さんのために時間を作ることは、今のハルさんにとって一番の優先事項だった。
この後すぐに出ないといけないハルさんは、出社してきた阿部さんを捕まえて目的を果たそうとする。
「亮平、今夜来れる?」
ハルさんがカードキーを片手に阿部さんの手を取った。
世の女性たちが卒倒してしまいそうなその仕草にも、阿部さんはどこ吹く風だ。
「んー、予定通りに原稿が終われば」
「待ってるよ?」
と、腰を引き寄せながら半ば強引にカードキーを握らせるハルさん。
「…うん」
阿部さんは、さっきまでそんな素振りなんて見せなかったのに、ハルさんの顔が近付いたのが恥ずかしくて頬を赤くした。
こういうのがハルさんをたまらない気持ちにさせるんだろうか。
その夜、無事に定時で上がることができた阿部さんは、そのまま都心のラグジュアリーホテルへ向かった。
ハルさんは特定の住居を持っていない。たいていはホテルに住んでいる。もちろん毎回高いホテルに泊まるわけではないようだし、たまに阿部さんの家に行くこともあるみたいだけれど。
「おかえり、亮平」
「ハルっ」
阿部さんがカードキーを使って部屋に入った途端に、待ち構えていたハルさんから抱きすくめられて、阿部さんは驚きの声を上げた。
「びっくりしたぁ」
阿部さんの驚いた顔を見て、いたずらっ子の笑みを浮かべるハルさん。
「待ちくたびれてた」
「もー、朝会ったじゃん」
ハルさんが腕の中の阿部さんに擦り寄りながら甘えた声で言うと、阿部さんが可笑しそうに笑いながらハルさんの髪をよしよしと撫でてあげた。
「ね、ハル、俺着替えてもいい?」
「ああ、シャワーするだろ?」
「ハルは? もう済ませたの?」
「待ってたから、一緒に入ろうぜ」
真面目なように見えて、大胆な阿部さん。上目遣いに微笑んで、小さく頷く。
それから二人は、お風呂の中や、ご飯を食べながら、食事の後にも、キスをしたり、お互いに触り合ったりして愛を確かめた。
ハルさんの熱を受け止めることが、阿部さんにとっても何よりの喜びで、その分たくさん泣かされても阿部さんは決して拒まなかった。阿部さんの涙は何も悲しいから流れているわけじゃなかった。与え続けられる悦びに、泣いていたのだ。
「あ、あ、ハル…」
「亮平、亮平…っ」
ハルさんは腕の中で震える阿部さんの名前を呼びながら、その細い身体を何度も何度も抱いた。
売れっ子お天気キャスターと、多忙を極めるトリリオンゲームのブレーン、彼らは頻繁に会えるわけではないから、その分一緒に過ごせる夜は特別濃密に過ごしたかった。
ひとしきり肌を合わせた後、広いベッドのごく小さなスペースを使い後ろからハルさんに抱き締められた体勢で、阿部さんはミネラルウォーターを一気に飲み干した。カラカラになった身体に冷たい水が心地よい。
ハルさんは阿部さんを大切に抱きしめたまま、優しい声で言った。
「毎日忙しそうだな」
「ハルほどじゃないよ」
ハルさんに言われて阿部さんが照れたように笑う。
「今ね、世界遺産検定の勉強してるんだよ」
「へえ…いいじゃん、今度二人で世界遺産巡ろっか。亮平の案内で」
「うわ、それめちゃくちゃやりたい!」
くるりと身体を反転させて、正面からギュッとハルさんに抱き着く阿部さん。周りに人がいたら、あざとい、と言う声が一斉に聞こえてきそうだ。
「いつか一緒に行こうね、ハル」
ハルさんの膝に乗っかって可愛くはしゃぐ阿部さんが、再びハルさんに組み敷かれるのは、もはや時間の問題だった。
こうして夜は更けていった。
「おはよーっす」
「おはようございます、あかりさん」
「おはようございます、ハルさん、阿部さん」
翌日、揃って出社してきた二人と挨拶を交わしながら、私はちらりとハルさんの顔を盗み見てみる。
ハルさんは、人並みの幸せを求めていないのかと思っていた。
時々、横顔がとても悲しそうだったから。
でも、阿部さんと出会ってから、年相応の表情をたくさん浮かべるようになった気がする。
恋愛に馬鹿みたいに頬を緩める姿は、そんなに知りたくはなかったけれど。
いまだにほんの少し痛む胸に嘘はつけないと思いながら、それでも、私はハルさんの、いや、 彼ら二人の幸せを、ただ願っているのだった。
コメント
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思わずあの世界線のどこかに溺愛されてる阿部ちゃんが存在していてくれと思ってしまいました💚 ホテルのキー渡すとかほんともうっ😳
トリリオンゲームを再視聴した勢いで、欲望のままに、はるあべパラレルです😳楽しいのは私だけのやつ😇