ーこの街は、名前のない神が支配しているんだ。
「え?また売り上げ100円?」
電話口から聞こえてきた連絡にため息をついた。
俺、天城陸斗は売れない作家だ。
これまでに80くらいの物語を書いたが、合計での売り上げは10000円にも満たない。
どうやら俺が書く物語のストーリーは今の世の中では合わないようだ。
「仕方ないな…。久しぶりに散歩でも行ってネタ探しでもするか……」
階段を降り、靴を履いて外に出る。
そこはいつも通りの外の景色……ではなかった。
いつもなら目の前には家が立ち並び、大通りが通っているはずの家の目の前。
空が暗くなり、道路はひび割れ、建物は苔むし、おまけに昨日までなかったはずのトンネルまであった。
「何これ…。何が起きたん?」
これは散歩どころではなさそうだ。家に戻ろうと後ろを振り返ると、そこにあったのは俺の家ではなく、放置され、朽ち果てた高速道路の料金所のようなものがあった。
よく見ると緑色の看板にうっすら『中部道 成瀬IC』と書いてある。
成瀬ICは日本初のICになるはずだった場所だ。高速道路開通に合わせ、周りの街も都市化が進み、一つの大きな街となっていた。
だがそのタイミングで政権交代が発生し、新たな政権は道路の計画を大幅に変更。唯一すでに完成していた成瀬ICは破棄となってしまったのだ。
そうして周りの街は廃れ、今では人がいない街になっている。
と言う話を聞いたことがある。でもなんでそんな場所に今いるのか。
「なんで瞬間移動してるんだよ…。ってか成瀬ってどこだっけ?…まぁ進める場所はトンネルしかないか…」
トンネルは薄暗く、所々水が滴っている。
そのまま歩き、トンネルに入ろうととしたその時_____
「ありがとうございましたー」
僕、黒宮朝日はいつものように自分の仕事場、鍵屋で働いていた。
誰もが家を出るときにかけるあの鍵。壊れた南京錠の修理。合鍵の作製などいろいろな仕事があった。
しかし、たまに面倒な案件も飛んでくる。
例えば________
_____________何もかも封じ込めるための錠前だとか。
まあそんなことはさておき、僕は今ものすごく悩んでいた。理由は昼飯をどうするか。
鍵屋の裏の居住スペースにおいてある冷蔵庫をあさればソーセージくらいはあるかもしれない。
でも朝から何も食べておらず、ソーセージくらいじゃ足りるわけがない。
「よし!ラーメン食べに行こう!」
僕は営業中の看板を裏返そうと外に出た、が。
いつもなら人が多すぎて出るのも一苦労な歩道。
車でごった返して渋滞を起こす大通り。
そしてまるで壁のようにそびえたつビル群。
そんなこの街。
しかし今日に限ってはそうじゃなかった。
歩道はひび割れ、道路は陥没。
昼なのに暗く、苔むしたビル。
明らかにおかしい。
「え?ナニコレ?」
僕は反転し、鍵屋に入ろうとしたその瞬間だった。
____体が浮いた。
「え!?うわぁぁぁぁぁぁ!」
自分の後ろにあった穴に向かって僕は落ちていった。
はい。どうも初めまして。天霧です。
明らかに切るところがおかしいですよね。
これがテラーノベル初作品なので、細かなミスとか文章がおかしいとかは少し大目に見てください。
以上。天霧でした。
___2話へ続く
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