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俺は、友達の涼《すず》のことが好きだ。
百合の花のように、綺麗な顔が大好きだった
でもまだそのことを言えてなかった。
だから、今日
自分の気持ちを伝えてみようと思う。
『な、涼』
呼びかけても、返事は無い。
『…おーい、涼ー』
俺は涼の肩を軽く叩く。
『…ぁ…ぇ、……ん…?』
『あぁ、なに?』
どうやら、イヤホンをつけていたらしい。
『…今日、一緒帰んない?』
『……今日…は…無理かな、ごめん 』
『…そっか、じゃあ明日は?』
『…んー、…ごめんだけど』
『もう、ずっと無理かな……』
涼はそう言って微笑んだ。
『…じゃあ、今言うわ』
『…なに?』
昼休み、教室には誰もいなかった。
『…お前が好き。付き合って欲しい。』
数秒の間があって、涼は口を開いた。
『僕も好きだよ。』
内心嬉しくて仕方なかった。
でも、涼は続けてこういった。
『…でも、今日で会うのは最後だよ』
『それでもいい?』
…は?
正直、涼が言っている意味が分からない。
『…な、なんで… 』
『転校とか、聞いてないって』
『転校じゃないよ』
『じゃあ、なんで…』
『……僕、死のうと思うんだ…』
『は?…そんなの、』
『止めないで、…』
涼は泣いていた。
『……なんで、…』
『…僕…癌、なんだよね…』
『…じゃ、じゃあ…病院行けば、』
『……病院、行ったんだけど』
『進行し過ぎてて、薬も手術も間に合わないから残り時間を楽しんでって。』
『…だからって、…』
『明日の朝も生きてるかわかんないんだよ』
『それなら好きな死に方したいじゃん』
すると、涼は立ち上がって俺にキスをした。
『ファーストキス、いただき』
そう言って、教室を出ていった。
次の日、学校に涼は来なかった。
その日の放課後、
どうしても、自分で好きな人の死体を見つけたくて探し回った。
夜9:00を回る頃、近くの山の小屋で見つけた
百合の花に囲まれて、横たわっている涼を。
俺は、涼を揺さぶってみた。
わかっていたけど、返事は無い。
俺は、涼の死体を背負って涼の家に運んだ。
ピンポーン
インターホンを鳴らすと、
鳴きながら、涼の母親が出てきた。
『…ごめんなさい。』
俺は、ひとこと言って帰った。
家で、百合の自殺について調べてみた。
百合の花の毒とかでもなく、ただ植物呼吸での窒息死になるらしい。
よく思い出せば、あいつの好きな花は百合の花だった。
好きな花の近くで死にたかったのか。
俺は、涼が死んでから部屋に引きこもってる。
飯も喉を通らない。
「もう少しちゃんと止めていたら」と考えると吐き気がする。
クソ…クソ…
クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ…
「…だいすきだよ、…」
本日午前3時頃
○○県○○市で
男子高校生の死体が発見されました。
死因は、解熱鎮痛剤の過剰摂取による中毒死と見られています。
警察によると、精神的なものによる自殺とみて捜査を進めています。