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最近、少し奇妙な夢を見る。
俺とそっくりな姿をした男が、コスプレのような服を着て杖のようなものを振りかざす。そんな夢
有名な魔法学校の小説は読んだことはあるが、長すぎて途中で断念してしまった。たったその程度、うっすら話が分かるというくらいの物語に影響を受けてあんな夢を見るのだろう
か。
違う。もっと、体の芯から滲むような。脳が呼び覚ますような、現実にあったかのような夢だ。
もちろん俺は魔法なんて使えない。信じてもいない。なのに何故、夢の中の俺は杖のような棒状のものを振り、呪文のような横文字を唱えるのか。
今日もまた、あの夢を見た。
悪夢ではないから起きて憂鬱な気分…ということは無い。むしろ安心感さえ覚える。理由は分からないが。
先日の体育の後、ドットと連絡先を交換した。
アイコンはハーブティーとフィナンシェという普段の姿からは想像し難いものだった。
スマホを手に取るとドットから連絡があったという事を知った。
『英語の辞書貸してくんね?』
英語の辞書、そんなものを使う授業などがあるのか。
自分は用意しろなどと言われた覚えは無い為了承の返事をする。
『ありがとな!!お前のクラス行くから!!』
こいつは文面でも騒がしいのか。
そんな姿が、…あれ?
何を思ったのだろうか。
なにか、なにかを感じたんだ。
妹に対する感情ではない。けれど近しいものがある。オレンジ色のような、黄色のような、眩しくて、暖かい感情。
っ…と、遅刻してしまう。
時計を見るといつもならもう家を出ている時間だ。
「行ってくる。アンナ。」
最愛の妹と挨拶を交わし家を出た。
「ランス!まじありがと!!!」
学校に着き、約束通りドットに英語の辞書を貸す。
返ってきたのは放課後だった。
机の上に
『サンキューな!!!もしかしたら汚れたかもしんねぇ、その時はごめん!!』
と書かれたメモ。
全く、人に借りておいてなんて奴だ。
汚れがないかパラパラとめくって確認していく。すると見慣れない水色の蛍光ペンで線が引かれてある単語があった。
gravity
重力…?何故重力なんだ?
探してみたところそれ以外に線が引かれている場所は無い。
gravity、グラビティ、グラビ、ティ…
最近どこかで聞いた響きだな。
どこで聞いたのかは思い出せない。ただ、懐かしい。気がする。