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放課後――
ポツ……ポツ……
愛空「……うわ、降ってきた……」(空を見上げる)
(傘……ねぇな……まあいけるか)
女子A「ねぇ川合くん!」(後ろから駆け寄ってくる)
愛空「ん?」(振り返る)
女子A「傘ないでしょ?一緒に入ろ?」(ニコッと笑う)
愛空「あー……」(少し困った顔)
(こういうの……増えたよな……正直めんどい……)
愛空「いや、大丈夫っすよ〜」(軽く手を振る)
女子A「え、でも濡れちゃうよ?」
愛空「走れば余裕っす」(ちょっと笑う)
女子A「ほんとにいいの?」
愛空「はい、大丈夫っす〜ありがとっす」
(あんま期待させるのもアレだしな……)
愛空はそのまま――
愛空「じゃ、お先っす!」(ダッと走り出す)
女子A「えっ、ちょ、川合くん!?」
ザァァァァァ……
雨は一気に強くなる
愛空「……っは、降りすぎっしょ……!」(びしょ濡れになりながら走る)
(くっそ……冷た……でもまぁ……これでいい……)
しばらく走った先――
ふと、足が止まる
愛空「……あ」
目の前に――
見覚えのある背中
スーツ姿、オールバック
大きな黒い傘
???「……また、会いましたね」(振り返る)
愛空「……あ、」(少し息を切らしながら)
愛空「この前の……」
???「びしょ濡れじゃないですか」(少し驚いた顔)
愛空「あー……まあ、傘なくて……」(頭をかく)
???「……入りますか?」(傘を少し傾ける)
愛空「……いいんすか?」
???「もちろんです」
愛空「……じゃあ、失礼します……」(少し遠慮がちに入る)
傘の中――
雨音だけが静かに響く
愛空「……すんません、なんか……二回も助 けてもらって」
???「気にしないでください」
少し沈黙
愛空「……あの、この前……名前……」(ちらっと見る)
???「ああ、そうでしたね」
???「私は――知枝 智登世(ちえだ ちとせ)といいます」
愛空「……知枝さん……」(小さく呟く)
(やっぱ、いい名前だな……)
知枝「あなたは?」
愛空「あ、俺は……川合 愛空っす」
知枝「愛空さん、ですか。良い名前ですね」
愛空「……あざっす」(少し照れたように目を逸らす)
雨の中、二人はゆっくり歩く
愛空「……知枝さんって、よくこの辺通るんすか?」
知枝「ええ、通勤路なので」
愛空「へぇ……じゃあ、また会うかもっすね〜」
知枝「……そうですね」(少し優しく笑う)
(なんだろ……この感じ……)
(落ち着く……)
愛空「……」(少しだけ距離を縮める)
知枝「……近いですよ」(少しだけ目を細める)
愛空「あ、すんません……」(ちょっと慌てて離れる)
知枝「ふふ」
しばらくして――
分かれ道
知枝「私はこちらなので」
愛空「あ、はい……」
少し、名残惜しそうな空気
愛空「……また、会えますかね」
知枝「……どうでしょう」(少しだけ意地悪く)
知枝「でも、会えたら嬉しいですね」
愛空「……俺もっす」
知枝「では」
愛空「……はい、また……ちとせさん」(少しぎこちなく呼ぶ)
知枝「……はい、また」
雨の中、二人は別れる
愛空「……ちとせさん、か……」
(やべぇ……なんか……)
愛空「……ちょっと、楽しかった……」
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