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[角名目線]
(……あれ)
さっきまで隣にいたはずの🌸がいない。
(写真撮ってた数秒でいなくなるの普通にやだな……
まあ、見つければいいか)
のんびり探してたそのとき。
遠くで、知らない男が彼女の腕を掴んだ。
(…………あ、無理)
ゆっくり歩きながら近づいていく。
声を出す前から、頭の中では全部分析してた。
・🌸の表情、固い
・相手は距離感ゼロ
・腕を掴む必要性なし
・軽いナンパじゃ済まないやつ
(……バカだな。
うちの彼女に手ぇ出すとか)
「……なにしてんの?」
自然と声が出た。
男は言い訳を始めるけど、
どうでもいい。
スマホを向けて一枚、カシャ。
「……はい、証拠」
男の顔が変わる。
(やっぱりね。悪いことしてる自覚あるやつの反応)
「彼女嫌がってたし。
このまま続けるなら──まあ、後で困るの君たちだよ」
淡々と事実だけ。
脅しでも怒りでもないのに、
男達は逃げていく。
残ったのは、
困った顔の🌸。
「……大丈夫?」
頷くのを見て、
なんか胸の奥がぎゅっとして、
自然に彼女の手を取った。
(……ほんとは走ってでも来たかったんだけど)
指を絡めたまま、
彼女を引き寄せる。
「……んー……
ほんと、可愛い顔して……
変なやつに絡まれるの勘弁して」
頬に触れて、静かに言う。
「……🌸ちゃんは、俺のだから。
ね?離れないで」
無気力な顔のまま、
言葉だけは重くて甘い。
そのギャップに、
彼女が小さく息を呑むのが可愛かった。
「……ほら。
もう手、絶対離さないから」
その“静かな独占”が、
角名倫太郎らしい愛し方だった。