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入部試験から一週間後の放課後、俺こと柴田 健太郎(しばた けんたろう)はメールで指定された教室に待機して早数時間。
合格者がいる教室には部長が迎えに行くとあったのだが……
外国人女性の割合が多い教室の片隅で、
あれからつるむ様になったメガネ君と魔女っ娘と一緒に固まって座っていると、
入り口のドアがノックされる。続いて隣の教室の扉がノックされる音が聞こえ、僅かにこちらのドアが開かれる。
教室内の全員が固唾を飲んでドアを見守る中、隣の教室のドアが開かれる音と同時にこちらの教室のドアが開き、
部長が登場して、
「おめでと~う、ございます!!!こちらの教室の諸君は全員合格です!!!」
と、満面の笑顔?威嚇顔?で告げてきた。
ほっとするのも束の間、
「それでは合格者の皆様には今後の活動について説明をいたします!」
そう言った所で、部長が入ってきた入り口が開き、
「どういう事ですの!? 何故このワタクシが不合格など!!」
と、勢いよく飛び込んできた金髪女の首根っこが追いかけてきた副部長に掴まれ、「グエッ!」と言う呻き声と共に教室の外に引きずられていく。
「……気を取り直して。合格者の皆さんの内、冒険者資格を持っている人はまた後日改めて面談させていただきたいと思いますので、本日はお帰り頂いて結構です」
「資格の無い部員希望者に関してはこれから面談を行います」
……聞いてないんだが?
「面談では主に入部動機の聴収と資格取得金の貸付制度の説明及び貸付制度の利用希望の確認を行いますので待機中に適当に纏めておいてください」
そして回ってきた自分の番で、
「1-A、柴田 健太郎(しばた けんたろう)です!ドーキは、ビッグな男になりたくて、冒険者を目指しています!!!
お金はないので、「あー、柴田君。君に関しては貸付制度の利用は認められない」
な!何でですか!!??」
「今回の募集に辺り、此方の方で保護者の皆さんには事前に入部関連の説明および確認を取らせてもらっている
此方で情報提供する予定だった小野麗尾興業㈱金融部門のファイナンス課が提供する冒険者融資制度に関して、君の親父さんが既に利用を申請し、審査通過、貸付の手続きまで済んでいる。お金に関しては今日帰った後、家族とよく話し合いなさい」
な、何だって!?オヤジの奴、今まで一言だって……!
「ああ、それで面接はこれで終わりだ。冒険者部へようこそ、柴田君」
「え、でも俺まだ……」
「参考までに。俺が冒険者になったのは彼女が欲しかったからだ。どんな動機であれ、それが極めて反社会的な物でさえなければ、理由があれば良かったんだよ」
「そ、そうなんですか……」
すげぇ意外だ。あんな美人の召喚モンスターを仲間にして、でっけえ会社を作ってきたすげぇ冒険者なのに……
「ただ、俺が冒険者になった時と違って、今は筆記試験もあるし、当面は体力づくりと並行して試験勉強も行うから、そのつもりで」
「勉強っすか?俺、正直頭は……」
「試験対策のテキストは冒険者協会の最新版を使うし、こないだ試験に合格した文章先生が直々に教鞭を取ってくれるんだぞ!
……それで絶対に受かるとまでは言わんが。冒険者になるための第二の試練と思えばイケるだろ?少なくとも君は冒険者部の入部試験は通った訳だし」
「そおっすね!」
魔猪(マッチョ)くんに立ち向かった乱人愚(ランニング)、全員で火達磨になった油風呂・真打・|屠屠呑以(ととのい)……
アレらに比べりゃ、試験勉強なんて……
なんて……
「すいません、やっぱ自信ネェっす……」
小野麗尾興業㈱金融部門のファイナンス課が提供する冒険者融資制度:
小野麗尾興業㈱金融部門部長兼取締役の小野麗尾 駆(おのれお かける)がメガバン勤務時代のキャリアを生かして開発した
要連帯保証人の年利12%最大200万円までリボ払い返済型の融資貸付制度。
なお、契約書には分かり辛い様に踏み倒しが閻魔裁判の罪状になる事が記載されている。死んで逃げられるとか甘えだろう?