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2021年現在
この街を歩くと残留思念がピリピリと干渉してくる。日本屈指の歓楽街ここ歌舞伎町は生けるもの、死しているものがひしめき合い混在している。
雑居ビルの屋上から何度も何度も飛び降りを繰り返すもの血だらけでアスファルトを這いつくばるもの、その横を華やかな容姿で通りすぎる、キャバ嬢やホスト達。見えるものにとっては訳のわからない状況だ。
酔いつぶれたサラリーマン、若者は奴らの格好の餌食だ、なんでかって?酒に酔うと人は瞑想状態になり、霊体に憑かれたり最悪乗っ取られることもある。神経がオープンな状態になるからだ、わかりやすくいうとファイアウォールがなくなり、ハッキングされやすくなる。
酒を飲むと記憶がなくなる人は注意してほしい。そんな話はさておき、俺はユリと今日も歌舞伎町を散策していた。
ユリは20代半ばくらい黒髪のロングヘア、瞳の色は何色だろうか、半分霊体だから色まではわからない。
ユリは数年前に歌舞伎町で事件に巻き込まれ植物人間状態、もともと霊感体質なのか、こうやって霊体として俺に憑りついている。
しばらく歌舞伎町を散策しているとユリは酔いつぶれている一人の女性を指さす。
周りに関係者らしいものもいない。あれじゃ狩られる獲物だ、現にスーツを着た血だらけの男性に絡みつかれている、ユリは指をさしたまま今度は顎で助けに行くよう合図する。これは世の中の摂理だ、いちいち構っていたら切りがない。
素通りしようとしている俺をユリは睨みつける。仕方なく俺は女性の方へ向かう。
「お姉さん大丈夫?」声をかけても反応がなくかなり酔っている。死者は俺の獲物と言わんばかりに俺を睨みつける。
「失せろ、おっさん」不意打ちをするように俺は死者を睨み返した。死者は見えていることに驚き、やがて不敵な笑みを浮かべる。
「浄霊なんかしねえ、抹消だ」
俺は霊体の首を掴んだ、こいつの死に際が走馬灯のように脳裏を駆け抜ける。ゲスな死に際だ、売人から薬を盗み893さんから報復で殺害されている。
こんな霊体はこの街じゃ珍しくもない、首を掴んでいる腕から、炎が舞い上がり首を伝い全身に広がる。死者は不敵な笑みを浮かべたままネオン街で灰となり消えた。
俺は女性を交番まで運んでいった、それでも女性は眠ったまま。。。でもここなら安心だ、毎度くる交番で理解ある巡査部長の許可を得て周囲に結界を張っているからだ。
「風間くん、いつも悪いな」巡査部長はねぎらいの言葉をかける。
「今回はこいつのお願いなんで」といい俺はユリを指さした。
「可愛い子だからなぁ」巡査部長は苦笑いをして俺を送りだした。
俺の名は風間、この手は霊力を帯びていて
「神の手」と皆からはそう言われている。
意外と便利で霊視したり、霊体を掴んだり、ぶん殴ることもできる。
2年前、ある大学の心霊研究部っていうサークルがあって、そいつらとつるむようになってオカルトを検証したり幽霊捕まえたり、ぶん殴ったり、エッチな事もあり楽しかった。。。。最高だった。現在はそいつらと少し距離を置いて過ごしている。
■風間■男性■32歳■独身■フリーター■元ヤンキー
特殊能力霊視(霊との対話、残留思念の探索)神の手(霊と接触が可能)
加護不動明王#迦楼羅炎__カルラエン__#を操ることができる。
💫2年前 2019年 小田急線💫
30歳、独身サラリーマンこれが僕の肩書き。ステータスは以下のとおり
■風間■男性■30歳■独身■サラリーマン■右腕が動かない障害者
特殊能力なし
僕は仕事で新宿に来ていた。仕事が終わったのは終電ギリギリ。今日は何度も頭を下げ、営業活動をしてクタクタだ。
小田急線のホームは終電ともなると流石に人も疎らで車両まるまる貸切状態。
ど真ん中に座り、左手で右腕を掴み太ももの上に乗せる。バックのファスナーを開け中からスマホを取り出す。
10年以上この生活をしているので片腕が動かないことにそこまでストレスは感じなくなっていた。
しばらくするとベルが鳴り電車が新宿駅を出発した。🚃
ボーっと窓の外の景色を眺めていると仕事の疲れもあり、寝落ちしてしまった😪
どれくらい眠ってしまっただろうか。。
(ガクブルガクブル🥶)突然の悪寒で目が覚めた。電車は変わらず、音をたてながら走行し続けている。
目覚めた目線の先、自分の太ももの間15センチの隙間に人の足がある。
黒いストッキングを履いているが細く綺麗な足だ。
しかし通常の乗客同士ではありえない体勢だ。ぎゅうぎゅう詰めのラッシュ時ならともかく終電のガラガラの車内だ。
黒いハイヒール、黒ストッキング、赤いコート、視線を上にずらそうとしたが、そこでまさかの金縛り。。。🥺
そいつはうつむいた体勢の僕のつむじ辺りを指でなぞり出した。👇
グルングルングルングルン
酔っ払った時のように三半規管が狂ってくる。冷や汗が止まらない😰足しか見えていないはずなのに、女ということも、髪型、表情までも感じとれる。
電車もなかなか止まらず、車内には僕と女性二人きり。どうしていいか分からず目を閉じようとしたが、目も閉じれない。どうなるか、いつ終わるか先のわかない恐怖が僕を包み込む。
「新百合ヶ丘 新百合ヶ丘」
車内アナウンスが流れて扉があいた。
誰かのってきてくれ🥺
胸が熱い、熱い、まるでウォッカを一気飲みした時のような熱さ、胸の中で火の玉がのち打ちまわるような感覚。悲鳴を上げたいが声にならない。
やがて胸の熱さは右腕に移りさらに熱さは増していく。紫色のモヤが腕から溢れて床にボタボタ落ちていく。
よく見ると右腕の古傷から、どんどん溢れてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」心の叫びは声になり、車内に響きわたる。
その時、金縛りが急に解け目の前にいた女であろう何かは消えていた。
「あんた、やばかったね😩」
視線を声の方に向けると、メガネをかけたキノコが立っていた。
もとい、20歳くらいのメガネをかけたキノコカットの青年がたっていた。
「赤いトレンチコートの女見えてただろ、ホームから見えてたから、わざわざ隣の車両から移動してきちゃったよ👍」
貸切状態の車両なのにそいつは僕のとなりに座わり足を組んで話し始めた。
「あれは多分、悪霊だ。 実体化してたし、あんたに触れることもできた」
この男が言うには、単体ではなく、悪霊の集合体だったようだ。
あの手の集合体は意志の疎通が難しいようで除霊やお祓いは困難との事。
なんなんだこのオカルトマニアは。。。
それよりも障害認定受けるくらい右腕を動かせなかったんだが、今普通に動く。
俺は右腕を動かしてキノコ頭に腕のことを説明した。
「それは俺にもわかんないなぁ、もしかすると俺の浄化領域にあんたが入ったからかなぁ」
浄化領域?キノコ頭は結界のようなものを張ることができるらしく、トレンチ女をその領域にいれたようだ、この腕も霊的な原因で動かなかったのかもしれないとキノコは言った。
「〇〇駅 〇〇駅🚃」
最寄りの駅に着いた。「あれ、あんたも同じ駅かよ」
どうやら彼は僕の最寄り駅前の飲食チェーン店で深夜バイトをしてるらしい。
こいつは、若蔵だが知識もあるし何かの役に立つかもしれない。
「LINE交換ませんか?」
年上なのに何故か敬語でお願いした。
「あぁ、別にいいけど、あんたヤバそうだしなぁ」
「風間さんかぁ、俺、中島、よろしく」
悪いやつではなさそうだが、もう少し敬意をしめして欲しいものだ。。。彼は仕事先の割引クーポンを渡すと去っていった。
🌟次回予告、中島と風俗嬢に取り憑いた悪霊を退治に、ラブホテルへ。。。」
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