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🖤夢小説:『お前は逃げられない』「……そんなに震えて、何が怖い?」
無惨の声は、あまりにも静かで、余計に恐ろしかった。
柔らかな手が頬に触れる。優しげな仕草に見えて、その下には氷のような支配が潜んでいる。
「やめてください……っ、お願い……もう……」
声が震える。喉の奥がつまって、涙が勝手にこぼれてくる。
けれど、その懇願は無惨にとって、ただの“音”でしかない。
「私は“やめる”という感情を持たぬ。特に、お前のような劣った人間に対してはな」
冷たい指があいの首筋に触れ、ゆっくりと辿っていく。
ぞくりと背筋を走る感覚。恐怖と羞恥が入り混じった感情が、胸を締め付ける。
「ここが……一番、弱いのだろう?」
その瞬間——
無惨の舌が、あいの首筋を這うように舐めた。
「っ……! や……やめて……っ、やめてぇ……!!」
声が掠れるほど叫んでも、無惨は愉しそうに微笑んでいた。
「泣き顔も、震える身体も。……実に、美しい」
指先で顎を固定され、逃げられない状態のまま、再び舌が首筋に触れる。
舐められるたびに、嫌悪と羞恥と絶望が身体を支配していく。
「いいか、あい。お前が泣いても、拒んでも、何も変わらぬ」
「お前は、私の所有物だ。私の欲のままに、壊される運命なのだよ」
あいは目を閉じた。涙が止まらない。
……この地獄が、いつまで続くのか、誰にもわからなかった。