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シャークんside_/北側諸国
妙に陽気な音楽と煩わしいと感じてしまうほどにも耳を刺激する人々の声。ミートパイとかエビとか…普段なら絶対に食べれないような料理の匂いが鼻を突く。 色とりどりのガーランドや屋台が気持ち悪いほど国全体を彩っていた。
shk「…これ、1個ください。」
「…あ?ガキに食わせる飯は無いよ。帰んな」
さっきまではヘラヘラしながらミートパイを貴族の奴らに売っていた店主ことクソジジイは俺が声をかけた途端に冷酷な視線を此方に向ける。多分、俺が下層階級の人間だとわかったからだろう。……このクソジジイが、
shk「何言ってんだ、ガキじゃ……」
そう言いかけたところで俺の肩を誰かがガシッと掴む。急な出来事に少しだけ驚いたが即座に後ろを振り返る。するとそこには見たこともないくらい長身でやたら図体のでかい男がいた。そいつは俺の事を横目で見るとへにゃって効果音が付くんじゃないかと思うほどに気の抜けた顔で笑う。
???「まって〜。おじさん、それひとつちょーだい」
「……はいよ、」
クソジジイはその大男を見ると一瞬怯えたような顔をしたがすぐに気持ち悪いほどにニコニコと笑い接客をし始める。 この男は…貴族のようには見えないが、やたらでかい背丈に筋肉がついた身体……どこかの国の騎士が観光にでも来たのか?
shk「…あんた誰?いつまで肩に手置いてんの。」
???「え?あっ、ごめん!サイズ感がちょうどよくてさ、」
shk「…は?舐めてんじゃ………んむっ、!?」
俺がそう言いかけたところでこの大男は俺の口にミートパイを突っ込んできた。……うま。
shk「…んむっ、んっ、ちょ……!」
???「もう!怒んないの。それ…君のために買ってあげたんだよ〜、」
shk「……っ、お、俺の為?」
必死に咀嚼してようやく飲み込み言葉を発する。またしても意味がわからない。知り合いでもなんでもないのにコイツが俺に飯を奢るメリットなんて無いに等しいだろ。
???「そうっ!君の為!」
shk「…何言ってんの……。まあ頂くけど。」
???「ははっ!よかった〜!………嬉しい?」
shk「……..ウレシイ。」
???「…!じゃあ!……… 僕に着いてきて。」
shk「……は?何言って……」
次の瞬間、俺はこの大男に右手をグイッと引っ張られ、体を軽々と持ち上げらる。ふわっと宙を浮いたかと思えばいつの間にかそいつの肩に担がれてしまった。
shk「…は、!?え、な、なんだよお前!」
突然のことに理解が追いつかない。だけどなんとなくこのままじゃまずいということだけがわかり精一杯の力を込めて何度も背中を殴り逃亡を試みるがそんな抵抗も虚しく近くに止められていた小さい荷運びの馬車に乗せられてしまった。
shk「おい!離せ、!…俺のこと殺すのか?どうするつもりなんだよ、。おい!」
???「…もぉ〜、うるさいなぁ。どうもしないよ!」
やけに図体のデカイ男は俺が逃げ出そうとするのを軽く力をかけるだけで牽制する。力を振り絞って殴るがこんな攻撃、1ミリも効いていないみたいだ。…クソっ、もっとちゃんと鍛えておくべきだった。この国の飯なんか毎日食ったら体が悪くなると思ってろくに飯を食わなかったからだ、クソっ!クソ!
shk「っ…!ふざけんなっ、!」
???「うるさいなぁ……。そんなに怒らなくても…悪いようにはしないからさ。」
shk「は?そんなん信じられるかよ…。」
???「まあそうだよね〜…。僕が君の立場なら信じられないわ。」
shk「………そうかよ、」
???「ねえさぁ…君の名前、なんて言うの?」
shk「は?教えるかよ。てかお前が先に言え、」
br「…わかったよ。……僕はぶるーく、」
shk「ぶるー、く……」
br「はいっ!教えたよ。…で、君は?」
shk「は?教えないw」
br「…まあそんな気はしてたけ土…いつかは吐いてもらうからね。」
shk「…勝手にどうぞ。」
br「…はぁ。……あ!そうだ君。僕と、ひとつだけ約束してくれない?」
shk「…約束、?なんでだよ、」
br「大丈夫。簡単なことだからさ、」
shk「…はぁ、言うならさっさと言ってくんね?」
br「ははっ、ありがと。…じゃあ耳貸して。」
…と、この調子で俺の素性を聞かれたり(教えたとは言っていない)この図体のでかい男……ぶるーくの話を聞きながら荷運びの馬車に揺られ目的地まで向かった。ちなみに抵抗したけど逃げることは不可能に近い。
まあそして……わかったことがいくつかある。まず、ぶるーくの出身はワイテルズ諸国という所。俺も風の噂で名前だけは聞いたことがある。最近出来た国なのだが国力、戦力、経済力も、俺のいた国には劣るものの急激な成長を見せている国だ。どうやら、ぶるーくの仲間が治めているらしい。
で、なぜ俺がそんな所に連れて行かれなくては行けないのか?…これについてらは聞きだすことは出来なかった。ただひとつだけ教えて貰えたのは俺に危害は加えないし、なんなら元いた国での環境よりも格段に良い環境に置いて貰える、ということ。
正直…こいつが嘘をついているようにも思えなかった。いや、まじでなんとなくでそう思っただけだし信用なんて1ミリもしてない。なんなら俺がそのワイテルズ諸国で殺される可能性だってある。だけど…まああんなクソみてえな国で死ぬくらいならどこか別の遠いところで人生を終えるのも悪くはないんじゃないか…と思ったんだ。
…まぁ、今言ったことは全部ぶるーくとの約束の上に成り立っているんだけどな。