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jinto _ .
43
#吉田仁人
mo-
1,383
こんにちは。💛です。
初めての作品ですので、書き方がおかしかったり、誤字などがあるかもしれませんが、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
基本的に見る専門なので気が向いたら のんびり書いていこうと思います。
(初めてだからかしこまっちゃってるけど全然そんなキャラじゃないです)
仁人side
放課後のチャイムが鳴った。
教室の中にいた生徒たちが、一斉に帰る準備を始める。
椅子を引く音。
鞄のファスナーを閉める音。
「また明日」と声を掛け合う声。
いつも通りの放課後。
俺も教科書を鞄にしまいながら、窓の外を眺めた。
夕方の空は、まだ明るい。
昼間より少しだけ薄くなった青の向こうに、オレンジ色の光が広がっている。
俺は、ぼんやりとその空を見ながら、昨日のことを思い出していた。
昨日、勇斗と見た星。
ほんの少しの時間だったのに、妙に印象に残っている。
星なんて、今までちゃんと見たことがなかった。
夜になれば見えるもの。
それくらいにしか思っていなかった。
でも、昨日見た星は違った。
暗くなっていく空の中に、少しずつ光が増えていくのが綺麗だった。
俺は、また見たいと思っていた。
できれば、もう一度。
「仁ちゃん」
声をかけられて振り返る。
太智が机に寄りかかりながら、こっちを見ていた。
「今日、そのまま帰るん?」
「うん。……たぶん」
「たぶん?」
「ちょっと寄りたいところがある」
「どこ?」
「秘密」
俺がそう言うと、太智は不思議そうな顔をした。
「なんやそれ」
その横から舜太が顔を出す。
「仁ちゃん、最近なんか隠し事多ない?」
「そんなことないよ」
「ほんま?」
「ほんと」
二人のやり取りを聞いていた柔太郎が、静かに笑った。
「二人とも、仁人困ってるよ」
「柔ちゃんは優しいなあ」
「そう?」
「そうやで」
太智と舜太が笑う。
俺も思わず笑った。
こういう時間は好きだった。
何でもない話をして、くだらないことで笑って。
俺は、こういう普通の放課後が一番落ち着くのかもしれないと思った。
「じゃあ、俺帰るね」
鞄を肩に掛ける。
そのとき
「仁人」
振り返る。
勇斗が自分の席からこっちを見ていた。
「一緒に帰らない?」
一瞬だけ、返事に迷った。
けれど
「うん」
自然にそう答えていた。
俺は、勇斗と並んで教室を出た。
勇斗side
廊下を歩きながら、勇斗は隣にいる仁人を見た。
さっきから、何かを考えているようだった。
「仁人」
「ん?」
「今日、どこか行くの?」
「……ちょっとだけ」
「俺も行っていい?」
仁人は少し驚いた顔をした。
それから、小さく頷く。
「いいよ」
勇斗は、その返事を聞いて嬉しくなった。
昨日、二人で星を見た。
短い時間だったけれど、勇斗にとっても楽しい時間だった。
だから今日も、もう少し一緒にいたいと思った。
ただ、それだけだった。
仁人side
校門を出る。
放課後の道には、同じ制服を着た生徒がちらほら歩いていた。
部活へ向かう人。
友達と話しながら帰る人。
寄り道をするのか、途中で別の道へ進んでいく人。
俺と勇斗は、ゆっくり歩いていた。
「どこ行くの?」
「学校の近くの公園」
「公園?」
「うん」
俺は少し前を見ながら答えた。
昨日、星を見るならどこがいいか調べていた。
学校の近くに、街灯が少なくて空がよく見える場所があるらしい。
本当は一人で行くつもりだった。
でも
隣に勇斗がいる。
それだけで、昨日より楽しみになっている自分に気づいた。
公園に着く頃には、空はだいぶ暗くなっていた。
まだ完全な夜ではない。
けれど、夕焼けの色はほとんど消えている。
俺たちはベンチに座った。
「まだ星、少ないね」
勇斗が空を見上げる。
「うん。もう少し暗くなったら見えると思う」
二人とも、しばらく何も言わなかった。
俺は空を眺めた。
薄暗い空。
まだ街の明かりが残っていて、星はほとんど見えない。
俺は、昨日みたいに見えるのかなと思った。
少し待っていると。
「……あ」
勇斗が声を上げた。
「見えた?」
「うん。あそこ」
指差した先に、小さな光が一つ浮かんでいた。
「ほんとだ」
俺は少し身を乗り出した。
一つ見つけると、その周りにもいくつか星が見えてくる。
「すごい」
思わず声が漏れた。
「昨日より見えるね」
「うん」
俺は空を見上げた。
星は、思っていたよりずっと小さい。
でも、暗い空の中ではちゃんと見える。
俺は、星ってこんなに静かなんだと思った。
何かを主張するわけでもない。
ただそこにいて、ずっと光っている。
「仁人」
「ん?」
「星、好きになった?」
「どうだろう」
俺は少し考えた。
「でも、最近はちょっと好きかも」
勇斗が笑う。
「じゃあ、俺のおかげ?」
「それは違う」
「即答じゃん」
俺も笑った。
昨日より、自然に笑えている気がした。
太智side
その頃
太智は家に帰る途中、スマホを見ながら歩いていた。
ふと、仁人が帰り際に言っていたことを思い出す。
「公園行くって言うとったな」
隣を歩いていた舜太が反応した。
「勇ちゃんと?」
「たぶんな」
「やっぱり?」
少し後ろを歩いていた柔太郎も話を聞いていた。
「二人で星を見に行くって、なんかいいね」
「柔ちゃん、他人事みたいに言うやん」
「だって俺たちは行ってないし」
「そこを助けるのが俺らやろ」
太智が言うと、舜太が笑った。
「何を助けるん?」
「知らん」
「知らんのかい」
三人で笑う。
柔太郎は少しだけ空を見上げた。
「でも、仁人が楽しそうならいいんじゃない?」
「まあ、それはそうやな」
太智は頷いた。
仁人が自分の気持ちに気づくまで、無理に何かをする必要はない。
ただ、少しだけきっかけを作ってやれたらいい。
三人とも、そんなことを思っていた。
仁人side
星を見始めてから、どれくらい経っただろう。
時間を確認することもなく、俺たちはずっと空を眺めていた。
「寒くない?」
勇斗が聞く。
「大丈夫」
そう答えたけれど、少しだけ腕が冷えていた。
勇斗はそれに気づいたのか、少し笑った。
「強がってない?」
「強がってないよ」
「ほんと?」
「ほんと」
俺は笑いながら答えた。
こうしていると、時間がゆっくり流れているように感じる。
学校ではいつも、次の授業。
次の休み時間。
次の予定。
そんなふうに時間を追いかけている。
でも今は違う。
何もする必要がない。
ただ空を見ているだけ。
俺は、こういう時間も悪くないと思った。
「ねえ」
勇斗が空を見ながら言う。
「星って、昔からあそこにあるのかな」
「どうだろう」
「俺たちが見てないだけで、ずっとあるのかもね」
俺はその言葉を聞いて、少し考えた。
見えていないだけで、そこにある。
それって、なんだか不思議だった。
俺は、見えないものって意外とたくさんあるのかもしれないと思った。
普段は気づかない気持ちとか。
言葉にしていないこととか。
そういうものも、星みたいにずっとそこにあるのかもしれない。
「仁人?」
「ん?」
「なんか考えてた?」
「ううん。ちょっとだけ」
俺は空を見上げた。
「星って不思議だなって思って」
「分かる」
勇斗が笑う。
その横顔を見て、俺は少しだけ視線を逸らした。
最近、勇斗のことをよく見るようになった気がする。
笑っているとき。
真剣に話しているとき。
誰かとふざけているとき。
俺は、そんな勇斗を見ている時間が好きなのかもしれないと思った。
でも、その気持ちにまだ名前はつけられなかった。
柔太郎side
翌日の昼休み。
柔太郎は、教室の窓際で外を眺めていた。
昨日の帰り道。
たまたま通った道の先に、仁人と勇斗が歩いているのが見えた。
二人とも、いつもよりゆっくり歩いていた。
「柔ちゃん、昨日見たん?」
太智が隣に来る。
「うん」
「どうやった?」
「楽しそうだったよ」
柔太郎はそう答えた。
「ならよかった」
太智は少し笑った。
そこへ舜太もやってくる。
「俺ら、もう何もせんでもええんちゃう?」
「そうかもね」
柔太郎は二人を見ながら言った。
「仁人自身が気づくのが一番だと思う」
「せやな」
三人はそれ以上何も言わなかった。
その視線の先では、仁人と勇斗が何気ない話をしていた。
仁人side
数日後。
放課後の空は、あの日と同じように綺麗だった。
俺は校門を出たところで足を止める。
「今日も星、見えるかな」
そう呟いた。
すると隣から声がする。
「また見に行く?」
勇斗だった。
俺は少し驚いた。
「いいの?」
「もちろん」
二人で、またあの公園へ向かった。
前に来たときよりも、道が短く感じた。
公園に着いて、ベンチに座る。
空はまだ明るかった。
俺は、星が見えるまでの時間さえ楽しみになっていることに気づいた。
「仁人」
「ん?」
「最近、星見るの好きになったね」
「……うん」
俺は空を見上げた。
「勇斗と見るのが好きなのかも」
言ってから、自分で驚いた。
勇斗も少し黙っている。
俺は、今の言葉を取り消したくなった。
でも。
「俺も」
勇斗がそう言った。
その一言で、胸の奥がじんわり熱くなった。
俺は、何も言わずに空を見た。
やがて、一つ目の星が見える。
その隣にも、もう一つ。
さらにその上にも。
少しずつ、夜空が星で埋まっていく。
「……あの星」
俺は一番明るい星を指差した。
「前に見たやつかな」
「たぶん」
「じゃあ、覚えておこう」
「何を?」
「来年も同じ星を見つけられるか」
勇斗が笑った。
「いいね」
俺も笑った。
来年。
その言葉を口にすると、少しだけ未来が近く感じる。
俺は、来年もこうしていられたらいいと思った。
同じ学校で。
同じように放課後を過ごして。
また二人で、この星を探して。
そんな未来を想像すると、不思議なくらい嬉しくなった。
俺はまだ、自分の気持ちを全部分かっているわけじゃない。
だけど
勇斗と一緒にいる時間を、大切にしたい。
それだけは、はっきりしていた。
夜空に浮かぶ星を見ながら、俺は静かに笑った。
「来年も、また来よう」
「うん。約束」
その約束が、いつまでも続けばいい。
俺はそんなことを思いながら、隣にいる勇斗と同じ空を見上げていた。
星は遠く離れている。
それでも、同じ夜空の中で光っている。
俺たちも、きっとそうなのかもしれない。
まだ分からないことばかりだけど。
今はただ、この時間を大切にしたい。
そう思った。
空には、無数の星が浮かんでいた。
その中で一番明るい星を、俺はもう忘れない。
いつかまた、この場所に来たとき。
今日と同じように、隣に勇斗がいてくれたらいい。
そう願いながら、俺はゆっくり立ち上がった。
「帰ろうか」
「うん」
二人で歩き出す。
帰り道の空には、まだ星が見えていた。
俺は何度も振り返りそうになったけれど、そのたびに前を向いた。
きっと、また見られる。
そう思えたから。
――君と見る星は、いつもより少しだけ綺麗だった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
初めてで右も左もわからないですが、なんとか書き終えることができました。
どのくらいの長さにすればいいとか、こんなシチュエーションがあったらいいなとかがあったら、気軽にコメントしていただけたら改善していこうと思っています。
(気が向いたら)
コメント
1件
初めての作品とは思えないくらい、静かで丁寧な世界観に引き込まれました。星を見上げる時間が、仁人くんの中で少しずつ勇斗くんとの特別な時間に変わっていく感じがすごくよく伝わってきました。何気ない会話の一つ一つが優しくて、特に「来年も同じ星を見つけられるか」って約束のシーンが心に残りました😌 無理せずゆっくり書いてくださいね、また読みたいです📖