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「ねーねー、明日空いてる?」
「空いてたらさ、一緒に遊ばない?」
「〇〇公園とかで会ってさ、カフェ入って、適当に話そう!」
「どうかな?」
「あ、明々後日はカラオケ行って、その次の日はどうしよう…?」
「え、未読スルーやめて??」
「ねぇ、見てよ!俺って彼氏だよね!?ねぇ、見て!!」
「見て!」
「ねえ!?」
俺がいくら乃乃にラインを送っても、既読がつくことはなく、返信される事も無かった。
それは日常だった。
だけど、やっぱり寂しかった。
現実で会っても何も言ってくれないし、彼氏として接してもくれない。
ただの友達でしか… いや、ただのクラスメートであるだけな気がして、胸が苦しくなった。
「(俺って、おかしい…?)」
愛、重すぎた――?
どこで踏み間違えた―――?
俺には、何も分からなかった。
ただ辛くなるだけだった_____。
―――乃乃と出会ったあの頃
俺は急いで高校に向かっていた。
走って道路を飛び出し、曲がり角を曲がった―――
その時だった。
そんな音を立てながら、衝撃が全身に走った。
「いって…っ」
「いたたた… ごめんなさいっ…。」
「いえ、こちらこs… っ!!」
「あ、蓮くん?」
「乃乃ちゃん…?」
「蓮くんか!ごめんね、急いでて――っ」
「こっちこそごめん!俺も急いでたんだ___。」
乃乃ちゃんもどうやら相当急いでいたらしく、マンガみたいな綺麗なぶつかり方をしてしまったらしい。
―――でもこれは、ただの偶然じゃなかった。
俺の、
“恋の始まりだった。”
――あの頃から、俺は乃乃をだんだんと好きになっていった。
仕草や言動、その全てが俺の心を鷲掴みにした。
もう、乃乃以外は愛せない。
そう思い、頑張って真夏の放課後に告白したんだ。
ダメ元だったけど、返事は意外にもOK。
そこから、俺の幸せな人生は始まった。
_____はずだった……。
この出来事が起きたのは1年前。
そして、好きになったのも付き合ったのも、1年前。
まだ付き合いたてで、やっとラインも交換したばっかだったのに―――
なのに急に、ラインすら読まなくなるなんておかしいじゃないか…!
俺は努力してきた。
乃乃に全てを費やしてきた。
それがそもそも間違っていたのだろうか?
今さら棒に振るなんてと、遠慮していたのか…?
だとしたら、もう俺のことは好きでは無いのかも知れない。
俺が束縛しすぎたのかも―――。
「ごめんな…。俺は愛してるよ。ずっと、ずっと___」
ラインにそうメッセージを打ち込んでから、送る訳も無く 静かに取り消した。
思いだけが伝わってくれれば、それで良かったんだ。
俺は乃乃と付き合えただけ、幸せだったんだ。
ありがとう。乃乃。
俺はそこから、乃乃と距離を開けるようになった。
たぶん、しばらくして振られると思っていた。
でも、それは無かった。
会話は無かったけど、振られはしなかった。
「(振るなら早く振ってほしいんだけどな… 俺も諦めつかねぇよ…。)」
―――そんなある日
放課後に、俺は勇気を出して乃乃を校舎裏に呼び出した。
そして、真剣に話し合うことにした。
「―――乃乃。」
「……」
「早く振ってくれよ。」
「え……?」
「好きじゃないならっ、早く諦めさせてくれよ……っ!!」
「っ…」
「ラインも返してくれない。見てさえくれない…」
「もう好きじゃないんだろ?遠慮なんてしなくて良いから…」
「それなら、早く別れた方がマシ。ずっと、ずっと。 俺、辛かったんだ。」
「蓮…」
「何?」
「まだ好きだよ。蓮。」
「え…っ」
そんな訳無い。
ラインを返してくれない彼女なんて、好きじゃないに決まってるだろ…!!
そう言い返そうとした時、乃乃が会話を切り出した。
「私、蓮からの愛がっ、耐えられなくて…っ」
「……っ」
「好きだよ?好きだけど、なんか違う気がして……」
「乃乃。――俺さ。」
「―――うん」
「最初に会った時、乃乃に一目惚れした。」
「―――うん、」
「絶対幸せにするって、心に誓ったんだよ。」
「…っ!」
「好き…。」
やっぱり、諦めるなんて俺には無理だ。
乃乃しかいなかったんだ―――!
俺は、乃乃を抱きしめた。
最初に体を抱き合った時よりも、少し冷たくなっていた。
心も、体も…。
「俺、間違ってたよな。重すぎた。でも……っ」
“好きなんだよ。”
「蓮……ッ」
「もう一回、俺とやり直してくれませんか―――?」
その言葉の後、長い長い沈黙が続いた。
永遠に等しいほど、長い沈黙が。
―――そして、言葉は返ってきた。
「私も愛してるから…!だから、よろしくお願いします。」
「乃乃―――。じゃあ、なんでラインを返さなかったんだ…?」
「それは____」
「それは?」
「ネットで出会った人から、一日中電話がかかってきてて… 精神がおかしくなってたの。」
「え!?だ、誰だよ!?」
「それは… 会ったこと無いから、分かんない。」
「そんなの、早く言ってくれよ…!俺が守る!」
「蓮…っ」
「安心しろよ?俺が守るから…!!」
「良いだろ?」
「当たり前でしょ?」
「ありがと!」
「大好き!」
そして俺達は笑顔を交わして、ソイツを仕留めることにした。
だけど、ソイツ以外に もっと強いライバルは居た。
―――意外と近くに、奴は居たんだ。