好きなんですけど！

※ナムさん視点です。

「ねぇ、ナムジュナ」

「ん？」

「この後時間ある？」

作業に区切りが付いた為、珈琲を淹れにリビングに入れば、珍しくホバしかおらず、他のメンバーはいない。珍しい事もあるもんだと軽く思いながら珈琲を淹れてコップを持つと、ホバから話しかけられた。…真剣な表情だ。

「…あぁ、大丈夫だ」

ここは、同い年の親友として聞いてやらないといけない気がする。真剣な表情のまま俺を見つめてくる目を真っ直ぐ見つめ返せば、瞳の色が変わった。…虹色だ。

「…ありがとう。作業の途中でしょ？終わってからで良いよ」

「…分かった、終わったら呼ぶな」

「うん、ありがとう」

真剣…というよりは、緊張しているのか？いつもより表情筋が固まっているような印象を受け、それなら尚更早く話を聞いてやろうと、すぐさま作業室に戻り、パソコンを開いて……閉じる。今、作業をしている場合か？いや、話を聞いてやる方が大事だろ。あんな表情、滅多にするものじゃない。すぐさま立ち上がり、ドアを開けば、部屋に戻る途中だったホバの背中がびくり、と跳ねた。

「！、ど、どうしたの？」

「いや……手につかなくなったから、今聞こうと思って……」

「ぁ…ごめんね？声かけたタイミング悪かったよね」

「そんな事ない。作業よりもお前の話の方がずっと大事だから」

「……そういうとこが………」

「？」

「………うん、分かった。……ここではちょっと話せないから……作業室で話そう」

「……分かった」

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「………で、話っていうのは………」

「……うん………はぁー………」

「…無理に話さなくても「そういうのじゃない」そうか……」

「…ただ……覚悟したつもりでも、凄く葛藤しちゃうものだから……でも、大丈夫。……ちゃんと聞いて欲しいんだ」

「……………」

覚悟を決めて尚、葛藤をするほど大事な話……これは心して聞かないと。

「………気持ち悪いとか、嫌だったりしたら、ハッキリ言って良いから」

「……分かった」

気持ち悪い？嫌？一体どんな話だ……？

「………好き、なの」

「………それは……？」

「ナムジュナが、好きなの」

「……………ホバ、大事な話って「これが、大事な話なの」………？」

「いつも、言ってるから…信じられないのも、分かる。…でもこれが、僕がしたかった大事な話で、ナムジュナに聞いて欲しい事なの」

「……………」

ぽつり、と放った言葉が、最初はよく分からず、次に何故ふざけるのかと疑問になり、顔をあげたホバの今にも泣きそうな顔を見て確信に変わる。好き…俺の事が？この雰囲気でメンバー愛だとか親友愛だとかいう類のものでない事は分かる……となると、

「……それは、つまり……俺の事を、恋愛対象として見てるって事……で良いか？」

「………うん………」

「……今まで、好きだって言ってたのも、全部本当の事だったってわけだな」

「………うん………」

「………そうか………」

「……………」

「……悪かった」

「………？、何で……」

「お前の本気を、軽く捉えてた。いつも笑ってるから、ふざけてるだけだと思ってた。…だから、悪かった」

ホバはふざけて言っていたわけではなく、いつも真剣に伝えてくれてたのか。それなのに俺は軽く流して…知らないうちに傷つけてたよな。

「……そんな、ナムジュナは悪くないよ。そもそも、男同士なのに好きになった僕が悪いわけだし……」

「好きになるのに同性だとか歳とかは関係ないだろ。そんな言い方するなよ」

「……ありがとう……ナムジュナは優しいね。…そういう、とこも…っ、好きだよ……」

「……泣くなよ……」

「ぐす……ごめん……っ、無理だったら、ハッキリ言って良いから。今後気まずくなるかもとかも考えないで」

「……………」

ホバは俺の事が好き……俺は？正直、ホバの事はメンバーとして以外の目で見た事がない。それならハッキリそう言った方が……でも、あの目が引っかかる。何で、俺だけ虹色に見えるんだ？……俺は、本当にホバの事をメンバー以外の目で見た事がないのか………？

「………ホバ」

「………うん………」

「……目を見せてくれないか？」

「……目？」

「あぁ」

「………うん………どうぞ」

「ありがとな」

………綺麗な、虹色だ。見てるだけなのに吸い込まれそうで、涙でより輝きが増している。………俺は、今までこの虹色に光る目の中に映る自分の顔を見た事があったか？もし、虹色に見えるようになった日からこの顔で見ていたのなら………俺は相当な馬鹿だな。

「………ハッキリ言わせてもらう」

「………うん………」

「俺は……………」

お久しぶりです。そして、いつもご愛読いただきありがとうございます。更新頻度がかなり遅い作品となってしまいましたが、いよいよ次回で最終回となります。最後まで読んでいただけると幸いです。