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~クロヴィス商業地区~
未央の召喚した上級悪魔と六魔将の配下の魔族がクロヴィスの兵士数千と交戦中であった。
国王の息子であるレオンハルトとクロードは、悪魔たちの一人一人の戦闘力に苦戦を強いられていた。
「兄様、敵は余りにも強すぎる!」
「このままでは、わが軍、我が国は数日と持たずに堕とされてしまいます。」
弟のクロードは、兄と共に商業地区の防衛を国王である父より言い渡されていた。
数時間前に出現した悪魔たちを必死に守っていたが遂に限界が見え始めていた。
レオンハルトとクロードは共にレベルが45を超えている。
冒険者で言うとAランクに匹敵する能力を2人とも有していたが、敵である上級悪魔は一人一人がレベル50付近で、それを越えている者さえ存在した。
そんな実力の違いによりクロヴィス側の戦力は時間と共にジリ貧へと陥っていたのである。
「確かにまずいな。」
「だが、私も戦士を名乗る者―――」
「例え勝てずとも最後はこの国のために戦い、そして戦場で散ると決めているッ!!」
「だが、その決意にクロードお前も付き合う必要はないぞ!!」
「お前はいざとなったら逃げろ!」
「兄様・・・」
クロードは、そんな兄であるレオンハルトを見つめる。
「貴方たちがこの国の王子様なの!」
そんな二人の前に余りにもこの戦場に似つかわしくない一人の少女が現れた。
黒い服を身に纏い、その豊饒な魔力から魔王軍の者であることは明白であった。
「新手か・・・!!」
レオンハルトは少女とはいえ、一切の油断を見せることなく、手に持った槍を構え戦闘態勢に入る。
「貴方たちは生け捕りとモレク様より命令されているの。」
少女はとても甲高い声、不気味な声でレオンハルトとクロードに言い放つ。
「新しい魔王様は、皆殺すなって言ってたの―――」
「ッ―――!?」
二人は内心、魔王がこの戦いにおける虐殺を否定する様な命令を送っていたことに驚いた。
「でも私はモレク様の命令を優先するの―――」
「この国の方々がどうなろうと知ったことではないの。」
少女の機械仕掛けかと思うような単調な声が二人の恐怖心を煽った。
「あっ、そうそう言い忘れていたけど、自己紹介をしますの。」
「私の名前は六魔将モレク様の配下が一人、スターリン-キル―――」
「皆からは”天才”のキルちゃんなんて呼ばれていますの。」
そう自己紹介をする少女の瞳の奥はあり得ない程、漆黒に満ちていた。
「生け捕りとは言われましたけど、五体満足とは言われていないの。」
「腕の一本や二本は無くなる覚悟はしておくの。」
「なぁ、兄様、あいつに勝てそうか?」
クロードはレオンハルトに微かな声で耳打ちをする。
「二人で戦ってもまるで勝てるビジョンが見えない。」
「だよなぁ―――」
「しかしこの国のため戦うしかないのもまた事実。」
そう言うレオンハルトの目は本物の戦士の目をしていた。
「しょうがない兄様、オレも付き合うぜ!!」
クロードは頭をポリポリと掻き、戦闘態勢へと移った。
「あら、お二方十分戦闘のやる気はあるみたいなの。」
「せいぜい足掻いて見せるの。」