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翌日。
私はいつもどおり教室に入った……つもりだった。
でも、なぜか教室の空気がざわついていた。
特に男子。
「おい見た? 今日のりな、なんか可愛くね?」
「いや元から可愛いけどさ、今日の髪型やばい」
「冬月の隣に座るの、ずるいな〜」
(え……なにこの注目……?)
鏡を見たわけでもないのに、
みんなの反応が妙に熱い。
昨日、澪に
「髪、ちょっと巻けば?」
って言われて試しただけなんだけど……。
「りな、おはよう」
後ろから静かな声。
振り向くと、澪が立っていた。
「おはよ冬月さん!」
私が笑うと、澪はほんの少しだけ眉をひそめた。
「……なんでそんなに人に囲まれてるの?」
「え、わかんない! なんか今日モテてる!」
「……ふーん」
(あれ……なんか機嫌悪そう?)
澪はそのまま席についたけど、
彼女の雰囲気がいつもより冷たかった。
休み時間。
私は澪のところへ行こうとしたけど、
男子に呼び止められた。
「りな! 今日帰り、みんなでコンビニ寄らね?」
「お前ギャルなのにノリ良いし、話してて楽しいんだよな」
(あー……これは断りづらい……)
礼儀として返事しようとした瞬間——
「りな」
低い声がすぐ横から落ちた。
見ると、澪が私の腕を掴んでいた。
「帰るよ。今日、一緒って言った」
「え……いつ……?」
「……昨日。無言で決まった」
「そんな決まり方ある!?!?」
男子たちはぽかんとしていた。
「冬月〜嫉妬?」
「いや冬月がそんなことするわけ——」
「違う」
澪は即答した。
即答したけど——
耳が赤かった。
(え……これ絶対嫉妬してるやつ……)
「りな、行こ」
「え、あ、うん!」
澪に引っ張られて廊下に出ると、
彼女は腕を放し、ちょっとだけ顔をそむけた。
「……別に。邪魔だっただけ」
「うんうん、嫉妬ね?」
「違う」
「顔赤いよ?」
「違うって言ってる」
いつも冷静なくせに、
こういう時だけ不器用でかわいい。
「でもさ、嬉しいよ。守ってくれた感じして」
「……守ってない」
「じゃあ何?」
澪は足を止めて、小さく息を吸った。
「……りなが取られるの、嫌だった」
「え」
「昨日、手……つないだ。
……それ、私だけだと思ってた」
(あ……やば……かわ……)
胸がズキンとした。
遠くでチャイムが鳴ってるのに、
その音が聞こえないくらいに。
「冬月さん」
「なに」
「うち、冬月さんのものになった覚えはないけど……
冬月さんがそうしたいなら、別に良いよ?」
「っ……!」
澪は耳まで真っ赤になり、
小声で呟いた。
「……考える」
(考えるんだ……可愛すぎ)
その日、
澪はずっとそわそわしていて。
そして私もずっと、心がざわついていた。
嫉妬する澪を見て、
私は初めて “その気持ち” を意識した。
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