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チャットノベルも良いけど、普通のノベルもええでな!
今回、地味に初めての版権ものw
ゼンゼロより、ライカンさんとアキラのライアキ!
なんとオメガバースだぜぃ!!!!
解釈違いとかキャラ崩壊とか苦手な人はブラウザバック推奨だぜ!
あとかなーーーーーりネタバレ注意!
前編、後編で分ける!
なんなんだろう、この感覚は…
ふわふわするような、苦しいような…
「プロキシ様、どうかなさいましたか?」
「あ..あぁなんでもないよ」
あぁ、ライカンさんの言葉が脳に染みる…
「…左様でございますか。ですが、何かあった場合には私めにお申し付け下さい」
「助かるよ…」
僕はΩだ。
それを知ったのはヘーリオス研究所に居た時に定期検査を受けてからだ。
妹のリンもこの事は知っているし街中で発情してしまわないように買い出しも手伝ってくれてとても助かっている。
リンは僕の妹でいつもは、リンがH.D.D.システムを操作して任務をこなし、僕が依頼の受注やビデオ屋の経営をしている。
だけど昨日の夜からリンが熱を出し寝込んでしまって、今日予定していたヴィクトリア家政との任務は僕が引き継ぐことになった。
任務についてはリンがメモを残してくれているし、ホロウ内ではヴィクトリア家政でも優秀なライカンさんが手伝ってくれるらしい。
僕はいつも裏方ばかりだったからライカンさんの事はリンを通じてしか聞いた事がなかった。
曰く、狼のシリオンで礼儀正しく、いつも依頼者のことを気にかけてくれるらしい。
それを聞いて、少し会うのが楽しみだった。
どんな人なのか、どんな声なのか、服装、身長…
今思えばこの時にもう既に堕とされていたのかもしれないな…
「こちらです、プロキシ様」
イアスと同期してホロウに入ってすぐに声が聞こえてきた、優しい声だ。
その声の先には優雅な立ち姿をして、片手には懐中時計を持っているライカンさんがいた。
「失礼、待ったかい?」
「大丈夫、心配には及びません。では行きましょうか」
「そうだね…」
「? どうかなさいましたか?」
「い、いや…なんでもないよ」
「左様でございますか、依頼は遂行しますが、ヴィクトリア家政はお客様に満足して頂くのが第一ですので、何かありましたらなんなりとお申し付け下さい」
「わ…わかった」
なんだ、この感覚…
ライカンさんが喋る度に体が暑くなっていく…
この感覚には覚えがある、まだ抑制剤を飲むのを渋っていた時に味わった「発情」の感覚だ。
でも抑制剤はしっかり飲んだし、毎朝fairyが勝手にしている体調検査でも「体温、血中酸素濃度共に正常値です。」としか言われなかったはずだ。
だとすると考えられるのは1つ…
「肯定、現在助手2号はαに当てられ発情しています」
「fairy…タイミングが完璧なのは良いとしても、αだって?….まさか…」
ライカンさん…
そう考えた瞬間、頭の中がライカンさんの事でいっぱいになってしまった。
「もっと声を聞きたい」
「抱きしめて欲しい」
「あなたを感じたい」
こんなの、今までの発情では感じなかった…
「プロキシ様?…プロキシ様!」
「えッ…な、何か言ったかい?」
「プロキシ様、本当に大丈夫なのですか?先程から落ち着かないようですので…」
『ライカンさんの声を聞きたい』
「だ…大丈夫だよ、ホロウの出口まであと少しだし…心配はいらないよ…」
『ライカンさん…ライカンさん…ライカンさん』
正直、喋るのもやっとといったところだ。
…心臓の鼓動がうるさい。
「すまないけど…イアスは店まで返しに来なくても大丈夫だ、自分で店まで戻って来れる…」
「…承知しました」
「…それじゃ…同期を切るよ..」
プツッ….
切ってすぐに僕は薬箱に手を伸ばした。
中にある即効性抑制剤を飲むためだ。
「警告、抑制剤類は1日1粒が適量です。過度に飲めば深刻な副作用を招く恐れが…」
「fairy、今は僕1人なんだ…発情なんかでリンに迷惑をかけては…兄失格だ」
カラカラッ….ゴックン..
2粒だろうか、3粒だろうか…とにかく多めに出して口に含み、いつもより強い苦味に嗚咽が出ながらも一気に飲み干した。
…頭の中の声が消えていく
体の動悸もさっきよりは良くなった。
ふぅ…
自然と口からため息が出てきていた。
これが兄として出たため息なのか、ライカンさんを無下にしてしまった事へのため息なのか分からなかった…
「ンナナ!(アキラ!帰ったよ!)」
イアスの声がしたので玄関に行って扉を開けるとそこにはイアスだけだった。
しかし…
フワッ….
こ、この匂いはライカンさん…いや、αの….
声だけでもやばかったのに…いったい….
αに会うのはこれが初めてでは無いが、声だけでもここまで当てられたのはライカンさんが初めてだ…
まさか…『運命の番』?
それから…
その日以降のライカンさんとの任務はとても順調だった。
なぜなら、抑制剤を強くしたからだ。
fairyにはだいぶ文句を言われたが、リンのためでもあると説得した。
そして…
「完全復活〜!!」
リンの体調は回復してfairyからもお墨付きを貰ったことでプロキシを再開した。
僕は、あの日以来ちょっとやそっとじゃ発情しないくらいには抑制剤を飲んでいるので大丈夫だ。
「それじゃ、買い出しに行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!お兄ちゃん!」
買い出しはいつも人通りが少ない深夜に行く。
服装はお気に入りの上着ではなく、暗めの服に黒の目出し帽、黒マスクを付けて行く。
店を出て右の道を行くと、ボンプが経営している店である「141」が見えてきた。
ボンプはバッテリーがある限り休息を必要としないので「141」はほぼ24時間営業している。
ンナンナと言う彼らがいなければ僕のような人は生活出来ないだろう…
「ンナン!(毎度あり!)」
そうして僕は店へと帰ろうとしたのだが…
「……」
横を向いた時に前からコツコツと金属の義足を鳴らしながらこっちに向かってくる人物が見えた。
イアスを通して見ていたそれよりは大きく無いが、それでも自分より巨大な体、肩幅、そして狼シリオン特有の鋭い目…
ライカンさんだ…
そう自覚した途端、体が熱で覆われ始めた。
「…お尋ねしたいのですが…?」
ライカンさんは鼻をスン…と鳴らすと目を少し丸くしたように感じた。
「もしや…プロキシ様でありますか?」
『名前で呼んで欲しい』
『貴方が目の前にいるなんて』
『抱かれたい』
またこの感覚だ…
到底自分の思考とは思えない言葉の羅列が頭をどんどん埋めていく。
もっと近くに居れたら…
「ッひ…人違いだ!」
そう言って僕は少しでもライカンさんと少しでも距離を離せるように帽子をライカンさんに向けて投げた。
正直、普段ろくに走っていない…妹から見ても「細い」と言われる体と、狼のシリオンでヴィクトリア家政の筆頭執行者、足技を使っていて柔軟な体…
勝負は明白だった。
しかし、ライカンさんは何故か追いかけてこず、投げられた帽子を手に持っているだけだった…
「ハァ…ハァ…く、薬…」
店に帰るなり、2階の自室に行きベッド横の薬箱に手を伸ばした。
【抑制剤-1日1錠-】
….とにかく飲んだ。
できる限り早く治まるように…
「お兄ちゃん?…大丈夫?」
リンの声が自室の扉越しに聞こえた。
声が少し震えている…
「大丈夫だよ、なんともないさ」
「本当に…?」
「本当さ、ほら明日も依頼があるだろう、もう寝るんだよ」
「うん….おやすみ、お兄ちゃん」
できる限り声を作って喋った…
少し…不審がられたかもしれないな…
そうして少しほっとすると、またしても感情の波が襲ってきた。
僕はベッドの上で枕に顔を押し付けるようにして夜を過ごした。
あの感情に振り回されないように…
妹に迷惑をかけないように…
「抑制剤をOD(オーバードーズ)するとどうなる訳?」
フォン・ライカンはインターノットでそんなスレッドを見た事がある。
コメントの内容はほとんどがスレッド主に対して憶測まがいのコメントばかりだったが、ライカンの目を引いたものがあった。
159 まさまさは神
→1
俺はルミナスクエアのΩ専用病院で働いてるんだけど、1回だけ重症患者を見たことあるぜ。
まず驚いたのが、性的感情が欠如してたこと。
そして、数日もしないうちに老衰で亡くなったことかな?
先生から聞いた話なんだけど、抑制剤って本来あるはずの発情を無理やり殺してるようなもんだから、どうしても体が根を上げちゃうらしい。
ちなおれβな
160 完全無欠のサイボーグ
→159
それマ?
だとしたらΩってどうすれば長生きできるんや?
βだしΩと全く関わらんから教えてクレメンス
163 まさまさは神
→160
1番はαと番関係を結ぶことやな。
そうすればある程度発情のタイミングも決まってくるから、抑制剤無しでも生活できる。
他にも、専用の病院に行けばΩ用の長命薬?みたいなのも売ってるみたいやけどそれ飲んでほんとに長生きできたって話は聞いた事ない。
番….
ライカンはふと思った事を聞いてみることにした。
172 両手は主の為に
→163
つかぬ事をお聞きします。
私はαなのですが、もし間違った番関係を結んでしまったらどうなるのでしょうか?
174 まさまさは神
→172
インターノットでα見たの初めてかもw
聞いた話だとαはΩとの番関係を一方的に解消できるらしい。
でもΩの方は解消されても番だったαのモノしか受け入れられないからどんどん発情が強くなって最後には死んじゃうらしい。
学生時代αの先輩がよく言ってたなぁ、運命の番を見つけれたら幸せになれるって…
あんまよう分からんけどなww
運命の番…
妙にその言葉が胸に引っかかるライカンであった…