「ねぇ、どうしてたまには俺に甘えてくれないの?」
「はぁっ?9コも年下のお前に甘えれるわけないだろ」
しょっぴーは照れ屋だ。
そんなの分かってるけど、俺だってたまには恋人らしくいちゃいちゃしたい。
だって、しょっぴーって、顔も、言うことも可愛いのに、俺への普段の態度だけはあんまり可愛くないんだよね。
「……ベッドで抱かれてる時は可愛いのにさ」
「!!!もう!ラウールとは絶交だ!!!」
『絶交』なんて小学生以来に聞いたワードで叫ぶと、しょっぴーはいつも平和で穏やかな阿部ちゃんのところへと逃げて行った。
そう、ここはレッスン室。
俺たちは来たるライブに向けての9人揃ってのリハーサルに余念がない。何十曲も歌ったり踊ったりするから、昔の振り付けを思い出すだけでも一苦労だ。さっきから康二くんが休憩時間なのにも関わらず、あたふたとフォーメーションを確認している。意外にしっかりしている優しいふっかさんは、そんな康二くんにかかりきりだ。
ため息を吐いて、めめの方を見ると、めめは、膝の上に愛しの舘さんを乗せていた。
「いいなぁ、めめは。舘さんは優しいもんね」
「だって舘さん、イイ匂いするから」
めめはそんな、答えになっているような、なっていないような適当なことを言いながら、くんかくんかと舘さんの首裏を嗅いでいる。一方、膝の上の舘さんは、照れるでもなく、真顔で歌割りの確認をしていた。本当に不思議な人だ。
俺のしょっぴーはというと、俺から去った後はあべさくの間を邪魔してる。二人が何日かぶりに会って、お互いに会えなかった時間をお喋りをすることで埋めているのに、二人の真ん中に陣取ったしょっぴーは、阿部ちゃんにヨシヨシされてて邪魔ったらない。鈍感か。
「なんで阿部ちゃんには触らせてんだよ」
イライラして、抗議しようと立ち上がった瞬間、岩本くんの再開するぞ、という号令がかかった。
◇◆◇◆
「ねぇ、まだ怒ってんの?俺んちに一緒に帰ろうよ」
「ヤダ。俺はサウナへ行く」
「僕がサウナ嫌いなの知ってるでしょ?」
「うるせぇ!だからこそ行くんだ。邪魔すんな!」
どかどかと、わざと大きな足音を立てて、シャワー室から出たままに、髪をいい加減に乾かしていたしょっぴーは、俺にあっかんべーをすると(可愛い)康二くんと連れ立って、そのまま本当にサウナへ行ってしまった。
◆◇◆◇
ここのところのラウールは生意気だ。特に身体を許してから、ラウールの生意気ぶりは拍車がかかった気がする…。
康二の車の助手席にふんぞりかえるように座っていると、康二がいつものとこでいいやんな?と訊いてきた。俺は黙って頷く。
「……なぁ、康二、お前は彼女に甘えたりする?」
康二には内緒だが5歳年下の彼女がいる。番組で共演したことが縁で、仲良くなったそうだ。紹介された時はその女性らしい可愛らしさに、自分なんかがラウールの恋人でいいのかと気後れしたほどだった。悔しいから言わないけど。
「すんで。疲れてる時とか、膝枕してもらったりするし。彼女も甘えられて嬉しいみたいや」
何てことなく答える康二が悔しいけど、かっこいい。でも俺は男だし。もっとずっと年上だし。
「なに?ラウとのことで悩んでるん?」
「は?ちげーし」
康二は笑って、男同士のことはわからんけど、と前置きをしてから言った。
「大事な恋人を可愛がりたいと思うんは、男も女も変わらんと思うで。俺も可愛がりたいし、可愛がってほしいもん」
「人前でもかよ」
「今はそういうこと許される職業ちゃうけど、普通の会社員とかなら、めっちゃいちゃつきたいで」
「ほぉん」
「何やの。ほぉん、て」
「別にぃ………」
不覚にも何てことないみたいに言う康二の方が俺より大人っぽいし、やっぱりカッコイイ。ママと買い物行くのを断り始めた反抗期まっさかりの俺みてぇだ、今の俺って。ガキくさい。俺は腕組みをして、うーんと唸っていた。
◆◇◆◇
「あれ?今夜来る予定だったっけ?」
「いいだろ、別に」
玄関口で俺を迎え入れた壁…もとい、ラウールは、きょとんとした顔をして、アホみたいな顔で俺を見下ろしていた。俺はでかい図体をした彼氏を押しのけると、ずかずかと部屋の中央のソファに陣取る。
「座れ」
「え。何なのホントに…。怖いんだけど」
若干引き気味のラウールは、おそるおそるといった感じで、俺の隣に座った。
◇◆◇◆
……翔太くんの目が怖い。
横を通り過ぎた、サウナ帰りの翔太くんからは、愛用のシャンプーのいい香りがして、風呂上がりのすっぴん卵肌は相変わらず透明感がすごくて綺麗だったけど。
おかしいな。
いつもなら、ヘソを曲げてしばらく会ってくれないパターンのはずなんだけど。俺はスマホでめめに、今夜遊ぶはずだった通信ゲームのキャンセルを伝えた。
「まさか……別れ話?」
ぞわっと、背筋が凍るような思いがして、俺は込み上げてくる涙を堪えた。
そんなつもりじゃなかったんだ。そんなにイヤならイヤってちゃんと言ってくれれば…。
背筋を曲げて近づいて行くと、翔太くんは、隣をポンポンと叩いている。目つきが既に怖いんだよ…。話でよく聞く怖かった頃のしょっぴーみたい。
「座れ。早く」
「………ハイ」
言われた通りに隣に座ると、翔太くんが深呼吸をした。そして、両手で自分の両頬を思い切り叩くと、っしゃあ!!と何やら気合を入れている。
「ねぇ、何なのマジで。昼間のことなら謝るから別れるなんて…」
どさっ。
言葉の途中で、翔太くんの頭が俺の膝の上に乗った。
恥ずかしいのか、両手で顔を覆っている。金のピアスが震えて、耳朶は赤く染まっていた。
「……………翔太くん?」
「なっ///……撫でてもいいぞ///」
えっ。
可愛いが過ぎるんだけど……。
俺が事態を飲み込むより早く、しょっぴーは、俺の腰に腕を回してぎゅっとお腹に顔を埋めている。
「はずいはずいはずいはずい……///」
足をジタバタさせながら、俺のシャツに顔を埋めるしょっぴーは、もう反則級に可愛かった。
「ねぇ、ずるいよ…」
「まいったか///俺だってできる……んっ…♡」
ようやく睨みながらだけど、可愛い顔をこちらへと向けてくれたので、俺はしょっぴーの薄い唇を舐めるように愛した。次に、重なった唇をより深く求めてきたのはしょっぴーの方。しょっぴーの腕が俺の首に回されると、俺はそのまましょっぴーを抱き上げて、ベッドへと運んだ。
地獄から天国へとはこのことだ。
一生懸命、俺にデレてくれたしょっぴーを、隅々まで、もう足腰立たなくなるくらいにめちゃめちゃにしたい。
◆◇◆◇
ベッドに優しく寝させられると、ラウの黒くて深い瞳が吸い込むように俺を見ていることで蕩けそうな幸福感に包まれた。
愛しいと思う気持ちが、年々増して行き、それはいつの間にか『恋』へと形を変え、俺たちの絆を少しずつ色っぽいものに変えていった。
俺はもともと男しかダメで、それも、抱かれる方しか無理で、そんなプライベートな性事情を『じゃあ問題ないじゃん、だって俺、しょっぴーを抱くことしか考えらんないもん』と笑い飛ばしたあの時のラウールを俺はきっと一生忘れない。
グループ最年少で、泣いてばかりいたデビュー直後、めめの後ろで隠れるようにしておどおどしていた末っ子は、今や見上げるほどの大男になり、恋する年齢を迎えてもなお、まっすぐ逞しく育ったとばかり思い込んでいたのに。
「やっ……そこ…きもちいい……」
「イヤなの、イイの、どっちだよ」
後ろから抱き竦められて、耳朶を甘噛みされ、指の先で、硬くなった胸先を摘まれる。ラウールの太い指で容赦なく揉み込まれるそこは、じんじんと熱くて、とても敏感になっていた。腰の周りを探るようにのびたもう一つの手は、ズボンの前のホックをあっさりと外して、下着の中へと流れるように滑り込む。
「先っぽ、濡れてる…」
人差し指でぐりぐりと鈴口を擦り込むようにするラウールの攻めは、耳元で低く響く甘い声とともに俺の正気を失くさせていく。もう応える余裕もなく、口から漏れるのは、恥ずかしい声と苦しげな呼吸音だけ。
少しずつ勃ち上がっていく俺自身をラウールは優しく握り、リズミカルに上下に動かしている。さっきから俺の背中の中心には熱を持った硬いラウールのがあたってる。イキそうになるのを堪えながら、何とか顔だけ後ろに向くと、俺はラウールに訴えた。
「一緒に…」
ラウのと俺のと、お互い反り返って濡れた性器を、重ねるように合わせてゆっくりと扱いていく…。先端が擦れるたびに、どうしようもなく腰が動いた。知らぬ間に唇を噛んでたみたいで、ラウールは利き手で俺たちのをまとめて扱きながら、左手では俺を引き寄せ、キスを求める。少し血の味がした唇に、ラウの舌がいやらしく絡まっていく。
「可愛いね。大好きだよ」
「おれも……すきぃ……あっ♡もう、出ちゃう…あんっ、あんっ」
ラウールに求められている嬉しさと、蕩けるような甘い囁きに、求められ続けているドキドキが重なって、俺は呆気なく達した。
「早いな…。俺、まだなんだけど……んっ!ああっ!!」
俺は仕返しとばかりに、ラウールの規格外の屹立を舐め始めた。思いっきり呑み込んでも、全体の3分の2ほどしか入らない。足りない部分は、手で愛して、俺はひたすら先端から漏れ出てくる愛液を吸った。
「あっ、あっ、あっ!イク………」
やがて頭を掴まれ、ぐいっとえずくほどに喉奥に挿入された欲望は、俺の口の中で容赦なく爆ぜた。
ゴムを被せる時間も焦れったく、ラウールは俺の中をくちゅくちゅと解していくと、まだ十分に解れていないその部分に、いきなり楔を突き立てる。
「くるしっ!!ばかぁ、、、」
「止まんない。こっちなら、奥まで入るから……っ!」
ラウールは俺の肩を掴み、欲望の赴くままに腰を振り続けている。その乱暴な突きも、何度も身体を重ねたおかげで、今では大人しいと物足りなくなるほどに、俺はラウールの身体に溺れていた。気持ちよくて、目の前がちかちかして、何も考えられない。
「しょっぴー、キスしよ?」
イキそうになると、いつも唇を求めてくるその子供みたいな甘え方は、きっと俺には一生出来ない。子供っぽい笑顔と、獣のような下半身を持ったちぐはぐなラウールに、俺は、愛されて、繰り返し愛されて、そしていつの間にか意識を失くしていった…。
◆◇◆◇
「しょっぴー、もうすぐ朝だよ。そろそろ起きなきゃ、ね?」
触れるだけの柔らかい唇に、現実に引き戻されると、愛しい彼氏が俺を優しく包み込むように抱いていた。長い腕の感触が心地よくて、それでも腰が重怠くて、結局やっぱり幸せで、俺はラウールを上目遣いで愛しく見つめている。
「これからも、たまには、甘えてやる……///」
すると、目を見開いた心優しい巨人が、太陽の光を遮り、再び俺の上に覆い被さって来た。
おわり。
コメント
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お誕生日おめでとうございます😊

改めて、こっちでも 誕生日おめでと〜㊗️💙㊗️💙㊗️

おめでとうございます👏 かわいいです(*´`)🤍💙 「先っぽ」が可愛すぎて困る。 もっと言わせて欲しい