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この作品の4話目 👯♀️💅✨️『距離』の続き?のようなものになっています。
単体でも楽しめます!
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「おはようございます〜」
数日後。
控え室に入れば、もう既にそこには今日の配信相手───ぺこら先輩が居た。
「おはようヴィヴィちゃん」
操作していたスマホから視線をこちらに向けて、いつも通りに挨拶してくれる。
そのままスマホを伏せて、今日の配信なんだけどさ〜と言葉続けるぺこら先輩の向かいのソファに腰を下ろしながら相槌を打つ。
そうすれば、ぺこら先輩が止まる。
「どうかしました?」
「…あ、いや別に。それで、ここなんだけど…」
少しの間がヴィヴィの気を留めるけど、直ぐに戻った配信の話に意識を向ける。
変更点や工夫点。ヴィヴィじゃ、思いつかないような事ばっかりだ。ぺこら先輩の、リスナーさんに楽しんで欲しいという気持ちがダイレクトに伝わってくる配信者の姿勢。こういう所が尊敬できて、大好きだ。
だからそれに必死についていきたい。
いや、隣に立てるくらい、ヴィヴィもその配信技術を身につけたい。
「で、これ見て欲しいんだけどちょっと向かい合わせだと見にくいから隣来てくんね?」
「えっ」
ぺこら先輩は伏せていたスマホを再び操作し始める。その間に隣に行かなくては。
ぺこら先輩の隣に。
ゆっくりと腰を上げて、ぺこら先輩の隣へ移動する。1人分の隙間を空けて。
「…ん?遠くね?」
スマホから視線をこちらに移して、問いかけてくる。スマホの画面にはなにやら動画の再生の準備がされている。
「そうですか?」
何も無かったように取り繕って返せば、まあいいか。と言ってぺこら先輩は動画を再生し始める。二人の間に置かれたスマホは、やけに小さく見えた。
・
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その距離は、配信中でも縮まることはない。
「こんぺこー!」
「ん〜ヴィヴィ〜!」
配信が始まって、コメントが流れて。
スタジオが一気に熱気をもって空気が変わる。ヴィヴィはこの瞬間が結構好きだ。
緊張もするけど、やっぱりみんなの前に立てる。みんなと話せる。その嬉しさがあるから。
「ヴィヴィがさーw」
「あれはぺこら先輩が悪いやん!?」
いつも通りのぺこヴィヴィ。
だけど今日は何故か心地が悪い。
チラッと覗いたコメント欄に、
今日距離遠くない?
ってコメントがあったのを見ないフリした。
配信はそのまま流れた
「ヴィヴィ〜〜!?」
少ししたツッコミ、何気ない距離の詰め方。
いつものぺこら先輩。
いつものぺこヴィヴィ。
ヴィヴィの名を呼びながら、こちらへ1歩近づいたきたぺこら先輩から、ヴィヴィも1歩、後ずさりしてしまうまでは。
二人の間に確実に流れた、気まづい空気。
ぺこら先輩は、目を見開いて驚いた様子を見せたけど、直ぐにいつも通りの姿に戻った。
この配信が始まってからヴィヴィからぺこらに近づくことはなかった。
ぺこらから近づいたのが数回。
でもその距離が、1人分の隙間以上に埋まることはなかった。
「せーのっ」
「「おつぺこヴィヴィ〜!」」
「…おつかれさま」
「あ、お疲れ様です」
配信終了した事を確認したぺこら先輩が、こちらに振り向いて挨拶する。
ぎこちなく返せば、ぺこらは変わらない様子で控え室に先に戻った。
ぺこら先輩と今2人きりになれる気がしなくて、片付けが始まったスタジオの隅に、ヴィヴィはしゃがみこんだままだった。
(……1歩さがってしまった)
あれはどこからどう見ても、拒絶だ。
ただでさえ、どこかズレていた配信のリズムが、ぐしゃりと音を立てて更に崩れた瞬間だった。
「ヴィヴィさんそろそろこちらも片付けに入るので……」
「あ、すみません…戻ります!お疲れ様でした。」
スタジオを出て、向かうべき先は控え室だ。
でも足は動かない。でもスタジオ前は人が行き交ってヴィヴィが邪魔になってしまうから移動しなくてはならない。
足は、渋々控え室へ向かって動いた。
扉を開けば、当たり前だがそこにいるのはぺこら先輩だけ。
もう着替えも済ませて、帰る準備も整っているようだった。それなのに、朝と同じ場所でスマホを操作している。
(謝らないと……)
「ヴィヴィ」
こちらが言葉を発する前に、先に呼ばれた名前。
その言葉に、身体がまた固まった。
ソファから立ち上がって近づいてくるぺこら先輩に、動けない。
1歩、1歩、2人の距離が縮まって、その足音がやけに大きく耳に届く。
あと1人分の隙間。
そこで1度ぺこら先輩は止まる。
そして更に一歩縮めてくるから、それに合わせてヴィヴィも1歩後ずさる。
「…ヴィヴィ」
「あ、ごめんなさい……あの、えと…」
「……そんなに避けられると、さすがに傷つくぺこよ」
小さく、でも確かにヴィヴィの耳に届いた声は、
責めるでも、怒るでもなくて。
ただ、少しだけ寂しそうだった。
また更に、1歩1歩詰めてくるぺこら先輩に後ずさりしか出来ない。
何歩か下がったあと、背中に固い衝撃が触れる。
「…もう逃げれないぺこな?」
「……っ、ごめんなさい……」
反射的に出たのは、また謝罪だった。
「なんで謝んの」
配信の時とは違う、低くて落ち着いた声。
圧はない。責められている訳じゃない。
なのに、逃げ道がない。
「だって…ヴィヴィ、今日…配信でっ、ぺこら先輩のこと…っ」
「避けてたよな」
ごもごもと言葉に詰まるヴィヴィの言葉の先を、ぺこら先輩が続ける。
確信をついた一言に、喉がヒュッとなる。
「近すぎるのも、違うけど」
ぺこら先輩が、さらに1歩縮める。
1人分空いた距離が、無くなる。
「今のはもっと違うだろ」
その言葉に、何も言い返せない。
喉元に言葉が突っかかって、ヴィヴィの口から出るのは不規則な呼吸だけ。
「…ぺこーらの事、嫌いになったんなら、別にいいけど」
「違うッ、それは違います……大好きやから、大切やから、、距離感、わからなくなって。
嫌われたくないんです。ぺこら先輩に。
……大好きやから、嫌われたくない。」
咄嗟に出た言葉に、ポツリポツリと理由をつけていく。口に出す事で、頭の中でぐるぐるしていた気持ちが整理されていって、胸から何か湧き上がってくるように、目頭が熱くなった。
ぺこら先輩の目を見れなくて、視線は、伏せたまま。
視界は段々とぼやけていくのに、部屋は静まり返ってまるで時間が止まってるみたいだった。
「……ぺこらもヴィヴィが好きだよ」
「………え?」
予期していなかった言葉に、顔は自然と持ち上がる。
目と鼻の先に、ぺこら先輩の小さな顔があって、その頬はほんのりと赤色に染まっていることに気づいた。そしてその瞳が、潤んでいることも。
「…だから、ヴィヴィに避けられるとつらい。嫌われたのかなって、思う。
ぺこーらも、ヴィヴィちゃんに嫌われるの、怖いよ」
大きな夕焼け色の瞳から、雫がひとつ、零れた。
気づいた時には、ぺこら先輩の頬に手を伸ばしていた。
その雫が伝ったあとをなぞって、優しく包み込む。暫くそうしていれば、ぺこら先輩がヴィヴィの手を掴む。
「やっぱり、距離感バグってるぺこよ」
そうハッキリ目を見て微笑むから、釣られて頬が緩んだ。手をそのまま首に回して、ぺこら先輩に抱きつく。
「ええやんっ」
「わっ、いやなんで更に近づくんだよ!」
「ええやんええやん!ぺこら先輩とヴィヴィの仲やで〜?」
言葉では否定するも、離れる素振りはないぺこら先輩。だけど抱き締め返してくれる訳でもなくて。
だから、そろそろ離れる。
パッと解放してあげると、更に赤く染めた頬のまま、本当に手のかかる後輩ぺこなんて零すぺこら先輩に、胸が暖かくなって、また触れたくなった。
だから、一人分の隙間を1歩、近づいた。
おばけさん
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