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「さみぃだろ。入れよ」
私が欠伸をかきながら、なるべく優しめの声でそう促すと
「!、うん」
ちっこい禰󠄀豆子、ミニねずは小さく頷き、私の側に座った
「あのね、おかぁしゃんがようすみてきてっていわれて、」
どうやら、葵枝さんに頼まれて私の様子を見にきたようだ
「、そうか。あんがとな」
私よりずっと小さい頭に優しく手を乗っけると、ミニねずは花が咲いたように笑った
はい可愛い。流石ジャンプヒロインだわ
萌え過剰摂取で死ぬぞこれ
「えっと、あのね、お、おにいちゃんとおかぁしゃんをたすけてくれてありがとう!」
ミニねずは緊張した様子でそう言い、私の心臓が余計に締め付けられた
マジ可愛いっ、何この生物飼いたいっ、
「別に礼を言われる程の事なんてしてねぇよ。」
私がそう言うと、ミニねずからキラキラした眼差しが送られた
「、え、なに、なんでそんな眼差しむけてんの、」
「わたし、おっきくなったらおねぇちゃんみたいになりたい!」
「えっ」
まさかの発言に私はつい情けない声を出した
いや、素直に嬉しい
私一応銀さんの性格になり切って生活してる訳だから、その言葉はめっちゃ嬉しい
なんだったら今ここで銀さんの魅力語りたいもん
だがしかし、銀さんは確かにカッコいい。異論は絶対に認めない
しかし、それ以外の生活面ではマダオだ
あ、もちろんそんな所も大好き。なんだったら養いたいし
そんな所を真似されたら、純粋無垢なミニねずが腐ってしまう
ここは年長者として、しっかり言わなければ
「いや、まぁ嬉しいけどよ、。お前には私よりもっとデケェ背中があんだろ?」
「?せなか?」
ミニねずは私に懐いたのか、掛け布団の上に寝っ転がり私を見上げた
「下の奴ってのはな、どうしても上の奴の背中を見て育つモンだ。」
「他の奴らの背中がちっぽけに思えるくれぇに、下にとって上の奴らの背中はデケェ」
「お前は、兄貴の手伝いをしたいって思うか?」
本当は肩を並べたいかと聞きたい所だが、ミニねずには伝わらないだろう
なので、イメージしやすいように手伝いという表現を使ってみた
「おてつだい?うん!私、おにいちゃんやおかあしゃんたちのおてつだいしたい!」
無邪気に笑うミニねずを見て、私は口角を上げながら頭を撫でた
「その気持ち、忘れんなよ。」
私も上に兄がいたから分かるが、幼い時はずっと兄のマネをしていた
それが競争心からかは分からないが、どうしても同じ土俵に立ちたいと思った事が印象的だ
恐らく、ミニねずも自覚していないだけで同じ気持ちだろう
その気持ちが無くなった瞬間、人ってのは簡単に壊れる
果たすべき目標がないからだ
そんな人達を私は前世でずっと見てきた
なので、ミニねずにはそんな思いはさせたくないしさせないので
この言葉を送った訳だが、
「、おいコラオヤジさん。笑ってねぇで出てこい」
私は障子裏でクスクス笑う炭十郎さんにそう投げかけ、
いつの間にか眠るミニねずをどうすれば良いか分からず、行き場の無い手を彷徨わせていた
________
「、いただきます」
私は目の前に並べられた食事に涎が垂れそうになりながらも
手始めに味噌汁に口をつけると、味噌の香りと程よい塩加減に思わず息を吐いた
味噌汁を置き、次は焼き魚、その次に白米と箸を進めた
「ふふっ。まだおかわりはありますから、気軽におしゃって下さいね」
「いろはさん!口にご飯つぶついてます!」
「ん?おぉ、あんがと」
私はショたんじろーにご飯粒を取ってもらい、咀嚼を進めた
「そういえば、色葉さんといったかい?」
「ング、はい?」
口に入っていた物を飲み込み、炭十郎さんの問いかけに応える
「これからどうするんだい?明日の朝には、ここを出て行くんだろう?」
「、あぁ。とりあえず、当てもなくブラブラ出歩くつもりだ」
時系列的には最終選別はまだ先、だがその前にやらなければならない事がある
それは、珠代さん達と接触する事だ
私は鬼殺隊士では無いが、鬼とは一応対峙している
知り合いに医者もいない今、珠代さんと接触し
鬼から人間に戻す薬の開発に協力しなければ
あと、可能であれば煉獄瑠火の病気を完治する方法も見つけられれば良いが、
「いろはさん、行っちゃうの?」
私が今後の事に頭を働かせていると、寂しそうな顔を浮かべるショたんじろーがいた
「あぁ。これでも旅人なモンでな、行かなきゃならねぇ」
私がそう言うと、今度はお腹に軽く衝撃が走り目を向けると
「いやだぁ!おねぇちゃんいかないでぇ!」
涙ぐむミニねずが抱きついていた
えなにこの兄妹、可愛いんだけど?殺す気か?萌え過剰摂取で殺す気なのか?
「はぁー、ったく、女はな。簡単に泣いちゃいけねぇの」
「お前もだぞー長男。んな情けねぇ顔してんじゃねぇよ」
私は一度箸を置き、二人の頭を撫でながらそう言葉を紡いだ
「良いか?私は必ず戻ってくる、だから。それまでここで待ってろ」
「、ほんとう?」
「あぁ。侍ってのは守れねぇ約束はしねぇよ」
ミニねずの問いかけに、私は微笑みながら応えた
「、分かった。おれ、ここでまってる!」
「わたしも!」
「っし、んじゃあ指切りな」
三つの小指が混ざり合い、私は竈門兄妹に約束を交わした