テラーノベル
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学校の廊下。
担任に呼ばれないか、
カウンセラーにまた
会わされるんじゃないか――
みんなと同じように
歩いているフリをしながら、
自分だけ別の世界にいるような
気持ちが抜けなかった。
「クロノア、元気?」
声をかけてくれるクラスメイトもいる。
でもその“心配”の声が、
逆に自分を特別にしているみたいで
息苦しくなる。
昼休み。
トラゾー達の笑い声が、
今日は少し遠くから聞こえてきた。
みんな俺を気にかけているのか、
逆に腫れ物みたいに扱っているのか
分からない。
「おいでよ」とは誰も言わない。
自分も、近寄ろうとすら思えなかった。
休み時間も、
机に突っ伏してただ時間が流れるのを待つ。
一歩外の景色はまるで別の国のことみたいで
頭の重さだけが日に日に重くなっていく。
家の中。
母の料理の音も、
父のテレビの声も、
妙にピリピリしている。
食卓に座るときもただ沈黙が長い。
「病院、行かないとダメなの?」
母が小さくそう言う。
kr「別に……」
「先生たちは最近の子はすぐ弱るって言ってたわよ」
父は新聞をめくる手を止めずに、
「まあ、今は耐えるしかない」と呟く。
食べ終えて部屋に戻ると、
何もかもが自分のせいになっている
ような気がして、
妙に小さくなりたくなった。
夜布団に潜り込むと、
不意に昔の自分を思い出す。
みんなと一緒に笑った放課後。
なにも悩まずに未来のことを
考えていた季節。
どれも手が届く距離にあるはずなのに、
“今”の自分からは想像できないくらい遠い。
kr「助けてもらっても、何も変わらなかった」
そんな気持ちがじわじわ胸の奥で広がり――
“動かない毎日”に沈んでいくばかり。
どこにも出口がない。
夜だけが、また静かに深まっていく。
コメント
1件
うぅぅ、、、分かるよぉクロノアさぁぁぁん、、本当に分かるよぉ、、